カリフォルニアワインを知ろう!
みなさんこんにちは! ワインブロガーのヒマワインです。さて、みなさんはワインというとどこの国を思い浮かべますか。フランス? イタリア? 実は、「アメリカ」も日本人には馴染みの深いワイン大国。

なかでも最大産地であるカリフォルニアは、1州で1国に匹敵するほどの生産量を誇る巨大産地。しかもめちゃくちゃ飲みやすいワインがたくさんの、ワイン初心者の強い味方になる産地でもあるんです。

そんなカリフォルニアワインについて、都内最大級の規模を誇るショップ「ワインマーケット パーティー」のソムリエ店長こと沼田英之店長に詳しく教えてもらいました!
【目次】
「オーパス・ワン」も「ケンゾー」も、カリフォルニアワイン
1本目:シュラムスバーグ ブラン・ド・ブラン ノース・コースト
2本目:スターレーン・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン ハッピーキャニオン・オブ・サンタ・バーバラ
3本目:デコイ・リミテッド シャルドネ ソノマ・コースト
4本目:ビューラー ホワイト・ジンファンデル カリフォルニア
5本目:カレラ マウント・ハーラン ド・ヴィリエ ピノ・ノワール
6本目:ベッドロック オールド・ヴァイン・ジンファンデル
7本目:ナパ・ハイランズ カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー
「オーパス・ワン」も「ケンゾー」も、カリフォルニアワイン
ヒマワイン(以下、ヒマ)「さて、今回は『カリフォルニアワイン』がテーマです」
沼田店長(以下、沼田)「カリフォルニアワインと聞くとピンとこない方も多いかもしれませんが、ワインを知らない人でも『ナパ・バレー』という言葉は聞いたことがあるんじゃないでしょうか」
ヒマ「カリフォルニアの超有名産地ですね」
沼田「はい、ふだんワインを飲まない人でも『ナパ・バレー』という土地の名前や、『オーパス・ワン』っていうワインの名前は知っていたりしますよね」

ヒマ「オーパス・ワンは、よくワインビストロに空き瓶がディスプレーされたりしていますしね。オーパス・ワン、ケンゾー・エステートとかは、すごく有名だと思います」
沼田「ですよね。ナパ・バレーは今やアメリカでは成功の象徴。ビジネスで成功を収めた人が引退後にワイナリーをオープンさせる、アメリカンドリームを象徴するような土地になっています」
ヒマ「ワインの味の特徴としてはどうでしょうか」
沼田「『厚み』と『果実味』ですね。日照量が多いことからぶどうの糖度が上がりやすく、果実味たっぷりで、アルコール度数も他の産地比較して0.5〜1%程度高い、厚みのあるワインが多く造られています」
ヒマ「とにかく味が濃くて、わかりやすい。私もハマりたてのころはカリフォルニアワインばかり飲んでいました」

沼田「私もそうですよ。カリフォルニアワインは私にとってもワインの世界への入り口です。ラベルに品種名が英語で書いてあるから選びやすいですしね」
ヒマ「フランスワインだと『シャトー・ナントカ』『ドメーヌ・カントカ』みたいな感じで、どんな品種を使ったどんなワインか、前提となる知識がないとわからないですもんね。その点カリフォルニアは選びやすい。スクリューキャップを採用しているものも多いから、開けやすいのもいい」
沼田「今日は、そんなカリフォルニアの多様な魅力を、ワインとともに紹介したいと思います」
ヒマ「ぜひお願いします!」
1本目:シュラムスバーグ ブラン・ド・ブラン ノース・コースト

沼田「まずはこちらから。150年前に創業されたという非常に古い生産者で、カリフォルニアでスパークリングワインの造り手といえば誰? となったとき、その筆頭に挙げられる造り手さんです」
ヒマ「カリフォルニアにはあまりスパークリングワインのイメージがないかもしれませんが、これは素晴らしいですね」
沼田「スパークリングワインは酸味が命ですが、カリフォルニアだとどうしてもぶどうの酸度が落ちやすいんです。ですが、このワインにはシークワーサーを思わせる酸味がしっかりと乗っかっています」
ヒマ「泡も非常に繊細です」
沼田「まるでシャンパンのようですよね。そして、カリフォルニアらしい果実味も兼ね備えている。『カリフォルニアはスパークリングもおいしい』ということを、まずは覚えてもらいたいです」
2本目:スターレーン・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン ハッピーキャニオン・オブ・サンタ・バーバラ

