全室露天風呂付きの箱根「はつはな」で五感を満たす湯治セラピーの旅 | Numero TOKYO
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全室露天風呂付きの箱根「はつはな」で五感を満たす湯治セラピーの旅

提供元:はつはな
提供元:はつはな

いよいよ迎える秋の紅葉シーズン、せっかくなら赤や黄色に色づく山々を、プライベートな客室露天から眺められたら……。そんな願望を叶えてくれるのが、2022年9月にリニューアルしたばかりの箱根「はつはな」だ。全室温泉露天風呂付きの客室からは色づく湯坂山を愛でられるほか、地産食材を使ったモダン懐石に舌鼓を打ち、湯治セラピーをコンセプトにしたスパでのトリートメントまで叶う。都心からもアクセスしやすい、至高の温泉旅の様子を紹介する。

2022年9月、全室温泉露天風呂付きへとリニューアルした「はつはな」

新宿からロマンスカーに乗って約1時間半。箱根湯本駅で降り、送迎車に揺られ10分ほどで「はつはな」に到着する。元々「ホテルはつはな」として1993年4月1日に開業し、女性にやさしい宿をコンセプトとした細やかなおもてなしで、多くの人々に愛されてきた。

そして2022年9月11日(日)に「はつはな」と名前変えてリニューアル。プライベート感を高めた、より特別感のあるおもてなしでリラックスできる施設へと変貌を遂げた。

新たなコンセプトは「心と五感が満ちる静かなとき」。湯坂山の風景、風の音や鳥の声、草木の香り、おいしい料理、温もり感じる温泉など、滞在を通して五感がくすぐられるような体験の数々をゲストに提供している。

ホテルオリジナルの小菓子や、アルコールとともに寛げるラウンジ

リニューアルで変わったものの一つが、エントランスを入ってすぐの場所にあるラウンジだ。ゲストが自由にくつろげるラウンジで、火のゆらめきに癒されて欲しいという思いで暖炉も設けられている。

チェックインの手続きもこのラウンジで行う。ウェルカムドリンクではビールや癒し・美肌効果を意識した、オーガニック・デトックスのお茶が振舞われる。

チェックイン以外の時間帯も、お好みでウォッカやテキーラなどのリキュールやワインやコーヒー、紅茶などお好みのものをフリードリンクで楽しめる。

また、19時~22時の間、ホテルオリジナルの小菓子も登場するため、ナイトタイムを満喫するのにも打ってつけだ。

全35室、約90平米のスイートルームにはシャンパンも完備

客室は従来の47室から35室に縮小し、一室の広さは約43~105平米もあり、ゲスト一人ひとりのくつろぎを追求している。さらに全客室に温泉露天風呂を完備し、心地良さと機能性を兼ね備えた和風モダンの客室へとアップデートされた。

すべての客室が湯坂山と須雲川に面しており、プライベートな空間で人目を気にせず、四季の景色とともにゆったりと温泉を楽しめるのが嬉しい。もちろん、秋は箱根の紅葉が目の前に広がる特等席となる。

客室は、「宙」「白」「地」の桜をイメージしたコンセプトでそれぞれデザイン。一番上のカテゴリであるラグジュアリーは全5室、「宙」のイメージカラーでデザインされている。

今回私が宿泊したのは最上階、角部屋のラグジュアリー E type 雅(みやび)。約90平米の広さがあり最大宿泊人数4名、和室とリビング、寝室で構成された和モダンなスイートルームだ。畳廊下から和室までつながる壁一面の石目調タイルや、ブラウンゴールドが優美な雰囲気を醸している。

客室には日本製のオーガニックコスメ「OASAJI(オサジ)」の基礎化粧品が備えられているほか、ラグジュアリーカテゴリでは「vitoas」のオールインワンスキンケア、「ReFa」のシャンプー&トリートメントとシャワーヘッド、ドライヤーを設置。女性の心地よさを追求する「ホテルはつはな」のスピリットが受け継がれているようだ。

個人的に感動したのが、ドリンクアメニティのレベルの高さ。ラグジュアリーカテゴリの客室にはバルミューダのコーヒーメーカー、そして3種類のコーヒー豆とコーヒーミルが備えられており、客室でいつでも挽きたて、淹れたてのスペシャリティコーヒーが味わえる。温泉旅館となるとなかなかおいしいコーヒーに巡り合えないことが多いように思うが、その問題を一気に払しょくしてくれる充実の設備だと感じた。ちなみにケトルはデロンギだ。

ティーアメニティは系列ホテルである箱根「山のホテル」のデザートレストラン「サロン・ド・テ ロザージュ」の紅茶や、世界農業遺産にも選出された茶草場農法の掛川茶などが揃う。

冷蔵庫に「はつはな」オリジナルビール2種類に加え、ラグジュアリーカテゴリの客室限定でパイパーエドシックのハーフボトルシャンパン、果汁100%ジュースとペリエも完備。このほか蒸しきんつばを含む箱根ならではの3種類の和菓子など、すべてコンプリメンタリーだ。

4つの貸切温泉、2つの大浴場、スパ施設で優雅な湯治体験

自家源泉の温泉湯めぐりも、客室の露天風呂、大浴場、4つの貸切風呂(1回45分無料の予約制)で叶う。大浴場は従来の「女性大浴場」と「やまざくら」をリニューアルし、「竹の葉(たけのは)」と「山の端(やまのは)」を朝夜の男女入れ替え制で楽しめるようになった。

