20世紀彫刻の巨匠、ブランクーシの創作活動に迫る日本の美術館初の展覧会 | Numero TOKYO
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20世紀彫刻の巨匠、ブランクーシの創作活動に迫る日本の美術館初の展覧会

絵画ならピカソ。彫刻ならブランクーシ。そう呼んでも過言ではないほど世界的に知られる20世紀彫刻の巨星、コンスタンティン・ブランクーシ。なんと国内美術館での個展は今回が初。突き詰められた“本質”が今、明らかに。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年5月号掲載)

『接吻』1907-10年 石橋財団アーティゾン美術館蔵
『接吻』1907-10年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

この世に芸術家は数知れず。しかし100年を経てなお、世間一般に名の挙がる才能は極めて少ない。絵画であればパブロ・ピカソ。彫刻ならこの人、コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957年)。街で見たマネキンの顔について「ブランクーシっぽいね」で通じる彫刻家が他にいるだろうか。これも「眠れるミューズ」シリーズが“イメージの元型”として共有されているからできることだ。

『眠れるミューズ』1910-11年頃 大阪中之島美術館蔵(5月12日まで展示)
『眠れるミューズ』1910-11年頃 大阪中之島美術館蔵(5月12日まで展示)

ブランクーシはルーマニアに生まれ、パリでオーギュスト・ロダンの工房に参加するも数十日で離脱。粘土などの模型を彫刻に起こす一般的な手法ではなく、素材を「直彫り(じかぼり)」しながら要素を切り詰めた表現を模索し始める。1920年代以降は主題の抽象化を推し進め、自身を代表するシリーズ「空間の鳥」ではフォルムを極限まで削ぎ落とし、“飛ぶ”という本質のみを表現するに至った。

『空間の鳥』1926年(1982年鋳造) 横浜美術館蔵
『空間の鳥』1926年(1982年鋳造) 横浜美術館蔵

そのブランクーシだが、日本の美術館での個展はなんと初。彫刻を中心に絵画や写真など、創作の全体像を紹介する。20世紀彫刻の巨星として意識に刻まれた“元型”の実像を、初めて目にする千載一遇の機会。これを見ずにもう「ブランクーシっぽい」とは言わせない。

『鳥』1930年 ブランクーシ・エステート蔵
『鳥』1930年 ブランクーシ・エステート蔵

「ブランクーシ 本質を象(かたど)る」
純粋なフォルムの探求を通じて、後世の芸術に多大な影響を与えた彫刻家。パリのブランクーシ・エステートおよび国内外の所蔵先からの彫刻作品約20点に加え、絵画やドローイング、写真作品まで計約90点を展示。なお、5・4階展示室では「石橋財団コレクション選」および、清水多嘉示の特集コーナー展示を同時開催。

会期/2024年3月30日(土)〜7月7日(日)
会場/アーティゾン美術館 6階展示室
住所/東京都中央区京橋1-7-2
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.artizon.museum/
※最新情報は上記サイトを参照のこと。

Edit & Text: Keita Fukasawa

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