「BONEE」デザイナーに聞く20の質問「本当の自分でいられる生活の一部としてのジュエリー」 | Numero TOKYO
Fashion / Feature

「BONEE」デザイナーに聞く20の質問「本当の自分でいられる生活の一部としてのジュエリー」

“Inner Self, Open-minded”をコンセプトに、人種やジェンダー、年齢などのカテゴリーにとらわれない生活に寄り添うジュエリーを提案するブランド「BONEE(ボーニー)」。ジュエリーデザイナー、ノゾミ・フジクラが考えるジュエリーのあり方、デザインの着想源やブランド、コレクションに込めた思いをたずねた。

ファッション観について

──ファッション、ジュエリーに興味を持ちはじめた原体験は?

「母のジュエリーボックスにあった銀細工の繊細な花のリングや、アフリカンテイストのカラフルな玉がつながれたネックレスなど、自分が身に着けるのではなくその造形や色をただただ眺めることが大好きだった記憶があります」

──そんなファッション体験を経て、ジュエリーを作ろうと思ったきっかけは?

「特筆すべききっかけはなく、ファッションに興味を持ち、アクセサリーに興味を持ち、作ってみたいなという思いからそういった職種に進んでいきました」

──ファッションの中でもジュエリーとはどんな存在?

「嗜好品。なくてもいいもの。だけどあったら感情や生活に自己が拡張されていくもの」

BONEEについて

──BONEEというブランド名の由来は?

「BORN、BORDERLESS、INNER、FREE、NEEDからなる造語です」

──コンセプトの「Inner Self, Open-minded」とは?

「自己を解放し、本当の自分でいること、カテゴリーにとらわれず自分を表現していくこと」

──コンセプトに込めた思いとは?

「誰しもそうだとは思いますが、幼少期から人からジャッジを受ける人生を歩む中で、年齢や性別、容姿など様々なカテゴリーにとらわれず自己を認めることができる生活の一端でありたいという思いです」

──過去の経験、これまでのキャリアを経て、自身のブランドを立ち上げた理由は?

「企業デザイナーのキャリアを積む中、ターゲット層に向けてのデザインと自分との乖離を感じ始め、自分自身により近い感覚でデザインをしたものを作っていきたいと思ったことがきっかけです。ファッションや今の気分に基づいた生活に寄り添うようなジュエリーブランドにしたいという思いがありました」

──毎シーズン新作を発表する中で、定番や継続するアイテムもあるかと思いますが、BONEEとってのコレクションのあり方は?

「模索中です。年2回発表という縛りが先だってコレクションを作っていくものなのか、ビジネス的にはそうしていかないとブランド運営を回すのが難しくなる現実もありますが、ジュエリーのようなアーカイヴの残る普遍的なものを縛りに合わせてデザイン量産していくことに疑問を持っています。アーカイヴをなるべく残し、無理のない新作を足していく丁寧な商品構成を実現していきたいです」

──ルックのビジュアルからも、人種やジェンダー、年齢などあらゆるカテゴリーにとらわれないジュエリーブランドとしてのこだわりが感じ取れます。ビジュアル表現で大切にしていることは?

「その時の自分の気になっている情景や空気感、海外の国であったり、24AWで言うとギャルっぽさなどを土台に、ブランドのコンセプトを感じさせるような多様なモデルを起用しています。モデルはユーザーに近いムードを持たせたいため、なるべくプロの専属モデルではない方を選ぶようにしてます」

ジュエリーデザインについて

──BONEEのジュエリーの特徴をひと言で表現すると?

「シルバー素材を中心としたニュートラルでファッションに合うジュエリー」

*ヌメロ クローゼット展開商品

──他にはないBONEEのオリジナリティ、BONEEらしいデザイン、ディテールとは?

「BALL&HOOK(ネックレス)は留め具部分がフックをボールにかけるようなデザインだったり、CHIPPED APPLE(ピアス)は普通の丸い形状ではなく少し欠けた部分があるデザインで、着用した時に耳たぶを挟んだように見えるようにしました。シンプルな中にも遊び心やちょっとしたフックがあり、飽きずに着用できるデザインになっています」

──シルバーにこだわる理由は?

「単純に素材の美しさ、そしてお手入れをしていただければ長く愛用できる素材であること。再生可能な素材であることから選択していますが、シルバーにこだわりすぎず用途やデザインによっては素材を変えていくこともあります」

──BONEEのジュエリー製品において大切にしていること。そのために実践していることは?

