大阪に巡回中! 「ベルばら展」を湯山玲子がレポート | Numero TOKYO
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大阪に巡回中! 「ベルばら展」を湯山玲子がレポート

『ベルサイユのばら』完全版7巻より〉 ©池田理代子プロダクション
『ベルサイユのばら』完全版7巻より〉 ©池田理代子プロダクション

革命期のフランスを舞台に、男装の麗人オスカルと悲劇の王妃マリー・アントワネットが織りなす激しく美しい運命の物語『ベルサイユのばら』。当時の少女マンガ界の常識を覆し、今もなお世代を超えて愛され続けている名作の貴重な原画の展示を中心に、その軌跡をたどる展覧会が全国を巡回中。自身の著書にベルばら愛の詰まった1冊『ベルばら手帖 マンガの金字塔をオトナ読み!』がある、著述家でプロデューサーの湯山玲子がレポートする。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年12月号掲載)

ベルばらの漫画の魅力は構図とコマ割にあり

『ベルサイユのばら』完全版8巻より ©池田理代子プロダクション
『ベルサイユのばら』完全版8巻より ©池田理代子プロダクション

絵画は現物を観ないとその真の魅力はわからない。キャンバスにナイフで切り口を入れただけの、フォンタナの作品は、そのコンセプトが評価されているが、実際に現物を観ると、その質感や切り口にこちらの感情と頭が激しく動き出す。

本展覧会の軸は、原画約180点の展示にある。印刷物となって大量に人の目に触れていくのが漫画の宿命なのだが、見知っているはずのベルばらの各ページの表現が、原画では全く別の感情と思案を引き起こすことに驚いた。

池田理代子の手腕は、歴史物語の中に少女漫画の特性を見事に入れ込み、オスカルという、女性の生き方を問う魅力的な男装の麗人を登場させた、という点が強調されているが、それ以上に、登場人物の感情の動き、時間の流れや、空間の質感をも感じさせるコマ割の圧倒的な実力と構図の上手さが浮き彫りになる。

オスカルが部下に反乱の号令をかける有名な「バスティーユへ!!」のページでは、決断を意味する無表情のコマをきちんと入れ込んでいるし、そのほか、民衆に嫌われるアントワネットと愛されるルイ16世は、見開きページ両端に立像として描かれ、まるで西洋美術の絵画ルールを踏襲しているかのごとくなのだ。

当初は稚拙だったキャラの描き方が、どんどん上手くなるという連載アルアルの変化よりも、そのまま映画のコンテに使えるような、コマ割の高度なクリエイティヴこそが、ベルばらの魅力だった、ということが理解できる展覧会だ。

東京会場(会期終了)での展示風景 ©池田理代子プロダクション 制作:文化服装学院オートクチュール科学生 企画制作:メイプル
東京会場(会期終了)での展示風景 ©池田理代子プロダクション 制作:文化服装学院オートクチュール科学生 企画制作:メイプル

東京会場(会期終了)での展示風景 ©宝塚歌劇団
東京会場(会期終了)での展示風景 ©宝塚歌劇団

東京会場(会期終了)での展示風景 ©池田理代子プロダクション
東京会場(会期終了)での展示風景 ©池田理代子プロダクション

「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展 −ベルばらは永遠に−」

大阪会場
会期/2022年11月30日(水)~12月12日(月)
会場/阪急うめだ本店 9階阪急うめだギャラリー
住所/大阪市北区角田町8-7
開館時間/10:00〜20:00(最終日は18:00まで) 
※入場は30分前まで
会期中無休
料金/当日券 一般・大学生 ¥1,500、高校・中学生 ¥1,000
URL/https://verbaraten.com/

高知会場
会期/2023年4月8日(土)~6月18日(日)予定
会場/高知県立文学館

※そのほかの開催地も順次発表予定

掲載情報は12月1日時点のものです。
開館日時など最新情報は公式サイトをご確認ください。
※各会場により展示内容や順番が異なる場合がございます

Text:Reiko Yuyama Edit:Sayaka Ito

Profile

湯山玲子Reiko Yuyama 著述家、プロデューサー。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舍文庫)、『四十 路越え ! 』(角川文庫)。クラシック音楽の企画イベント「爆クラ」、ショップチャンネルにて ファッションブランド「OJOU」を主宰。

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