ポルトガルの絶景ホテルで美食とワイン三昧! 世界遺産都市ポルト& WOW現地レポ | Numero TOKYO
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ポルトガルの絶景ホテルで美食とワイン三昧! 世界遺産都市ポルト& WOW現地レポ

この数年、欧米諸国の人々のバケーション先として高い人気を集めているのが、ポルトガル第二の都市「ポルト」です。その訳を知りたくて、今年の初夏にポルトを訪ねてみました。

ポルトガル北部に位置するポルトは、古くから交易の街として栄え、旧市街一帯が1996年にユネスコ世界遺産に登録されています。日本ではあまり知られていませんが、2012、2014、2017年と約50 万人以上の旅行者が投票して選ぶ「欧州の最高の旅行先(European Best Destinations)」の1位となっています。

なぜポートワインが生まれたのか?

ポルト観光人気の火付け役となったのが今回宿泊したホテル「ザ・イエットマン・ホテル」です。

ご覧ください。高台の頂上にあるホテルのレストラン、ザ・オランジェリーから見るドウロ川対岸のポルト市街。ホテルの客室に居ながらにしてこの絵画のように美しい景色を独り占めできるのです!

ザ・イエットマン・ホテルの北側一帯は、かつてポートワインの貯蔵庫が軒を連ねていました。大規模な都市再生プロジェクトにより、2020年8月、この歴史地区にワイン・食・カルチャーの複合アトラクション施設「WOW ポルトカルチャーディストリクト」が開業。

ポルトのワイン貿易は16世紀に始まります。とくに18世紀から19世紀にかけて、ポルト産ワインがポルト港から英国に盛んに輸出されていました。荒波の大西洋を渡るためワインの品質が悪くなる、そこで、劣化を防ぐために苦肉の策としてリバプール商人がワインにブランデーを加えたのが甘い「ポートワイン」の始まりと言われています。

糖度が高いワインは酸化しにくく長期保存が可能。英国の人々の間でこの甘くてアルコール度の高いワインが評判となり、英国読みで「ポートワイン」と呼ばれ世界に広まりました。

今、世界が注目するポルトワインの特徴とは?

ポルトでは甘いポートワインのみならず、白ワインの生産も盛んで、現在白ワインの生産が全体の8割以上を占めています。なかでも世界で今もっとも脚光を浴びているのが、ポルトのドウロ川上流のドウロバレーで造られる白ワインです。

ポルトガルのワインづくりは世界でも大変ユニークです。その理由は、

1. ブドウの品種が250種以上あること
2. 産地の多様性
3. オリジナルなワイン作り

にあります。ポルトガルでは紀元前2000年頃からワインづくりが始まったと言われていて、その大きな特徴は、複数のブドウ品種を合わせる「ブレンド」です。ブレンドすることによって、1+1が2、ではなく、3、4、5にまでその味わいは広がります。

ドウロ川は山中の急峻な谷を流れています。谷には熱がこもり、さらに川の水が熱を保つのでポルトガル内でももっとも暑い産地のひとつとなっているそうです。川から離れると標高が500~800mと高くなるので一気に涼しくなります。

ワイン畑が広がるドウロバレー外縁部は花崗岩が多いため、フレッシュでタイト、そして旨味と複雑性をもつ最高のワインが生まれます。そんなワインをWOWで楽しんできました。

食・ワイン・カルチャーの複合アトラクション施設「WOW」に潜入

今回訪れたWOWは、7つの没入型ミュージアムと、13のレストラン&カフェ、ワインスクールやワインショップなどが集結した、世界でも珍しい食とワインの体験型テーマパークでした。今回体験したのが、下記の4つ。

初日に体験した「プラネットコルク」。古くからコルク産業が盛んなポルトガルは、現在コルク生産の世界シェア約50%を占めます。

ワインの栓のほかに、建材やインテリア、小物作りにコルクが活躍しています。

ここではコルク工場を再現し、材料のコルクガシ(樫)の木は他の樹木と比べて5倍の二酸化炭素を吸収すること、木の皮を剥いで使うので木を伐採する必要がなく実にサステナブルであることなどを学びます。

2つ目はポルトワインのミュージアム「ザ・ワイン・エクスペリエンス」。ポルトガルワインのブドウ品種とスタイルの豊富さを紹介。ポルトはワイン生産の中心地で14の地域でワインが作られ、17のブランドを有します。

