「もの派」を代表するアーティスト、李禹煥の大規模回顧展 @国立新美術館 | Numero TOKYO
Art / Feature

「もの派」を代表するアーティスト、李禹煥の大規模回顧展 @国立新美術館

日本美術史に輝く「もの派」の中心的存在、李禹煥(リ・ウファン)。素材と余白、“もの”と場──静かに息づく精神性で、ヴェルサイユ宮殿をはじめ、世界の観衆を魅了してきた。今回が東京で初の大規模回顧展。その境地やいかに。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年10月号掲載)

『点より』1975年 国立国際美術館
『点より』1975年 国立国際美術館

近年、世界的に再評価が進む日本の芸術動向「もの派」。作品の見た目は石や木、鉄板など、ほぼ未加工の素材そのまま。一見、渋くて枯れている。しかし、見るほどに引き込まれる。緊張感の虜(とりこ)になる──。

その象徴的な存在として知られるのが李禹煥(1936年、韓国・慶尚南道生まれ)だ。幼い頃から詩や書画に親しみ、56年に来日。哲学を学び、60年代後半から制作と評論活動を本格化。作品を極力“作らない”姿勢によって、“もの”同士や場所との関係に光を当てるなど「もの派」の理論を牽引した。

『関係項』1968/2019年 森美術館、東京 Photo: Kei Miyajima
『関係項』1968/2019年 森美術館、東京 Photo: Kei Miyajima


『関係項ー鏡の道』2021年 作家蔵 展示風景:「李禹煥 レクイエム」展、アリスカン、アルル、フランス、2021年 © Claire Dorn, Courtesy Lee Ufan and Lisson Gallery
『関係項ー鏡の道』2021年 作家蔵 展示風景:「李禹煥 レクイエム」展、アリスカン、アルル、フランス、2021年 © Claire Dorn, Courtesy Lee Ufan and Lisson Gallery


例えば、立体作品に付けられた「関係項」という言葉。韓国/日本、東洋/西洋、自然/人工、作ること/作らないことなど、あらゆる物事は相互関係で成り立つと考え、その力学を探求する。2014年、フランスのヴェルサイユ宮殿で開催された個展では、二つの岩に支えられたアーチを発表。各国の美術館で個展が開かれるなか、呼吸に合わせた筆づかいが点や線を刻む平面作品など、精力的に制作を続けてきた。

『関係項―ヴェルサイユのアーチ』2014年 作家蔵 Photo: Archives kamel mennour, Courtesy the artist, kamel mennour, Paris, Pace, New York
『関係項―ヴェルサイユのアーチ』2014年 作家蔵 Photo: Archives kamel mennour, Courtesy the artist, kamel mennour, Paris, Pace, New York


『線より』1977年 東京国立近代美術館
『線より』1977年 東京国立近代美術館


『応答』2021年 作家蔵 Photo: Shu Nakagawa
『応答』2021年 作家蔵 Photo: Shu Nakagawa


本展は「もの派」以前の初期作品、代表作、新作までが一堂に会する、東京で初めての大規模回顧展。その場にて、あなたは何を見るのだろうか。

李禹煥、鎌倉にて、2022年 Photo© Lee Ufan, Photo: Shu Nakagawa
李禹煥、鎌倉にて、2022年 Photo© Lee Ufan, Photo: Shu Nakagawa

「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」

会期/8月10日(水)〜11月7日(月)
会場/国立新美術館
住所/東京都港区六本木7-22-2
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://leeufan.exhibit.jp/
※最新情報は上記サイトを参照のこと。

Edit & Text : Keita Fukasawa

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