「JW Anderson」の新ショップがオープン! ジョナサン・アンダーソンにインタビュー | Numero TOKYO
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「JW Anderson」の新ショップがオープン! ジョナサン・アンダーソンにインタビュー

© Kenya Sugai
© Kenya Sugai

日本初となるフルラインナップを揃えた「JW Anderson」の直営店が渋谷PARCOの3階に10月にオープンした。デザインを手掛けたのはロンドンを拠点に活動する6a Architectsで、渋谷店はロンドンのソーホー地区にある旗艦店と、ミラノの旗艦店のデザインを融合したインテリアで構成されている。



ブランドのシグネチャーであるロゴを象ったネオンサインや、アルミニウム製の棚、ペトロール・ブルー×ブラックのチェッカーボード柄のフロアなど、ロンドンのナイトライフカルチャーや、イタリア・ミラノのクラフトマンシップを感じる要素が散りばめられた楽しげな空間には、メンズとレディスのウェアに加え、バッグやシューズなどがフルラインナップ。また思わずセルフィーしたくなるピンク色のフィッティングルームも必見だ。このオープンを記念して来日した創始者兼クリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソンにインタビューをした。


──渋谷という街にどんな印象をお持ちですか?

「東京は世界で一番好きな街の一つです。ファッションに対する考え方が世界のどこよりもユニークで、クリエイションに対してリスペクトを持っていて、深く理解し受け入れるという気持ちが強いと感じるからです。日本はブランドの初期からJW Andersonのクリエイションを受け入れてくれているので、とてもありがたく思っています。あと渋谷は、いつも何かおもしろいものを発見できる街ですね。あらゆる種類の人々が集まっていて、深刻な感じがせず楽しげなエネルギーを感じて、ちょっとロンドンのカムデンを思い出します。渋谷PARCOも私のお気に入りのデパートの一つで、ここに来るとたくさん買い物をしたくなる、そんな場所です」

──渋谷PARCO店はロンドンとミラノをミックスさせたインテリアとお伺いしました。

「そうですね、この凹凸のある壁はミラノ店と同じですし、ネオンサインや、チェッカーフラッグ柄のフロアはロンドンのショップと同じです。ロンドンのソーホー地区にはネオンサインがたくさんあって、そんな街に溶け込めるようにしたくてネオンサインを付けました。それらの要素を6a Architectが上手く組み合わせてくれて完成したのがこの渋谷店です」

──店舗はブランドにとってどんな役割があると思いますか?

「店舗はブランドにとって非常に重要ですよね。パンデミック以降、実際に商品を手に取ることや試着、それにショップを訪れそのブランドの世界観を体験するという行為はさらに重要性を増したと思います。また私はウィンドウディスプレイの仕事からキャリアをスタートしたので、ショップは私にとって特別な場所です。私の頭の中にある哲学を表現できる場で、どこに洋服を置いてどんなオブジェを配置するかで、自分だけの世界観を創り上げることができる。ブランドにとっても私に非常に大切な場所です」


──次シーズンのコレクションを拝見すると、フォルムやシルエット、またセラミックにこだわりが強いように感じました。

「年齢を重ねると、自信を持てるようになり、自分がフォーカスしたいことが明確になってきます。またブランドが成長したことで、リソースも豊かになって自分の夢が叶えられる環境が整ってきています。そんな中、今自分がフォーカスしたいことの一つにシルエットがあります。ファッションはこれまでプロポーションというものに影響を受けて変わり続けていると思うので、今はそこに興味が向いています。また陶磁器はずっと好きで、何年も集めてきています。JW Andersonでは平井明子さんのような陶芸家とプロジェクトをしたこともありますし、Cornishwareとコラボレーションしてマグカップなどもリリースしました。今特に関心が向いているというわけではなく、個人的にずっと愛していて惹きつけられるものの一つですね」

──世界は今、激動の時代を迎えていますが、JW Andersonが表現する世界はいつもハッピーで希望を感じることができます。どうしたらこの世の中で希望を持ちながら生きることができるか、若い世代に向けてアドバイスはありますか?

「私たちは今、非常に複雑な世界に生きていますよね。私は、90年代初頭の非常に複雑な情勢だった北アイルランドで育ったんです。そんな経験をした私から若い世代の方々へ言えることは、世界はあらゆる可能性に満ちており、必ず良くなると信じることです。人々はつい今より悪くなるのではないか、と恐れてしまいがちですが、必ず良くなるのです。また一方で、今の時代はジェンダーの観点や、多様性の観点からみてもとってもエキサイティングな時代だと皆さん感じているのではないでしょうか。私たちは今、あらゆるツールを使って自分が何者であるかを表現することができます。自分をしっかり見つめて、世界について深刻に考えすぎないようにしてください。人類は思ったより賢明で、何らかの方法で必ず解決策を見つけるものです。それが常に正しい方法とは限らないけれど、きっと世界はもっと良くなっていく、そう信じることが大切なんじゃないかなと思います」


──日本にはアニメーションや工芸品など素晴らしいものがたくさんありますが、それらをジョナサンさんがいつも、世界に紹介してくれることをとてもうれしく思っています。

「日本は工芸品という観点からみても、世界で最も感銘を受けた国の一つです。竹で編んだかごや木工品、陶磁器に至るまで、大好きなものがたくさんあります。ロエベのクラフトプライズを開催すると、信じられないほど素晴らしい才能を持った人たちがまだまだたくさんいらっしゃることに驚きます。先程の質問の回答にもなるかもしれませんが、これこそが私にとって希望であり、未来です。 自分の手で何かを作るということは非常に大切なことです。なぜなら自分の思いや考えをアウトプットすることができるから。そうすることで、自分が世界のなかでどこにいるのかを、様々な文脈から再解釈することができ、哲学を感じることができます。また日本では、刀剣や茶器などが国宝とされていて、何かを作ることで国宝になれるというシステムがありますよね。この考え方が大好きです。ここには物事は必ず良い方向に向かっていくという楽観主義と永く続けることへのリスペクトを感じるのです」

フィッティングルームはピンク一色。JW Anderson × Wellipets のカエルローファーシューズやカエル型のクラッチバッグも。

JW Andersonの創始者兼クリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソンの思いがたっぷり詰まった渋谷店。ネオンサインや、お馴染みのハトやカエルのクラッチバッグやシューズに彩られたワクワクする空間にぜひ一度足を運んでみて欲しい。

JW Anderson 渋谷店
住所/東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷 PARCO3階
営業時間/11:00〜21:00
TEL/03-6277-5277(直通)
URL/www.jwanderson.com

Interview & Text : Kana Endo Edit : Michie Mito

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