見たことない!を届ける気鋭の表現者たち。vol.3 ウィッグメーカー・河野富広
「これいったい何!?」と思わず見入ってしまうような“普通じゃない”を覚える作品に、いまワクワクが止まらない。
それらを生み出し、私たちの感性を刺激してやまないアーティストやクリエイターをピックアップ!
第3回はウィッグメーカー、konomad主宰の河野富広(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』12月号掲載)
独創的で気軽にトランスフォームできるものを
「ヘアスタイリストとしてクライアントのニーズに合わせるだけではなく、ゼロから新しいものを生み出す表現の世界に興味を持ち、スタートしたのがウィッグメイキングでした。ヘアはファッションの中で最もスカルプチュアルで、自己を劇的に変えられるパーツ。そして、ウィッグは大胆なアイデアを表現できるのが魅力です。スタイルを模索する過程で影響を受けたのは、ヘアの常識を覆しアートの世界へと昇華したヴィダル・サスーン氏や東京のストリートカルチャー、イギリスやアメリカのミュージックシーン、日本の髪結い技術など」
「現在は主にアーティストやショーのためのフルウィッグと、気軽に着けられるファンシー・ウィッグを手がけています。ファンシー・ウィッグは、ジュエリーのように毎日気分を変えられるよう僕が編み出したもの。瞬発的で自由度の高いトランスフォーメーションがコンセプトです。独特の色合いは、海の生物や昆虫類などのカラフルな体色に着想を得ることが多いですね。一見すると合わなさそうな色の組み合わせも複雑で繊細なバランスによって生み出されている。その美しい姿に刺激を受けます」
「従来のウィッグはコンプレックスを隠すもので、かぶることに対する恐怖感を持つ人もいたと思います。でも、僕が提案するウィッグは遊び心を優先したプロダクト。着け方も着ける位置も限定しない自由さがある。作り手である自分ですら想像しなかった発想で着けてくれている人を見るとうれしくなります。これからもファッションを楽しみたい人、個性を表現したい人の力添えになるようなウィッグを作りたいです」
Interview & Text:Mariko Uramoto Edit:Sayaka Ito, Mariko Kimbara