「ほとんどのシルバー製品が山梨県の工場で作られており、磨きのクオリティなど維持できるよう技術の高い特定の職人さんだけにお願いしています」

*ヌメロ クローゼット展開商品 (左)サークルヘアクリップ¥44,000 (右)ヘアクリップ¥38,500

──24SSシーズンから新たにヘアジュエリーのコレクション「Wave H」もスタートしました。きっかけは?

「シーズンのデザインに取り掛かる前から、個人的にヘアにポイントを持っていきたいという気持ちが芽生えていた時と同じくして、コレクションを重ね通常のBONEEとは異なる自分の中のデザイン性をアウトプットしたいと考えていた時期と重なり、ヘアジュエリーという枠で提案するのも面白いかなと思って作り始めました」

──他のジュエリーに比べ、着けた時のインパクトや存在感がよりあるデザインに感じられましたが、ヘアジュエリーということで意識した点は?

「ヘアジュエリーは通常のジュエリーよりも着用時のポイントとなることを重視されるようなアイテムだと思っています。BONEEのファッションに寄り添うデザインのシルバージュエリーと異なり、ヘアジュエリーはそのものがファッションであるようなデザインにしています。そのため自分の中の個性をより強く出し、独創的であることをデザインにおいて優先しています」

──デザインが生まれるのはどんなところから?どんな事柄がデザインに影響を与えているのでしょうか。

「その時気になっているファッションのムードやディテールが根底にありますが、たいがいはふとした時に思いついたデザインが多いです」

──それらのインスピレーションが具体的にどのような形でジュエリーに再解釈されたのか、具体的なアイテムと合わせて教えてください。

「ファッションのディテールの着想からいうと、ヘアジュエリーのTORN MOLTENシリーズ(クリップ・バレッタ・ヘアピン)は引き裂いたり、ダメージ加工された布から着想を得、そこからさらに溶けたようなイメージをレイヤードし、メタルでありながら有機的な印象を与えるデザインにしました。また、PATCHINGシリーズ(クリップ・バレッタ)は、クラッシュした布が重なったところからイメージして作っています。どちらのシリーズも『不揃いな隙間』をポイントとしています」

──2024AWシーズンのコレクションのインスピレーションとデザインの特徴は?

「スタッズやキラキラした石が連なるディテールから着想を得、「つぶつぶ」をメタルのドットやキュービックジルコニアの石など素材を変えながら様々なアイテムで表現しています。(STAR HOPPING EAR CUFF / TWIN STAR CLIP / RAINY NECKLACE / TRIPLETS DOTS BOBBY PIN など)」

サステナブルへの取り組み

──ブランドとしてのサステナブルな取り組み、活動を教えてください。

「パッケージで言うと、再生紙やサトウキビ搾汁後の残りの繊維が原料のバガス、ベジタブルインクなどを使用したBOXやリサイクルコットンのジュエリーポーチ、ショッパーを使用しています。プラフリーであり、再生したものやリサイクル可能な素材を選んでいます。ショッパーは布製でエコバッグとしてお使いいただけるようにしています」

──ファッションにおけるサステナブルのあり方、それをBONEEはどう進めていこうと考えますか?

「ファッションに限らずですが、最終的には商品は全てゴミとなります。それまでの過程で長く愛用していただけるデザインや仕様の物作りをしていきたいです。同時に、商品を取り巻く資材が再生可能であったり、ゴミ処理がしやすい素材選びをして、なるべく環境に負荷をかけないようにしていきたいと思っています。結果的には無駄になる商品がでてしまうような型数ありき、シーズンありきのコレクションにならないように、ビジネスと並行しながらバランスを図った運営をしていきたいと思っています」

BONEE(ボーニー)
https://bonee.me/

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Edit&Text:Masumi Sasaki

Profile

ノゾミ・フジクラNozomi Fujikura ジュエリーデザイナー。企業ブランドにてキャリアを積み、2021年秋冬シーズンより、自身のジュエリーブランド「BONEE(ボーニー)」をスタート。「Inner Self, Open-minded」をコンセプトに掲げ、シルバーをメイン素材として使用し、職人の手による、人種、ジェンダー、年齢などカテゴリーに捉われないジュエリーを発表する。24年春夏より、ヘアジュエリーのコレクション「Wave H」を展開。

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