春夏コレクションに見る、2025年私たちが目指す女性像とは | Numero TOKYO
Fashion / Feature

春夏コレクションに見る、2025年私たちが目指す女性像とは

2025年春夏、コレクションから時代を写すキーワードを3つ紹介。各ブランドが打ち出したルックやスタイリングから見えたのは、「どう見られるかよりも、どうありたいか」を大事にする新たな時代の女性像。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年1・2月合併号掲載)

心に響く“可愛さ”を求めて

2025年春夏コレクションで目立ったのが、ランジェリーのようなルック。シフォンにレース、チュールなど透け感のある素材、柔らく包み込まれるような色み。これまでもランジェリーライクなルックは数多く登場しているけれど、今シーズン一線を画すのが、男性目線がチラつくものではなく、キュンとするようなファンタジー性があり、素直に着てみたいと思う点だ。昨シーズンに就任したシェミナ・カマリによる初の春夏コレクションで注目されたクロエも直感的に「可愛い」と思わせるランジェリーライクなルックを見せた。

デイリーウェアとして取り入れたいスポーティ&アクティブなスタイルにも注目したい。機能的でありながらカジュアルすぎず、フェミニンなイメージが新鮮。いつも快活に過ごせるよう支えてくれそう。ディオールはギリシャ神話に登場する女戦士部族アマゾーンをインスピレーションソースに、フェミニニティなエッセンスが薫るスポーティなコレクションを披露した。エルメスはシアー素材使いでセンシュアルかつ自由で活動的な女性を彷彿とさせる。ミュウミュウのルックのようにスイムウェアを日常着にしたり、自由なイメージで楽しみたい。

軽やかさとしなやかな強さを

社会のなかでさまざまな役割を担う私たちには、自分を守るためのジャケットが必要だ!といわんばかりのパワージャケットも多く登場した。オーバーサイズやショルダーディテールが際立つジャケットのインは、ブラウス、キャミソール、時には素肌と、ルールにとらわれないことが流儀。環境と動物愛護を提唱し、「Save What You Love」をマニフェストに掲げたステラ マッカートニーは、ジャケットに透け感のあるボディスーツを合わせるなど、マスキュリンとエレガンスが融合したスタイルを多く披露。パワフルだけどソフト、肩肘張らない余裕を表現したい。

どう見られるかよりも、どうありたいか。先行きの見えない不安な時代だからこそ、自分に響くものを信じる強さ、その時々を楽しむスタイルが大切だ。軽やかにしなやかに。ファッションの力を取り入れて、2025年、自分の物語の主役になろう。

Edit & Text:Michie Mito

Profile

水戸美千恵Michie Mito マーケティング・ディレクター/エディトリアル・ディレクター。大学時代にジャーナリストアシスタント、ライターとして書籍、雑誌に携わる。卒業後扶桑社へ入社し、女性ファッション誌を経て『NumeroTOKYO』創刊1年目より副編集長に就任。ファッションページ制作や取材のほか連載「YOUのテキトーく」「佐久間由美子が聞く 女性表現者たちの闘い」を担当。食、旅、アートも好きなもの。座右の銘は「いつも心にナンシーを」。Instagram: @mitomiche

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