世界でワインづくりができるエリアを地球儀で示し、ポルトのブドウ栽培のプロセスをイラストや写真を使って分かりやすく展示しています。

ドウロバレーの土壌の模型図も。

巨大なブドウの断面図から、ブドウの内部をリアルに展示。ビジュアル的にも楽しめます。

自分の食やアルコールの好みをPC画面からひとつずつ選んでいくと、ポルトワインの中から自分にもっともふさわしいラベルを選べます。

こちらはヒップなコンセプチュアルルームが満載の「ザ・ピンクパレス・エクスペリエンス」。

11の部屋で、ロゼワインをいくつかテイスティングしながら、学んでいきます。

映えスポットがたくさんあって、旅の思い出作りにもってこい。

2日目に体験したのは、チョコレートとポルトワインのペアリングワークショップが体験できる「ザ・チョコレートストーリー」へ。

チョコレートの歴史、たとえば最初はドリンクとして米国で飲まれるようになったことなど、意外な事実も多く学べました。写真は古いチョコレートのテレビCM映像。

いちばん楽しかったのが、チョコレートとワインのペアリング。

4つのポートワインをそれぞれ甘さの違うチョコレートと合わせると、これがうまい!! グリーンワインといわれる白ワインも最高です。ミュージアム入場料とワークショップを合わせて35€。

4つ目のミュージアムは、WOWのCEOエイドリアン・ブリッジ氏が収集したドリンク類の器に特化した美術館。

古代エジプトからギリシャ、メソポタミア、中世、近代、現代まで約9,000年にわたって人類が使ってきた世界各地のグラスやクルスタル、陶器の器などを一堂に見学できるところは、世界広しといえどそうありません。とにかく、すばらしい!! のひと言でした。

今回いただいたポルト料理がこちら!

WOWの中には13のレストラン&カフェが入っています。その中で5つのレストランでポルトガル料理とワインを堪能しました。ポルトガルでは、魚介料理にも赤ワインを合わせるのが一般的です。

こちらは魚介料理が中心の「ゴールデン・キャッチ(Golden Catch)」。

タコのカルパッチョやシーバスのセビーチェなど、ポルトガルらしい魚介の前菜がズラリ!

日本の天ぷらのルーツ、エビや白身魚の天ぷらはタルタル風ソースにつけて。

タコのグリルとシーフード煮込み風。

2つ目のお店は、ミシュランシェフ、リカルド・コスタ(Ricardo Costa)氏がプロデュースする「ミラミラ(Mira Mira)」でペアリングディナーを体験。

ポルトガル南部の調理スタイルを取り入れ、地元の旬の食材とオリーブオイルを使う、がコンセプト。アジア料理のエッセンスも、そこかしこに加味されています。写真はテラス席。

手作りブリオッシュ系のパンと、白ワインからスタート。

楽しい演出もある前菜2品。左はエシャロットとフォアグラ、右はカキとソイキャビア。他2品の前菜が出てきました。

ヘルシーな魚料理2品。左はボラ、右はタラを使用。

栄養価の高い春の牧草を食べた仔羊のソテー。赤ワインとともに。

デザートは自家製のチョコレートとエッグタルト、ジェラートほか4品も! ポルト流に約4時間かけてゆっくりとディナーを楽しみました。

こちらはカジュアルで土地の伝統料理をいろいろいただける「T&C」。

シンプルでポルトらしいアペタイザー。生ハム、アスパラのフライ、コロッケ。

(左)土地の伝統料理のミートサンドイッチ()とベジタリアンサンドイッチ()。料理名は「フランセジーニャ」といい、ポルトガルのサンドイッチの一種です。

(右)そら豆とスモークソーセージ煮込み。

夕方から立ち寄りたいバー「エンジェルズ・シェア(Angels Share)」もおすすめです。

ポルト一の絶景ホテル「ザ・イエットマン・ホテル」に宿泊

330年以上の歴史をもつ老舗ワインメーカー「テイラーズポート(Taylor’s Port)」に隣接した小高い丘に2010年にオープンしたザ・イエットマン・ホテル。

この地が英国への輸出の本拠地だったこともあり、英国のエレガントな雰囲気をもちながら、ポルトガルらしいアズレージョ(タイル)遣いやムーア式天井など、独自の世界感が漂っています。

こちらが泊まったスーペリアルーム。

デスクには、メディア取材向けのウェルカムチョコレートとエッグタルトのサービスが!

シャワールームのタイル遣いもつい写真を撮りたくなるくらいのオシャレ度。

シンク周りのティッシュボックスや石鹸入れもポルトガル陶器を使用。

朝食には南国リゾートホテルのような新鮮なフルーツがたっぷり。ポルトガルスイーツ、エッグタルトも好き放題食べられます! そして朝からスパークリングワインも用意されています!

最後に、ぜひ訪ねてみたいポルトの映えスポット

世界一美しいといわれるポルト駅

行列の絶えない世界一美しい書店「レロ書店」

朝のドウロ川

イエットマン・ポルトから見るドラマティックなサンセット

夜のWOW、気球の色がどんどん変わりなんだかノスタルジック。

この秋、ぜひともワインと美食を堪能しにポルトのWOWを訪ねてみませんか?

取材協力:WOW ポルトカルチャーディストリクト
wow.pt/

Photos & Text: Sachiko Suzuki(Raki Company)

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