沼田「続いては問答無用で名前がいいワインです。『スターレーン=星の道』の『ハッピーキャニオン=幸せの谷』ですからね。プレゼントに最高です」
ヒマ「転勤祝いとか、転職祝いとか、そういう“新しい道”に進む人にめちゃくちゃいいですね」
沼田「これは白ですが、赤もあるんです。紅白でプレゼントするとなお縁起がいい」
ヒマ「職場のカンパが一人500円なら白だけ、一人2,000円集まったら紅白で贈る、みたいな(笑)」
沼田「ですね。そして名前だけでなくワインとしても素晴らしいんです。ソーヴィニヨン・ブランというフランスやニュージーランドで多く栽培されている品種を使っているのですが、カリフォルニアらしい厚みと果実味があって、品種固有のグレープフルーツっぽさもある」
ヒマ「私はあまり好きな品種ではないのですが、これはおいしい! リッチな印象なので、ホタテのバターソテーや、クラムチャウダーなんかが合いそうです」
沼田「鶏のソテーや、クリームシチューにも。フードフレンドリーなワインでもありますね」
3本目:デコイ・リミテッド シャルドネ ソノマ・コースト

ヒマ「続いては『デコイ』ですね。大谷翔平選手の愛犬“デコピン”のもともとの名前として有名になったワインです」
沼田「デコピンがこのワインのボトルの形のクッションをくわえている画像を大谷選手がインスタグラムに投稿したことで、大きな話題になりました」
ヒマ「話題性のみならず、ワインとしても非常においしいですね」
沼田「これは『デコイ・リミテッド』といって少し高めのライン。通常の「デコイ」でも十分においしいですが、やはり高級ラインだけあって素晴らしい味です。バターやトーストのような香ばしい香りに、ドライフルーツのような濃厚な果実味を味わえます」
ヒマ「『ブレッド&バター』という有名なワインがありますが、それにちょっと似た味の方向性ですね」
沼田「そうですね。カリフォルニアのシャルドネといえば! という味です。ピザと合わせたいですね」
ヒマ「クワトロ・フォルマッジとか合いそうですね!」
4本目:ビューラー ホワイト・ジンファンデル カリフォルニア

沼田「カリフォルニアで忘れちゃいけないのがロゼです。そして、カリフォルニアのロゼといえばホワイト・ジンファンデル」
ヒマ「ジンファンデルはカリフォルニアを代表する赤ワイン用品種のひとつ。そのロゼをホワイト・ジンファンデルと呼ぶんですよね」
沼田「その通りです。日本でいえば甲州やマスカット・ベーリーA。チリだったらカルメネールといったように、ほとんどその国でしか造られていないような品種が世界中にはありますが、そのカリフォルニア版がジンファンデルです」
ヒマ「これはアルコール度数10.5%の少し甘口のワインで、ものすごく飲みやすい!」
沼田「すごく深く抽出したアッサムティーのような香り高さがありますよね」
ヒマ「たしかにお茶のニュアンスが強くありますね。その背後にたっぷりした果実味が乗っかっているから、個人的にはさくらんぼのジャムを紅茶に溶かしたロシアンティーを想起します」
沼田「これはデザートと合わせると最高。ラズベリーやブルーベリーをたっぷりと乗せたパイなんかはすごくいいと思います。また、フルーツソースを添えたお肉料理にも」
ヒマ「ワインはちょっと苦手なんだけど、興味はあるっていうくらいの方は、このワインは入口に最適です!」
5本目:カレラ マウント・ハーラン ド・ヴィリエ ピノ・ノワール

