ナチュラルワイン&オレンジワインの新潮流!? 「クリーンな自然派」に注目!
虎ノ門ヒルズでナチュラルワインの飲み比べ
ナチュラルワインの飲み比べワークショップに参加してきました。虎ノ門ヒルズに出店する炭火焼きと醗酵技術をテーマにしたイタリア料理店falò+のおつまみを食べながら、10種のナチュラルワインをテイスティングするという会です。
ナチュラルワインは自然派ワインとかヴァン・ナチュールなどとも言われ、今やすっかりお馴染みですよね。「普通のワインは苦手だけど、ナチュールは好き!」なんていう方もいたりします。そんなナチュラルワイン界隈に、どうやら静かな変化が起こっているみたいなのです。
さて、その話は一旦おいて、まずは乾杯です。ワインをサーブしてくれたのはインポーター・リリブの宮城優衣さん。リリブはイタリア専門のインポーターなので、乾杯はイタリアを代表するスパークリングワイン、プロセッコです。
プロセッコは安くて気軽に飲める少し甘めのシュワシュワ的なイメージを持たれがちですが、この日供されたのはプロセッコのなかでも上位のスペリオーレ格付けのもので、かつ甘さがほとんどない“エクストラブリュット”と呼ばれるタイプ。
まるでシャンパーニュのような細かい泡がグラスの底から立ち上ります。雑味がまったくなく、梅のような爽やかな香り、レモンのような酸味があって外の暑さで火照った体をスッと落ち着かせてくれます。
「プロセッコの素晴らしさを、もっとみなさんに知っていただきたいんです」と宮城さん。「実は世界で一番売られているスパークリングワインはプロセッコなんです」と教えてくれました。
イタリアのナチュラルワインに起きている静かな変化
さて、乾杯のプロセッコとロゼスパークリングを飲み干したら、いよいよ本番。イタリアのナチュラルワインの世界へと足を踏み入れていきましょう。
まずは白ワインとオレンジワインをテイスティングしました。面白かったのが、プソーレ・ロレンツォという生産者のワインです。
なんでもこちらの生産者は2020年くらいまでは白といってもオレンジに近く(白ワインを造る際に果皮を漬けるとオレンジっぽい色合い=オレンジワインになります)、さらに濾過をしないことで濁りのある、いかにも自然派というワインを造っていたそう。言われてみると、ラベルもいかにも自然派っぽいですよね。
それが、ここ最近は「キレイな造り」と俗に言われる、クラシックなワイン作りに年々回帰しているのだそうです。たしかに外観には濁りもなく、香りにおいても非常にクリーンです。
飲んでみると、海から1キロくらいの畑で造られるというだけにかすかな塩味が感じられ、さわやかな果実味に旨味の乗った非常に上質な味わい。クラシックなワインとナチュラルなワインの中間ややクラシック寄りといった印象でした。
そして、この「クラシックへの回帰」はプソーレ・ロレンツォだけではないようなのです。
ナチュラルワインというと、酸化防止剤を使わないか、極端に減らすこともときに“条件”に挙げられますが、リリブが輸入するワインには、すべて酸化防止剤(SO2)が添加されているといいます。そのほうが品質が安定するのと、イタリアからの輸送にも耐えられるのだそうです。
クリーン&ナチュラルはトレンドになる?
じゃあなにが自然派なんだ、となるわけですが、たとえば「ドラガ・ミクルス」という生産者は、除草剤は使用せず、太陽光発電によるクリーンエネルギーを使用したり、雨水を最大限利用するなど環境への配慮を大切にしているそう。
ドラガ・ミクルスはオレンジワインの聖地的存在であるフリウリの生産者。世界的な自然派ブーム、オレンジワインブームの影響もあり、多くの生産者が白ワインからオレンジワインに舵を切るなか、クラシックな白ワインも同時に造り続けているという造り手です。そして、彼らがつくるオレンジワインが、これがまた実に“キレイなオレンジ”だったのでした。
先に挙げたサルディーニャのプソーレ・ロレンツォも、栽培においては自然農法を取り入れているそうです。 そして、どの生産者も酸化防止剤は添加するものの、あくまで最小限の使用に留めているそう。
栽培は自然、醸造はクラシック回帰。そんな「自然派」の静かな潮流が見えた気がする、この日のワークショップだったのでした。すべてのワインが心地よく体に染み入るような滋味に溢れており、falo+のつまみともよく合っていました。
クリーンでナチュラルで料理によく合うイタリアの“自然派”ワイン。これからも注目していきたいと思います。
Photos & Text: Hima_Wine
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