アートという名の “果てしなき色” vol.5 田島一成
私たちの見る色は、一人ひとり違う。色は光の知覚にして、個性や美しさの表れでもあるから。その極致がアートだ。内なる色彩に導かれ、色合いを深め、まだ見ぬ色を追い続ける——それはアーティストの生きる道そのもの。六人六様の“見果てぬ色”を眺めてみよう。Vol.5は田島一成。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年1・2月合併号掲載)
Kazunali Tajima|田島一成
撮影した花の画像の色相を反転したコラージュ作品シリーズ『WITHERED FLOWERS REVERSE』より。2023年7月にAkio Nagasawa Gallery Aoyamaの個展で発表され、同名の写真集も刊行された。 ©︎ Kazunali Tajima, Courtesy of Akio Nagasawa Gallery
2024年、どんな色にしたい?
「虹色」
ファッション写真の第一線で活動する写真家は同時に、個人的なプロジェクトとして枯れゆく花の写真を長らく撮り続けてきた。『WITHERED FLOWERS REVERSE』はその最新作。カラー写真をネガ像に反転させて作られる画面の中で、生と死のはざまにある花弁は萎んだ姿を見せて、そこはかとない無常感を漂わせている。だが色彩だけは濃厚で、妖しさと艶っぽさが全開。命あるものの生のピークとはいったいどの時点にあるのだろうかと再考させられてしまう。作品に表れる色によって「鑑賞者の脳のスイッチを入れたい」という田島の思惑に、まんまとハマっている感がある。理想の色を問うと「無色透明。何色にでもなりたい」という答えが返ってきた。
Text : Hiroyasu Yamauchi Edit : Keita Fukasawa
Profile
https://www.akionagasawa.com/jp/artist/tajima-kazunali/AOYAMA/