沼田「続いては有名生産者の『カレラ』です」
ヒマ「“カリフォルニアのロマネ・コンティ”と呼ばれるワインを造る生産者ですね。世界一高級なワインと言われるロマネ・コンティの畑の樹を自身の畑に植樹した……という伝説が今に伝わっているという」
沼田「このワインの品種もロマネ・コンティと同じピノ・ノワール。ピノ・ノワールは世界中で非常に人気の高い品種で、カリフォルニアでも盛んに造られています」
ヒマ「飲ませてもらいましたが、ちょっとビックリするくらいおいしいです。ピノ・ノワールらしい薔薇やチェリーのような香りがあり、酸味も豊かで、カリフォルニアらしい果実味もしっかり感じられる」
沼田「ピノ・ノワールはフランス・ブルゴーニュ地方が世界一有名な産地ですが、カレラはあるときからブルゴーニュを目指すのをやめたそうです。そして、秋の雨が少ないカリフォルニアでしかできない遅摘みをはじめたんです。つまりカリフォルニアの気候に即した、カリフォルニアらしいピノ・ノワールの表現になっている」
ヒマ「高級ワインはときにワイン初心者にはわかりにくく感じるものですが、これは高級感がありながらわかりやすさも兼ね備えている。高級ワイン入門に推したい1本ですね」
6本目:ベッドロック オールド・ヴァイン・ジンファンデル

沼田「これは赤のジンファンデルです。ジンファンデルというと、濃くて甘めのワインが多いのですが、あえてイメージと異なるものをご用意しました」
ヒマ「あ、ほんとだ。なんというか、カリフォルニアっぽくないというか、酸味を活かした造りになっていますね。比較的上級者向けという印象の味わいです」
沼田「このワインを造っている方のお父さんは、『ジンファンデルの父』と呼ばれた方なんですよ。息子さんも非常に高く評価される醸造家なんですが、お父さんとはコンセプトが全然違ってるんです。いわばニューカリフォルニア」
ヒマ「カリフォルニアって一言でいっても、実は涼しい土地もあれば暑い土地もあるし、造り手も昔ながらのカリフォルニアワインにこだわる人もいれば、思いっきりフランスっぽいワインを造る人がいたりもしますよね」
沼田「濃くてたっぷりしたワインが『与党』だとすれば、カリフォルニアにはそれとは異なる味を目指す『少数野党』がいっぱいいるイメージですね。だからこそ、ワインの多様性がすごい。多様性があるということは、それだけ幅広い料理に合わせられるということでもあります」
ヒマ「多様性を味わうのも、カリフォルニアワインの楽しみ方かもしれませんね」
7本目:ナパ・ハイランズ カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー

沼田「最後は王道中の王道、ナパ・ヴァレーの赤ワインです」
ヒマ「品種はカベルネ・ソーヴィニヨン。カリフォルニアといえばジンファンデルと並んで2トップという印象の品種ですね」
沼田「明石家さんまさんがテレビで絶賛したことで大人気になったワインですが、それも納得のおいしさがあります。ウチの店でも、5,000円台ではもっとも売れてるワインです」
ヒマ「久しぶりに飲ませてもらいましたが、問答無用でおいしいんですよね。濃くて果実味たっぷり。それでいて、どこか梅を思わせるような酸味もあるという」
沼田「樽由来の甘やかな香りがありながら、それが変に主張しすぎてはいない。ブルーベリーのような果実の魅力はあるけれど、決して甘ったるくはない。非常にいいバランスがあります」
ヒマ「スーツを隙なく着こなしたヨーロッパの人の上品さというよりも、ラルフ・ローレンのボタンダウンシャツとチノパンがやたらと似合うアメリカ人の上品さを感じますね、このワインには(笑)」
沼田「言い得て妙かもしれませんね。そして、開けたてからいきなりおいしいのもカリフォルニアワインならではの良さなんですよ」
ヒマ「ワインの世界には、買ってから1年、2年くらい寝かさないと魅力が引き出せないなんてものもありますからね。あくまで高級ワインの世界の話ですが」
沼田「それも含めて、僕自身改めて今日飲んでみて、ワインの入り口にはカリフォルニアワインがやっぱり最適だな! って思いました」
ヒマ「1,000円台、2,000円台でもカリフォルニアワインは飲みやすいものがたくさんありますからね。ぜひ本記事を参考に、近所のワインコーナーが充実したスーパーなどで、『California』と書かれたボトルを探してみてくださいね!」
ワインマーケット パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜20:00
TEL/03-5424-2580
winemart.jp
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