石上純也氏の「水庭」を望む15室限定のオーベルジュ「那須 無垢の音」で大人の週末旅 | Numero TOKYO
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石上純也氏の「水庭」を望む15室限定のオーベルジュ「那須 無垢の音」で大人の週末旅

提供元:「那須 無垢の音」
提供元:「那須 無垢の音」

2024年4月、タカラレーベンが直営するスモールラグジュアリー仕様のオーベルジュ「那須 無垢の音」が誕生した。敷地内には、他では見ることのできない建築家・石上純也氏が手がけた「水庭」や、千葉拓海氏がシェフを務める、那須の豊かな自然の中で育まれた食材を中心としたフレンチレストランを備える。新たな魅力を携えたオーベルジュ「那須 無垢の音」の滞在をご紹介しよう。

フレンチを満喫できるスモールラグジュアリー仕様のオーベルジュ


JR東京駅から東北新幹線「なすの」に乗って約1時間20分、JR「那須塩原」駅から無料の送迎車やタクシーを使い約30分でアクセスできる「那須 無垢の音」。那須連山の麓、35,000平方メートルを超える広大な自然の中に建築家・石上純也氏が設計製作を手がけた「水庭」、ヴィラスタイルの宿泊空間がある「AUBERGE」、2024年7月にオープンが予定されている宿泊と朝食のみを提供する「B&B」が点在している。


「AUBERGE」の宿泊者はまず、レストラン併設のラウンジでチェックイン手続きを行う。陶芸家・近藤高弘氏が手がけた「空和」という玄武岩を使った作品や、苔玉をイメージした天井のオブジェなどに出迎えられ、訪れた瞬間から自然とアートの調和を体感できる。


チェックイン後は、緑あふれる遊歩道を歩いてスイートヴィラへ。ヴィラは全部で14棟あり、2室あわせて136平米のコネクティングルームとして使える「コネクティングフォース」と、スイートヴィラ(ツイン)が13室の計15室からなる。


建物はそれぞれ敷地の両脇を流れる美しい渓流を間近で楽しめるように、緩やかな傾斜を持つ土地の形状を生かして配置されているのが特長だ。ベッドエリアとデスクエリア、リビングエリアの高さが異なり、エリアごとに部屋を壁で仕切ることなく、開放感のある造りに仕上げてある。

各部屋の広さは、約68平方メートルの室内に約14平方メートルのテラスからなり合計82平方メートルにも及ぶ。室内ではベッドエリアからも、リビングエリアからも、窓の向こうに広がる雄大な自然を眺められる。

光の取り込み方も匠の技が生きており、一面の窓からの採光のほか、ベッドサイド上部からも柔らかい陽の光を取り込み穏やかな雰囲気を醸す。無垢材を使用した内装や、温かみのあるオブジェやインテリアも相まり、周りの自然とうまく調和した心地よい空間だ。

テラスも開放感がありつつ、人目につかないよう工夫がなされており、プライベートな時間を存分に満喫できる。

バスルームのお風呂は、那須の天然水で沸かす半露天仕様。窓を開け放つこともできるので、森の清らかな空気を取り込みながらバスタイムを過ごせる。


洗面所から流れる水も、飲用水として利用可能な那須の天然水だ。パウダールームにはチェアが用意されていたり、バスタオルが温められていたりと、ゲストへの配慮が行き届いていて使いやすい。

バスアメニティにはイギリスのオーガニックスキンケアブランド「bamford」を、歯磨き粉はイタリアのデンタルケアブランド「MARVIS」を採用するなど、アメニティのセレクトも抜かりない。

さらにティーアメニティとして栃木生まれの和紅茶を備えるほか、アサヒビールやサンペレグリノのスパークリングドリンクなども冷蔵庫内にラインナップ。これらのドリンクも宿泊代に含まれている。

建築家・石上純也氏が手がけた「水庭」に自然と人工物の美のあわいを見る

「那須 無垢の音」に訪れた人だけが鑑賞できるのが、建築家・石上純也氏が手がけた「水庭」だ。160の人工池と318本に及ぶ木々が並ぶその様子は、自然界にありそうでない、非現実的で幻想的な風景で、春夏秋冬でその姿を変える。

実は池の水は地中で繋がっており、両サイドに流れる渓流から渓流へと繋がっている。また、318本にも及ぶ木々の移植は生態系に配慮した形で時間をかけて行うなど、緻密な計算により作り上げられた作品なのだ。

