スキンケアのプロ、OSAJI茂田正和が直伝!心と身体を整える美容レシピ | Numero TOKYO
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スキンケアのプロ、OSAJI茂田正和が直伝!心と身体を整える美容レシピ

植物由来の敏感肌用スキンケア製品で多くの支持を得ている「オサジ」。その開発者、茂田正和さんによるレシピ本『食べる美容』は日常の食事で根本から肌を整えるアプローチで話題に。茂田さんに心と美容の関係から食を通した美容の捉え方までを聞いた。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年10月号掲載)

何より大切にしているのは、おいしく楽しく食べられること

──『食べる美容』を開くと、並んでいるのはプロ顔負けの本格的なメニューたち。茂田さんが料理に目覚めたきっかけとは、何だったのでしょうか。美肌に効くメニューを考案する際は、どんなことを最も気にかけていますか。

「もともと幼い頃から、手を動かして何かを作ることが好きでした。周りが外でサッカーをしていても、家のこたつで折り紙をしているような子どもだったんです。料理は、少なくとも中学生のときには自分が作って人に食べてもらうことを〝楽しい〟と感じていましたね。正月や盆に親戚の集まりがあると父母が厨房に立っていたのですが、自然とその手伝いをしたのが始まりだったと思います。

料理って、会話のきっかけになるでしょう。口にしたときに食べた人の表情がぱあっと明るく変化して、のちに会話が生じ、続いていく。それがとてもうれしくて、高校生の頃はよく自宅に友人を招き、僕が料理をふるまってホームパーティを開いていました。だから、実は何より大切にしているのは、おいしく楽しく食べられること。もちろん肌に必要な栄養素を考えることも大事なのですが、心から楽しめるかどうかがいちばんです」

──書籍の中にもありましたが、美しい肌のためには精神、食、スキンケアのバランスこそが大切だということでしたね。

「紫外線が強い季節だから抗酸化作用の高いものをとか、ホルモンバランスが乱れているのでタンパク質を補うなど、いろいろあるにはあるものの、精神がぐずぐずの状態ではせっかく食べたものがうまく作用しなかったり、効かせたいところに効かなかったりするんです。

とはいえ『ストレスを溜めず身体に良いものを食べよう』と言われても、それが忙しくてできないからこそ困っているのが現代人。まずは多忙な中でも簡単に作れ、誰も“キッチンの犠牲”になることなく手軽に取り入れてもらえることを最優先に考えました。だから今回ご紹介したメニューも、材料を混ぜるだけとか、鍋ひとつだけで完結する2品です。その上で、季節の肌の悩みに対処できる栄養バランスの取れた食材を組み合わせています」

食材は何よりも“旬”を味方に

──今回は、厳しい残暑のシーズンに向けたスペシャルメニューをご教示いただきました。美肌に効く食材選びのポイントは、どのようなところにあるのでしょうか。

「夏に浴びた紫外線でできたメラニンをきちんと排泄できるように、ターンオーバーを促せるような食材をメインに選びました。戻り鰹は鉄分やビタミンB12など、血流を促す栄養素が多いです。アクセントとしてアミノ酸が豊富なイチジクを加えましたが、ビタミンCがたくさん摂れるオレンジやグレープフルーツ、あとは梨などに置き換えてもよいですね。ラム肉はタンパク質が多く含まれる上、糖質や脂質の代謝を助ける補酵素であるビタミンB1やB2などが同時に補給できるおすすめ食材。これと合わせた舞茸にも、代謝を促すナイアシンや肌の潤い保持に役立つアミノ酸が。

といっても、食材であればたいてい何らかの栄養素を持っています。手っ取り早くて間違いないのは、旬の食材を取り入れること。夏野菜には抗酸化力が強く代謝を促すものが多いですし、冬に旬を迎える食材には血液循環を助けて体温を上げるものが数多くあり、それぞれの季節にぴったりの役割を果たしてくれる。年中採れる海産物も、その季節に必要な栄養素の含有量が増えるんです。しかも、市場で安く売られる傾向にあるので、願ったり叶ったりなんですよ」

──肌を健やかに整えるという観点で食事を考えるとき、留意すべきことはありますか。

「スキンケアには二つの柱があります。一つは肌がたっぷりの水分を抱きかかえられるようにすることで、もう一つがその水分にフタをし、蒸発させないようにすること。前者には水溶性の保湿成分、後者にはワセリンなどの油性成分が適していますね。水分が足りないところへどれだけオイルやバームを重ねても状態は良くならないので、内側から潤いをチャージすることが先決なんです。そのために食事ではまずアミノ酸──つまりタンパク質とミネラルを十分に摂るとよいでしょう。内部が潤って初めて、肌のキメは整うし、透明感が出て化粧ノリもよくなっていくわけです」

──食にスキンケアと、さまざまな角度から多くの人のビューティライフをサポートされている茂田さんですが、あらためて“美容”とはどのようなものだとお考えですか。

「僕は、たいてい人は誰もがコンプレックスを抱えていると感じていて。見た目に限らず、性格や得意、不得意など……ほとんどなくなることのないそれらと、どう対峙するかが重要ではないかと。深く悩むがゆえに憂鬱になれば、その人は美しく見えない。だから、そのコンプレックスを凌駕するくらい大切で楽しいと思えるものを見つけることが人生であり、美容ではないかと思うんです。例えば、ちょっとした小ジワがあっても悩まないでいられるくらい楽しく旅行する、おいしいものを食べる、好きな服を着る……と、自分が前向きでいられる方法を持っている人は、他人の目にとても素敵に映るのではないでしょうか」

シミを防ぎ、潤う肌へ導く秋の2皿

ターンオーバーを促進して夏のメラニンを排出しつつ、乾燥季に向けて肌の水分保持に必要なアミノ酸をチャージしよう。

戻り鰹とイチジクのマリネ

材料
鰹 150g
塩麹 小さじ1
ハチミツ 小さじ1
粒マスタード 小さじ1
太白ごま油 大さじ1
レモン汁 1/4個分
イチジク 1個

作り方
1. 鰹はスライスして塩麹に漬ける。(5分程度を目安にお好みの長さで)
2. ボウルにハチミツ、粒マスタード、太白ごま油、レモン汁を入れて混ぜる。
3. 2に1の鰹、三日月切りにしたイチジクを加えて和え、皿に盛る。

羊肉と舞茸の炊き込みご飯

材料
ラム肩ロース肉 100g
ハチミツ 大さじ1
みりん 小さじ2
醤油 小さじ2
塩 小さじ1/2
胡椒 小さじ1
太白ごま油 大さじ1
舞茸 200g
米 1.5合
パクチー 適量

作り方
1. ボウルにスライスしたラム肩ロース肉、ハチミツ、みりん、醤油、塩、胡椒、太白ごま油を入れて和える。漬けておいてもOK。
2. 舞茸にひとつまみの塩(分量外)を振り、フライパンで5分程度、空炒りする。
3. 鍋に研いだ米と水300mlを入れ、その上に1と2をのせる。
4. 蓋をして中火で沸騰させたら、弱火で10分炊き、火を止めて5分蒸らす。
5. 胡椒(分量外)を適量振り、お好みで刻んだパクチーをのせる。

Recipes:Masakazu Shigeta Photos:Ayako Masunaga Interview & Text:Misaki Yamashita

Profile

茂田正和Masakazu Shigeta 1978年生まれ。音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。17年にスキンケアライフスタイルブランド、オサジ(OSAJI)を創立。今年2月に身体の中から美しくなる簡単でおいしいレシピ集『食べる美容』(主婦と生活社)を出版した。

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