源泉は須雲川温泉で、泉質はアルカリ性単純温泉。お肌に嬉しい効果が期待できるそうだが、透明度が高く匂いや刺激もあまりないため、老若男女が安心して浸かれる温泉だ。1階の「竹の葉(たけのは)」は3つの露天風呂と内湯1つ、湯上りラウンジを備える。

その名の通り、竹林が目の前に広がる湯坂山のパノラマビューが自慢だ。須雲川のせせらぎとともに、湯浴を堪能できる。

温泉棟1階の「竹の葉」へ行く際に利用する「スロープカー」も「はつはな」ならではの魅力だろう。跨座式・懸垂式のモノレール車両が宿泊施設内に設けられおり、昇降中は大きな窓ガラスから湯坂山の大自然を一望できる。

温泉棟2階にある大浴場「山の端(やまのは)」は、露天風呂に加えリニューアルでドライサウナと水風呂が新設された。

サウナには窓が設けられているので開放感があり、外の自然の景色を愛でられる。

貸切風呂は4か所新設され、すべてくつろぎスペース、パウダールーム付きで、「足柄の水」やタオル、バスアメニティも完備。一番人気の「川音(かわと)の湯」は、貸切風呂で唯一露天風呂のインフィニティスタイルで、大自然に溶け込む一体感が魅力的だ。

今回私が利用したのは、「明灯(あかり)の湯」。浴室から森がつながっているような、石盤の庭が窓の外に広がる。夜になると床面に仕込まれた光ファイバーが、より一層幻想的な雰囲気を醸していた。

「はつはな」での湯治をより一層楽しみたいなら、リラクゼーション施設「まほろみ」の「湯治セラピー」をコンセプトにしたトリートメントも受けてみてほしい。「湯治セラピー」は、30万人以上の臨床経験から生まれたクリニカルゾーンセラピーの技術と、湯治を知り尽くした温泉ソムリエの知恵が融合して生まれた温泉地専門のセラピーだ。

陰陽五行説の木(フランキンセンスとローズ、ベルガモットのブレンド精油)、火(ヒマラヤ山脈の岩塩)、土(チェリーの種)、金(音叉)、水(飲泉水)をそれぞれ体現した素材を用いたトリートメントを展開している。今回受けた「まほろみトリートメント」(60分19,000円~)では、施術前に飲泉水を飲み、ヒマラヤ山脈の岩塩を使ったフットバスを受けたのち、音叉による音のセラピー、温めたチェリーピローでお腹や背中を温めつつ、フランキンセンスをメインで用いた精油でのボディマッサージを施してくれた。

トリートメント後は身体の巡りを整えると言われるオリジナルブレンドティーのサービスも。さらに温泉に浸かることで、溜め込んだ疲労やむくみを深層からリセットしてくれるかのようだった。

地元神奈川のブランド牛や旬の食材を使った「モダン懐石」を堪能

お楽しみの夕食は、懐石料理をベースに洋のエッセンスを加えた「モダン懐石」がコンセプト。例えば訪れた9月末の先付では、足柄金太郎鱒寿司をバルサミコ酢とピンクペッパーで仕上げていたり、牛タンスープにゴルゴンゾーラソースを合わせていたりと、小粋なアレンジがなされていた。乾杯酒も、桜のリキュールを使ったドリンクで、器に花をあしらうなど、華やかさにも富む。

フカヒレを使った椀物や、鮮魚5種盛りに続き、トリュフオイルの香りをまとわせたヒラメのムニエルが登場。白ワインとバターで仕上げるヴァンブランソースの上に、飴細工のように美しいライスペーパーのフライをトッピングしていて、かぐわしい香りや食感も楽しい一皿だった。

主菜の肉料理には、神奈川県南足柄の地で唯一放牧飼育され、雄大な箱根丹沢山麓の美味しい水と、独自で研究された上質な飼料で丹生に飼育された「相州牛」を使用。お米部分はポップコーンのように食べられるすすき稲穂や、ウサギ型のニンジンをあしらったお月見玉子も添えられ、お皿の上で秋を表現しているのも愛らしかった。

朝食も神奈川県産をはじめとするベーコン、ソーセージや、水耕栽培で育てた秦野野菜を使ったサラダ、炊き立ての小田原米「はるみ」など、神奈川産の食材が目白押しだ。フレッシュな野菜やフルーツもたっぷりで、ヘルシーなのも嬉しい。銀だらの西京焼きや、ウニシイタケ、焼き明太子、とろろなど、ごはんのお供の充実ぶりも素晴らしく、朝からしっかりお腹と心を満たすことができる。

夕食と朝食をいただくダイニング「はなゑみ」は全卓個室仕様でありながら、広く窓がとられた席も。四季折々の景色を眺めながら、心静かに食事を愉しめる。

今回、混雑を避けるために平日に箱根を訪れたのだが、会社員であっても午後休、午前休の取得だけで滞在を満喫することができるスケジュールであった。これも東京からアクセスしやすい箱根ならではの魅力だろう。ずらし旅でいつもより手ごろに、人混みを避けた静かな箱根ステイを満喫してみてはいかがだろうか。

はつはな
住所/神奈川県足柄下郡箱根町須雲川20-1
TEL/0460-85-7321(受付時間10:00~19:00)
URL/https://www.hakone-hotelhatsuhana.jp/

Photos & Text:Riho Nakamori

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