自分らしさを貫く、女性ロックアイコンたち | Numero TOKYO
Culture / Feature

自分らしさを貫く、女性ロックアイコンたち

長らく男性社会であったロックシーンだが、ロックバンドのハイムやここで紹介するセイント・ヴィンセントらが、性別に関係なく、自分らしいままロックスターになれると示してくれた。それに続く、いま話題のロックアイコンたちを粉川しのが紹介する。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年10月号掲載

Wet Leg|ウェット・レッグ

Photo:Aflo
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グラミー賞を獲得したデビューアルバムの頃(2022年)は、プレーリードレスやガーリーなルックが多かったウェット・レッグは、新作『モイスチャライザー』でクィア&パンキッシュへと大胆な変貌を遂げた。運命のパートナーと出会い、愛に貪欲になることを恐れなくなったというリアン(Vo&G)の心の躍動が、ヴィヴィッドな新境地へと彼女たちを導いたのかも。

ウェット・レッグ『モイスチャライザー』(2025年)
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The Last Dinner Party|ザ・ラスト・ディナー・パーティー

Photo:Aflo
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自分たちに一切のタブーを設けないマキシマリズムを標榜するTLDP。全英1位獲得のデビューアルバムではサウンドの過剰に負けじと、フリルやリボンをちりばめたゴスロリから挑発的なボンテージまで、ヴィジュアルも多彩を極めたものに。「だって、気まぐれで矛盾に満ちているのが人間でしょう?」と彼女たちは言う。そのとおり!

ザ・ラスト・ディナー・パーティー『From The Pyre』(2025年)
10月17日発売、配信予定
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Laufey|レイヴェイ

Photo:Getty Images
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アイスランド出身のレイヴェイは、ジャズやフォークを取り入れたエレガントポップで注目される26歳。サウンドはクラシカルだけれどブレイクのきっかけはTikTokだったり、シャネルを着こなすレディな佇まいとは裏腹に等身大の歌詞で共感を集めるキャラはフレンドリーだったり、旧来のディーバ像にとらわれない硬軟自在が彼女の魅力。

レイヴェイ『A Matter of Time|ア・マター・オブ・タイム』(2025年)
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St. Vincent|セイント・ヴィンセント

Photo:Aflo
Photo:Aflo

アルバムごとに自身のイメージを一変させ、フェミニンとマスキュリンを自在に行き来しながら表現するセイント・ヴィンセントのアートは、女性に対する固定概念をラディカルに打ち壊すもの。スーパー・ギタリストでもある彼女は自らのシグネチャーモデルのギターを製作。フィメール・アーティストにとって憧れのギアになっている。

セイント・ヴィンセント『All Born Screaming』(2025年)
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Boygenius|ボーイジーニアス

Photo:Getty Images
Photo:Getty Images

ボーイジーニアスが自らをスーパーグループと呼ぶのは、それが男性アーティストにばかり使われてきた呼び名だから。ニルヴァーナをオマージュした黒スーツで雑誌の表紙を飾るなど、ユーモアを交えながら女性だけが「女性バンド」と呼ばれる理不尽にNOを突きつけた彼女たちの登場は、ロックシーンの大きな転換点に。

ボーイジーニアス『ザ・レコード』(2025年)
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Text:Shino Kokawa Edit:Mariko Kimbara

Profile

粉川しの Shino Kokawa ライター、編集者。主に音楽や映画について執筆。雑誌『ロッキング・オン』『CUT』『BUZZ』の編集を手がけ、2005年〜10年には『ロッキング・オン』初の女性編集長を務めた。現在はフリーのライター&編集者として活動、コメンテーターなども務めている。
 

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