【佇まいのある器】vol.4 器作家 広瀬陽 | Numero TOKYO
Life / Feature

【佇まいのある器】vol.4 器作家 広瀬陽

生活の道具としての器、アートとしての器。ガラス、陶磁、七宝焼…それぞれの技法で表現する作家たちの作品から奥深い創作哲学を読み解く。Vol.4は器作家 広瀬陽。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年10月号掲載)

用途のある道具と用途のないオブジェの間のような形を目指したという銅白釉七宝蓋物器。
用途のある道具と用途のないオブジェの間のような形を目指したという銅白釉七宝蓋物器。

器作家 広瀬陽|You Hirose

七宝焼の偶発的な白を極め
器と空間の関係性を切り開く

七宝焼とは、金属の素地にガラス質の釉薬を焼き付ける伝統工芸の技法で、鮮やかな色彩のジュエリーや美術品に用いられる。それに対し、器作家の広瀬陽は、色をのせる前の下地の白に着目。偶発性による奥深く複雑な白を、学生時代に学んだ鍛金の技法と組み合わせた。

急須と茶杯と茶托の茶器セット。円が縦に連なったような絶妙なバランスの造形美。
急須と茶杯と茶托の茶器セット。円が縦に連なったような絶妙なバランスの造形美。

造形においても、精密な数値設計に基づく3D図面と自動切削機で木型を作る一方、銅を切り出し叩くといったエッジや表面の仕上がりを左右する工程は、手作業ならではの微妙な歪みや揺らぎにこだわる。そしてプロダクトと工芸品の間にあるものを追求すると同時に、空間に与える影響も考えながら制作するという。

広瀬にとって器とは、単に使える道具としての枠を超えた、インスタレーションの構成要素でもあるのだ。

プレートは、8寸サイズを規格に、リムあり、リムなし、オーバルなどテーブルに複数並べたときの印象を考慮してサイズやデザインを決める。
プレートは、8寸サイズを規格に、リムあり、リムなし、オーバルなどテーブルに複数並べたときの印象を考慮してサイズやデザインを決める。

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Photos:Ai Miwa Edit & Text:Masumi Sasaki

Profile

広瀬陽 You Hirose 1990年生まれ。多摩美術大学工芸学科卒業。 アーティストユニット明和電機の工員を経て独立。2018年から七宝焼の技法で日常使いの器を作り始める。19年器作家として初個展。22年制作拠点を東京から静岡県伊東市へ移す。近年は器制作の他、平面作品やインスタレーションなどさまざまな手法で作品を制作発表している。次回展示は9/27から白日(東京)にて。
Instagram:@hiroseyou
 

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