4人の写真家が撮り下ろす 自然 × 24年春夏バッグ
バッグはその時代を象徴するキーアイテムだ。今季もデザイナーたちが世の中の風を感じ、あらゆる世界観を着想源に作り上げた新作が登場。そこで4人の写真家が自然をテーマに日本各地でシャッターを切った。今ある自然の景色とバッグの調和を堪能してほしい。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年4月号掲載)
Chanel|シャネル
南仏イエールの丘にある「ヴィラ ノアイユ」の庭園やそのモダニズム様式を着想源とした今季のシャネル。上質なカーフレザーを使用したマリンボーダーのバックパックは自由なマインドが宿り、透き通る海と砂浜にマッチする。
Gucci|グッチ
サバト・デ・サルノがクリエイティブ・ディレクターに就任した新生グッチ。アイコンバッグ「ジャッキー1961」を再解釈し、バーガンディのような色合いの“ロッソ・アンコーラ”をキーカラーとした新時代バッグと、浜辺の夕日が共鳴する。
中島啓一郎
(なかじま・けいいちろう)長野県生まれ、静岡県育ち。横浜市立大学卒業後、渡米。New York Universityの大学院在学中に写真家としてのキャリアをスタート。幅広いジャンルの仕事に対応する柔軟性や、動画と写真を編集まで自身で手掛けられる器用さが評価され、現在は日本を拠点に各国でファッション撮影を中心に活躍中。
Louis Vuitton|ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンのカプセルコレクション「LV リミックス」から小さな宝石箱のようなバッグが登場。その名は「キープ・マイ・ハート」。モノグラム・パターンをエンボス加工した光沢感のあるレザーと繊細なキーチェーンが幻想的な世界へ導く。
Balenciaga|バレンシアガ
昨年登場したバレンシアガの新ライン「モナコ」は、触り心地の良いソフトレザーが特徴的。そして今季に新型スリングバッグが新登場した。優しさと強さをあわせ持つ、本ブランドならではの威厳が体現された逸品。
岡﨑果歩
(おかざき・かほ)1993年生まれ、岐阜県出身。ロンドン芸術大学卒業。現在は日本を拠点に活動。第21回1_WALLファイナリスト。コミッションワークのほかに独自の写真作品も展開。近年は映像作品にも力を入れている。2021年には初の写真集『心臓』を出版。主な展示に『心臓』(21)、『春の短編集』(23)、『étude』(23)など。
Saint Laurent|サンローラン
ラフィア生産の先進国であるマダガスカルですべて手作りされたサンローランの新作バッグ「オキザリス」。リラックスした雰囲気もありながら、日本の慎ましく静寂な世界の中では凛とした存在感を放つ。
Loewe|ロエベ
ロエベの新作「フラメンコパース」はロゴの刻印をゴールドに変え、メタルチェーンを採用してアップデートされた。レザーに少しずつ慎重に色を加えてゆくことで、より美しい発色を実現。深い自然の音と調和する至極の逸品。
鈴木俊則
(すずき・としのり)東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、資生堂宣伝制作部フォトスタジオを経て独立。2021年Point of Action,Inc.を設立し、写真や動画の幅広い分野で活動。質感とシェイプにこだわりをもった撮影を行っており、最近では大判カメラや古典技法を使った制作も行っている。
Miu Miu|ミュウミュウ
バケット型の新作バッグを打ち出したミュウミュウ。柔らかくも厚めのレザーとバッグの中央に配されたショルダーベルトから、冒険心あふれる人物像が浮かびあがる。季節を超えて長く愛される強さを秘めた逸品だ。
Dior|ディオール
ディオールの今季は固定的な女性らしさを打ち破るデザインを随所にちりばめた。アイコニックな「ディオール ブック トート」にはコレクションの着想源となった魔女と深い関係のある太陽のモチーフを描いた。雪景色の中にもやがて新しい草木や花々が芽吹き始める。
中野道
(なかの・みち)1989年アメリカ・ノースカロライナ州生まれ、長野県松本市育ち。現在は東京在住。上智大学院文学研究科修士課程修了後、2015年から写真家・映像監督のキャリアをスタートし、近年では文筆家としても活動中。20年に全一性をテーマにした写真集「あかつき」を発表。23年には写真集「Days in Between」をリリース。
Edit & Text:Saki Shibata