1858年フランスで創業した屈指のハイジュエリーメゾン、ブシュロン。パリのラグジュアリーの聖地、ヴァンドーム広場に最初にブティックを構えたことでも知られている。ブシュロンは、ハイジュエリーコレクションを年に2回発表しており、1月に発表されるコレクションは、メゾンの歴史に立ち帰り、アーカイブ作品のデザインを現代的なハイジュエリーに昇華。伝統を継承することを重んじながら、大胆な視点から独創的な作品を生み出している。
2026年新作ハイジュエリーコレクションのテーマは、創業者の名を冠した“Nom:Boucheron, Prénom:Frédéric『フレデリック・ブシュロン』”。彼の宝飾業界での革新的な試み、独自の自然観、織物商の出身であることなどの物語を紡ぐ「THE ADDRESS(ヴァンドーム)」「THE SPARK(イノベーション)」「THE SILHOUETTE(クチュール)」「THE UNTAMED(ナチュール)」の4つの章で構成。その気高く美しいジュエリーを唯一無二の存在が光る音楽家、椎名林檎が纏って本誌初登場。ブシュロンのジュエリーをプライベートで愛用する彼女をパリ・ヴァンドーム広場にあるブシュロン本店で撮影したジュエリーストーリーを堪能して。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年3月号掲載)
圧倒的な存在感を高めるジュエリーの虜に

新作ハイジュエリーコレクションを構成する4章の一つ、「THE UNTAMED(ナチュール)」は、メゾンの代名詞クエスチョンマークネックレスを代表するアイビーモチーフを再解釈したもの。蔦が這うように描かれた躍動感ある長い流線が、タイトなシルエットのブラックドレスをキャンバスに、自然の生命力に満ちた煌めきを添え、神秘的な美しさをいっそう引き立てる。ブシュロンのデザイン哲学のなかの自然への深い敬意と観察を表し、さまざまな大きさの葉には、一つひとつの葉脈になぞって異なるサイズのダイヤをセッティング。葉の重なり方や連なり方まで本物の植物を再現するため自然界を手本に計算し尽くされデザイン。風に揺れ動くように葉柄が揺れ、繊細な輝きを放つ。蔦はネックレスから取り外すことができ、長さ違いのネックレスやブローチ、ヘッドジュエリーなど計7通りの着用方法を叶える、まさに革新と職人技が光るアートピース。
挑戦的な大胆さと強さを秘めて

思わず目を奪われるボリューム感のあるリングとネックレスは、ブシュロンが本店を構えるヴァンドーム広場を俯瞰した八角形を想起させる「THE ADDRESS(ヴァンドーム)」から。枠にとらわれない大胆でモダンなデザインと、圧倒的なサイズを誇るダイヤモンドの輝きが、ベビーピンクのシアリングケープの柔らかさとコントラストを生み出し、椎名さんの多面性を映し出しているかのよう。センターには極めて純度の高いタイプIIaのエメラルドカットダイヤモンド、そのまわりをバゲットカット、ラウンドカットのダイヤが八角形を幾重にも重ねたように施され、ブラックラッカーがシャープな印象を与えながら、ダイヤモンドとホワイトゴールドの白い輝きを際立たせた新作コレクションの象徴的な逸品。
アイビーのヘッドジュエリーで神話の女神のように

「アンテイムド」ネックレスをヘッドアクセサリーとして纏って。シャツとスカートのデイリーなスタイリングにあえて合わせることで、日常に佇む美を追求。繊細な装飾が顔まわりを彩り、春の女神のような神々しい印象へ。自然の本質を捉えようとしたフレデリック・ブシュロンは、アイビーの蔓が這い、絡み、ねじれるその奔放な美しさに惹かれ、当時、高貴で華やかな花を好む他のジュエラーたちが望まない存在だったアイビーをジェエリーデザインに。そのスピリット、マルチウェアという画期的な構造を受け継ぎ、ダイヤモンドの煌めきを引き出すサヴォアフェールは、ブシュロンの真骨頂。
凛として艶めくモノクロームの誘惑

レッドカーペットに向かうようなベアトップドレスの胸元を飾る「アドレス」ネックレスが白い肌に映える。艶やかであること、強くあること。そのジュエリーの存在は、意志を可視化するためにある。クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌが、俯瞰すると八角形を描くヴァンドーム広場の形をモチーフに、アーカイブのペンダントを現代的に再解釈。ペンダントトップのセンターには10.01カラットのエメラルドカットのダイヤモンドをセット。不純物をいっさい含まない極めて希少なタイプIIaのダイヤモンドをモダンでスタイリッシュなデザインと自然に調和させたクレールの真骨頂とも言える作品。デザイン性と職人技が融合したネックレスは、ペンダントトップ部分を外して、リングとしても着用でき、機能美も備えている。
媚びない美が比類のないオーラを放つ

クチュールのように精緻で、シルクのようにしなやかなダイヤモンドピースが、椎名林檎という存在の輪郭をなぞる。強さと官能、美と知性──多様な輝きを自在に操り、その佇まいそのものが芸術へと昇華する。織物商の家系に生まれたフレデリックは、ファブリックの質感、流れるような動きに対する鋭い感覚を持ち、ジュエラーとなった後もクチュールをベースにしたジュエリーデザインに影響を与え、硬度のある素材を用いながら、しなやかで軽やかな作品を生み出した。クレール・ショワンヌはこの伝統を継承し、体の曲線や動きに寄り添うマルチウェアなジュエリーに。ダイヤモンドストランドは全長7メートル以上、2500石以上のラウンドカットダイヤモンドが施され、チョーカーの部分の100石以上のバゲットカットダイヤモンドが立体感を際立たせる。チョーカー、肩章のようなショルダージュエリーなど6通りでの着用可能。装う楽しみを存分に味わえる圧巻のピースだ。
無限のイマジネーションと至高の輝きに心奪われて

アシンメトリーなデザインと、幾何学的なカットのダイヤモンドを連ね、抑制と解放がせめぎ合う、現代的なスピリットを体現した「スパーク」ネックレス。ボディスーツにジャケットを重ねた、マスキュリンとフェミニンが交錯するスタイリングに合わせることで、その独自の輝きが鮮明になり、自由と自立という思想を静かに主張する。1879年、フレデリックは世界初となる留め具のないネックレスを発明し、重厚なジュエリーを纏う当時の女性たちを解放した。女性たちが人の手を借りずに自分で着脱できるという画期的なデザインで、その左右非対称な疑問符のフォルムから「クエスチョンマークネックレス」と名づけられた。その後1889年パリ万国博覧会でグランプリを受賞し、ブシュロンを象徴するジュエリーの一つに。そのアーカイブをインスピレーション源にした「スパーク」ネックレスと同チャプターのピアスとリングをともに着ければ、華やぎがいっそう増す。
Boucheron
ブシュロン クライアントサービス
TEL/0120-230-441
URL/www.boucheron.com
Photos:Ryohei Takanashi Model:Ringo Sheena Hair &Makeup:Ryoji Inagaki Stylist:Chikako Aoki Coordinator:Masaé Takanaka Edit:Michie Mito
Profile

