旅に魅せられた6人の俳優たち。何が彼らをアクティブにさせるのか。カメラの向こうには未知なる冒険が広がっていた。第5回目は、旅は1つ目標を決めてあとは成り行きに任せるというSUMIREに話を聞いた。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年6月号掲載)

旅先での偶然の出会いを楽しみたい
どんな旅でも心がけているのは「流れに身を任せること」です。もともと細かい性格ではないせいか、「友達に会いに行く」「気になっているお店を訪ねる」などと旅の大きな目的を一つ設定したら、後は計画を立てず、成り行きに任せます。予定を決めない一番の理由は、旅先での偶然の出会いを楽しみたいから。ご飯屋さんで隣の席になった人と話すなんて東京ではあまりできないことなので、旅先では大事にするようにしています。

先日、ドラマの撮影でタイに1カ月ほど滞在したんですが、こんなにも長く一つの場所に滞在するのは久しぶりで、すごくいい時間を過ごせました。時間に余裕があるせいか、お休みや空き時間も思い立つと自由に行動できたので、ここでもいろいろな出会いがありました。現地に住んでいる友達がおすすめしてくれた本屋さんにふらりと立ち寄ったら、子どものとき大好きだった『からすのパンやさん』のタイ語版絵本を見つけて。「タイの子どもたちもこれを読んで私と同じような感想を抱くのかな」と、想像が膨らみました。タイはこれまで何度も行ったことがある場所で、以前からご飯や気温、文化が自分に合うなと思っていたんですが、普段の旅行とは違う動きができたおかげで、より深くタイを知れた気がします。
旅先での撮影はiPhone派
旅先での撮影は、基本はiPhoneです。スマホカメラは、自分の気持ちが動いたら、その瞬間にさっと取り出してシャッターを切れるので、思い立ったらすぐ行動したい私と相性がいいみたいです。「この景色に惹かれる」「信じられないくらいにおいしいご飯に出合った」などと、何かに心が揺さぶられた瞬間に撮ることが多いです。私は普段、食べ物の写真はほぼ撮らないタイプ。でも先日、長崎の五島列島で手のひらサイズの大きな牡蠣を食べたときは、おいしさに感動し、気づけば写真を撮っていました。抱いた感情を忘れないために撮るので、誰かに見せるためというよりは、自分だけがわかる記録的な写真が多いかもしれません。カメラロールを見返すと、会話や気温、感情など、そのとき過ごした時間を鮮明に思い出します。

ふっと浮かんだアイデアを撮影するのも好きです。先日NYに行ったときも、せっかく来たからにはテーマを決めて写真を撮りたいなと思って、街で見かけた犬を次々に撮影していました。今年は旅行の機会を増やしたいと思っていて、ワンちゃん写真集を作れるくらい、たくさん写真を撮り溜めたいです。
Photos:Sumire Interview & Text:Haruna Fujimura Edit:Miyu Kadota
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