わたしの心と体を考える、カルチャーガイド | Numero TOKYO
Culture / Feature

わたしの心と体を考える、カルチャーガイド

快楽や痛み、葛藤や再生など。心と体をめぐる物語は、一人ひとりの中に静かに息づいている。本や映画、ドラマや音声コンテンツなど“自分の心と体を見つめ直す一作”を、心体に向き合う6人のナビゲーターが紹介。自分に耳を傾けるきっかけにしたり、日々をしなやかに生き抜くためのヒントに。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年1・2月合併号掲載

織田愛美 選
『人生の最期にシたいコト』

© 2025 Disney and its related entities
© 2025 Disney and its related entities

余命宣告から始まる、生と性の物語
ステージ IVの乳がんと診断されたモリーは、15年間連れ添った夫との別れを決意。人生の最期に本当の自分を生きるため、セクシュアリティや欲望と向き合い、新たな旅に出る。
「SMなどの性的嗜好についても丁寧に表現されていて発見が多い。セルフプレジャーを生きる力として肯定して描く姿勢にも共感しました」(ブランディング・PR・織田愛美)

企画・制作/キム・ローゼンストック、エリザベス・メリウェザー
出演/ミシェル・ウィリアムズ、ジェニー・スレイト
ディズニープラスのスターで独占配信中

織田愛美(おだ・めぐみ)
ブランディング・PR。カルチュラルマーケター。2015年「株式会社XY」創業。“下着で性教育”を標語にランジェリーブランド「Albâge Lingerie」設立。大阪・関西万博のヘルスケアパビリオンでのトークショーやフェムテック関連のイベントMCなどを通して、社会課題を日常の言葉で語る試みを続けるほか、企業から個人に至るまでブランディングやマーケティング、プロデュース業務なども行う。ポッドキャスト『ハダカベヤ』でタレントのIMALU、マーケティングプロデューサーのなつことともに、女性のウェルビーイングとエンパワーメントを発信している。

 

金原毬子 選
『まだまだ大人になれません』

自分なりの“体と心”を手に入れる
30代半ばを迎えた兼業文筆家が、大人になりきれない自分と向き合いながら、結婚や出産といったわかりやすい成熟を経ずにどう生きるか、試行錯誤の過程を綴ったエッセイ。
「大人になるって、社会の理想になることじゃない。自分自身を知り、自分なりに納得できる体と心を手に入れることなんだ、と気づかされました」(編集部・金原毬子)

著/ひらりさ
発行/大和書房

金原毬子(きんばら・まりこ)
Numero TOKYO エディター。本誌の特集を担当。第一線で活躍する人々へのインタビューを通して、より女性が生きやすくなるカルチャー、ライフスタイルを探求している。

 

池田裕美枝 選
『からだ・私たち自身』

声で紡ぐ、女性の心と体の教科書
1970年代に出版された、米国ボストンの女性グループが自らの月経や避妊、中絶などを自分自身の声で語った貴重な文献を、荻野美穂、上野千鶴子ら50人近くの女性が翻訳した日本語版。
「医療システムや社会構造への批判も交えながら、マスターベーションや性欲について赤裸々に語られていて今読んでも圧巻です」( 医療法人心鹿会 海と空クリニック京都駅前院長・池田裕美枝)

著/ボストン女の健康の本集団
監修(松香堂)/藤枝澪子
総合情報サイト「ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)」で無料で閲覧可能。

池田裕美枝(いけだ・ゆみえ)
医療法人心鹿会 海と空クリニック京都駅前院長、一般社団法人SRHR Japan代表理事。2003年、京都大学医学部卒業。内科医として研修を受けた後、女性のヘルスケアの専門家を目指し、産婦人科に転向。11年、イギリスでリプロダクティブ・ヘルスディプロマを修了。13年にはアメリカで女性内科の研修を受ける。社会的困難女性を支援する人のためのソーシャルワーク・プラットフォーム「KYOTO SCOPE」の運営も。1児の母。

鈴木えみ 選
『インサイド・ヘッド 2』

© 2025 Disney/Pixar
© 2025 Disney/Pixar

新たな感情が導く成長ストーリー
13歳になったライリーは思春期の体と心の変化に直面。不安や羨望、恥ずかしさといったこれまではなかった新しい感情と出会うなかで、自分とは何か?を探る。
「子どもから思春期へ移行する過程で生まれる、心の奥の揺れを見事に描いている。変化を怖がるのではなく、受け入れることの重要性を教えてくれます」(モデル・鈴木えみ)

監督/ケルシー・マン
声の出演/エイミー・ポーラー、フィリス・スミス 、 マヤ・ホーク
ディズニープラスで見放題独占配信中

鈴木えみ(すずき・えみ)
1985年生まれ、京都府出身。99年に『SEVENTEEN』の専属モデルとしてデビュー。ファッション誌を中心に数多くのメディアで活躍。プライベートでは、2013年に女児を出産。子育てを通じて、子どもと性の会話をすることの大切さを実感。発起人として、同じ課題意識を持つ企業複数社とともに、親子で性教育を学ぶイベント「Family Heart Talks~幼少期からの『いのちの授業』」を24年1月から開催している。

 

西本美沙 選
『女性の休日』

© 2024 Other Noises and Krumma Films
© 2024 Other Noises and Krumma Films

休むことで社会を動かした歴史的な一日
1975年、アイスランドで女性の約90%が職場も家庭も一斉に離れ、「私たちがいなければ国が止まる」というメッセージを突き付けた。国の機能が12時間麻痺し、ジェンダー平等へ動き出すきっかけとなった出来事を映画化。
「ユーモアを携えながら、女性たちが連帯し、目的を達成する姿に思わず笑みがこぼれます」(ランドリーボックス代表・西本美沙)

監督/パメラ・ホーガン
出演/ヴィグディス・フィンボガドッティル、グズルン・エルレンズドッティル
シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

西本美沙(にしもと・みさ)
ランドリーボックス代表。女性のヘルスケアに特化したプラットフォーム「ランドリーボックス」を立ち上げ、生理や更年期、セクシュアルウェルネスなどの悩みを抱える当事者の声を発信。企業向けのマーケティング・コミュニティ支援、ブランドサポート事業を展開するほか、体の構造を理解し、対話を促すパペット「ばあばるば」などのツール開発を通じてSRHRの啓発にも取り組む。

 

浦本真梨子 選
『もっと違和感!』

クィア視点で世界の当たり前を問う
ジェンダーも国籍もバラバラなアンドロメダ、ジェレミー、アボの3人がクィアな視点から世の中の違和感を問いかける。
「“ゲイは同性婚が欲しくない?”など興味深いテーマが多い。恋愛やメディア、カルチャーなどのトピックをクィアのレンズを通して多角的に議論していて、新しい視点を届けてくれる。YouTube版『元違和感』も好き」(ライター・浦本真梨子)

各種音声配信プラットフォームで配信中

浦本真梨子(うらもと・まりこ)
さまざまな雑誌やWebでライフスタイルやカルチャーにまつわる記事を手がけているフリーランス編集者・ライター。Numéro TOKYO 2026年1・2月合併号では、ウェルネス分野の知見を生かし「こころ・からだのモヤモヤを吹き飛ばす5つのキーワード」で編集から執筆までを手がけてくれた。

Edit & Text:Mariko Uramoto

 

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JANUARY / FEBRUARY 2026 N°193

2025.11.28 発売

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