舘鼻則孝らが参加する、北陸発「GO FOR KOGEI 2024」が開催中PROMOTION
ものづくりが古くから継承されてきた北陸から、工芸を発信する「GO FOR KOGEI 2024」が10月20日(日)まで開催中。2020年から5回目となる今年は、富山・岩瀬地区と金沢・東山地区で行われている。
GO FOR KOGEIは、現代アート、アール・ブリュット、デザインなど隣接するジャンルとともに横断的に工芸を紹介することで、豊かで広がりのある姿として紹介するイベント。とかくそれぞれの領域を定めがちななかで、「KOGEI」とアルファベット表記することで、その可能性を広げている。
美術館ではなく、伝統的な街並みが残るエリアにサイト スペシフィック アートとして作品を展示することで、旅気分を味わいながら、境界線を広げ、新たな視点をもたらすよう考えられている。今回はユニットを含む37名(15名+4組)のアーティストが参加。
総合監修とキュレーションを務めるのは、東京藝術大学名誉教授、金沢21世紀美術館特任館長でもある秋元雄史、プロデューサーは認定NPO法人 趣都金澤の理事長で建築家の浦淳と、ともに工芸やアートの世界を熟知した二人。
参加アーティストの一人、舘鼻則孝は日本の伝統工芸を現代的に解釈し、江戸文化の現代化を推し進めるアーティストだ。代表作はレディー・ガガが愛用し、世界的にも注目を集めた「ヒールレスシューズ」。江戸時代の花魁の高下駄に着想を得て、現代アートに昇華した作品は唯一無二の存在感を放つ。また2023年にはバスケットコートにポップアートな絵画を描いた作品でも新境地を開拓。江戸の粋をフックに、ファッションと現代アート、伝統工芸といった境界線を軽やかに行き来している。
富山の岩瀬エリアは、古くは北前船の寄港地で栄えた地域。銘酒、満寿泉で知られる酒蔵、桝田酒造店が中心となり、3年ほど前から伝統を継承しながら街全体を新しい姿に。御料理ふじ居などミシュランスターの名店が並び、フーディーたちも注目する、話題の地域だ。今回はエリアにあるレストランなどにも作品が展示されている。
舘鼻則孝の作品「ディセンディングペインティング“雲龍図”」が披露されているのは、その桝田酒造店の1912年に建てられた酒造場。2階の空間の奥に位置する神棚から手前に向かい、鮮やかな配色で稲妻が床面いっぱいに広がる。桝田酒造店のシンボルである龍を隠喩する稲妻であり、先端が三方に分かれる姿は龍爪(りゅうそう)を表現。日本酒の原料、米と稲妻は縁深いものであり、豊穣への願いも込めている。今夏の猛暑のなか、2カ月がかりで制作された。
酒蔵の1階には代表作「ヒールレスシューズ」のクリスタルバージョンも展示。歴史ある重厚な蔵のなかに怪しく佇む煌びやかなシューズは、そのコントラストによって作品の魅力をより際立たせている。
さらに国登録有形文化財(建造物)の旧馬場家住宅内のチェコ式クラフトビール醸造所、KOBO Brew Pubにももう1点の「ディセンディングペインティング“雲龍図”」を展示。満寿泉の酒粕を使ったクラフトビールと富山牛の絶品ビーフジャーキーなどをいただきながら、ゆっくり鑑賞できる。
岩瀬エリアではこのほかステンレスの彫刻を中心に、コンテナ内に千羽鶴から着想した抽象絵画を描いた松山智ーのインスタレーションや若手注目株の石渡結の巨大な布作品、富山で作陶する釋永岳の器作品など多彩な作品が展示されている。
金沢・東山エリアでは輪島塗の赤木明登と信楽焼の大谷桃子の蓮の絵画の共同展示、開化堂の八木隆裕による作品なども披露されている。また10月13、14、20日の15:00〜16:30には「金属のうつわで愛でる、立ち呑みふるまい酒」などイベントも開催。
富山・岩瀬、金沢・東山という古き良き街並みを残すエリアと、工芸の未来を感じさせるKOGEIとが融合する特別な祭典。過ごしやすくなった秋の休日に、風情や豊かな食を楽しみながらの富山・金沢旅を!
GO FOR KOGEI 2024
くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの
会期/2024年9月14日(土)〜10月20日(日)
時間/10:00〜16:30(最終入場16:00)
会場/富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
休場日/沙石(火曜) SKLo(水曜)ほか会期中無休
料金/共通パスポート 一般 2,500円 学生(大学生・専門学生) 2,000円
URL/goforkogei.com
※画像写真の無断転載を禁じます。
Edit&Text:Hiroko Koizumi