春夏は水面に反射する木々の緑も美しい 提供元:「那須 無垢の音」
春夏は水面に反射する木々の緑も美しい 提供元:「那須 無垢の音」

春夏は緑に覆われ、冬は雪に覆われるなど、移りゆく季節が織りなす美しい景色も魅力だ。完成を迎えることなく、刻々と変わり続けるランドスケープを、時の経過を忘れ、ゆっくりと愉しみたい。

那須の新鮮な食材を使ったフレンチをディナーコースと朝食で

オーベルジュの顔となる宿泊者限定のレストランでは、「水庭」を眺めながら、シェフの千葉拓海氏を筆頭に新進気鋭の料理人によるフレンチをいただける。千葉シェフはフランスの「Dolce Chantilly」や東京の「Lyla」、「Craftale」などで腕を振るい、前身の「アートビオトープ那須」内にあったレストラン「restaurant π」でもシェフを務めた経験を持つ。

訪れた際の春のディナーコースでは、アミューズブーシュから春の芽吹きを感じた。スナップエンドウのタルトや、サワークリームとパンチェッタがトッピングされた新タマネギのチップス、ふきのとうのクロケットは、窓の外に広がる大自然と呼応するかのような見た目も面白い。

続く冷前菜では、フェンネルとシマアジのマリネが登場。皮目をこんがり焼いたシマアジにフェンネルとスライスオニオンをふりかけ、ハーブのオイルを回しかけ、スダチの皮を散りばめており、新緑のような爽やかさが口の中を駆け抜ける。

個人的に感動したのが、自家製のカンパーニュ。シェフが前職時代から使っているという自家製酵母と栃木県産の小麦で作り上げたカンパーニュは、外側はガリっと香ばしく、中はふっくら弾力と粘りがある食感で、ホイップバターとの溶け合いが官能的だ。

温前菜のアワビのポワレは肉厚で、いまが旬のグリーンアスパラのグリルや地元産のプチヴェールの青さとみずみずしさ、アワビの肝ソースのほろ苦さが見事に調和している。

メインの白甘鯛の松笠焼きは、素材の味を生かす和食の調理法と、スープやソースにこだわるフレンチの調理法が見事に融合した料理だ。逆だった鱗のパリパリ感、白甘鯛のふくよかな味わい、白甘鯛のだしで取ったスープに山菜とセリ、菊、オリーブオイルの味わいが優しく混ざり合う。

お口直しのグラニテに続くメインの肉料理には「とちぎ和牛フィレのロースト」が登場。とちぎ和牛フィレは艶めくあずき色で口の中でほどけるようにやわらかく、フランス産の黒トリュフの香り高さ、赤ワインを使ったソースヴァンルージュのコクが上品に寄り添う。

デザートには熟成本みりんで甘さを出したソースを添えた、黒ゴマのムースに黒羽茶のアイス、さらに食後の小菓子にはとちおとめのタルトなどが振る舞われた。スイーツも細部まで抜かりのない作り込みで、最後まで多幸感が続くディナーコースだ。

朝食も同じレストランだが夜とは一転、穏やかな朝の日差しに包まれつつ、窓の外の新緑を眺め、鳥のさえずりをBGMにしたやわらかな空間でいただける。

朝食には那須高原野菜の採れたて彩りサラダ、那須御用卵を使ったスクランブルエッグや那須三元豚のシャルキュトリー、パン・オ・ブリオッシュやパン・オ・ショコラなどの自家製パン、フレッシュフルーツや自家製スープなどが登場。既製品はほとんど使わず地元産、手作りにこだわった朝食で、朝から細胞の隅々までおいしく栄養が行き渡るような内容だ。とにかく野菜が新鮮でおいしい。

季節ごとに変化を見せる那須の美しい自然の中で、季節の食材や地元の味覚を取り入れた本格フレンチを満喫できるスモールラグジュアリー仕様のオーベルジュ。最上級の空間で地産の美食を味わいながら、優雅な寛ぎの時間を堪能する旅へ出かけてみてはいかだろうか。

那須 無垢の音
住所/栃木県那須郡那須町高久乙2294-3
TEL/0287-73-8122(予約専用)
https://mukunone.jp/

Photos & Text:Riho Nakamori

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