「ホテルインディゴ軽井沢」で豊かな別荘ステイを満喫
明治時代に外国人宣教師によって見出され、今日に至るまで日本屈指の避暑地、別荘地として数多くの人々を癒してきた軽井沢。そんな軽井沢に2022年2月、IHG ホテルズ&リゾーツが世界で展開しているライフスタイル・ブティックホテル「ホテルインディゴ (HOTEL INDIGO)」の国内2軒目となる「ホテルインディゴ軽井沢」がオープンした。
浅間山の雄大な自然と文化や芸術が満ち溢れた軽井沢を舞台に、あこがれと好奇心を満たし、ゆったりとした癒しと、クリエイティビティを刺激する豊かな別荘時間の提供をコンセプトとしている「ホテルインディゴ軽井沢」。 “究極のリトリートホテル”を標榜する同ホテルの全貌を紹介する。
自然・歴史・文化に育まれた軽井沢のリトリートホテル
「ホテルインディゴ軽井沢」を展開するのは、17のホテルブランドを展開し、世界100ヶ国以上に約6,000ホテルを有するグローバルホスピタリティカンパニーのIHG ホテルズ&リゾーツ。「ホテルインディゴ」は、その土地ならではの「ネイバーフッドストーリー」をホテルのインテリア、アートワーク、サービスの細部まで表現した、新しいライフスタイル・ブティックホテルだ。日本国内では1軒目を2020年に「ホテルインディゴ箱根強羅」としてオープンさせている。
「ホテルインディゴ軽井沢」が立地するのは、軽井沢駅より南に向かい車で5分ほど、南軽井沢交差点付近だ。時間帯によっては軽井沢駅とホテル間で、専用の無料送迎バスも運行されている。
かがり火が灯るロビーラウンジでチェックイン、チェックアウト
木のぬくもりが感じられるエントランスを抜けると出迎えてくれるのが、かがり火の灯った暖炉が鎮座するフロント、ロビーラウンジ。スタイリッシュで迫力ある木材を基調とした建築美が光る。
ここでウェルカムドリンクをいただきながら、チェックインを。
炎のゆらめきを眺め、ほのかな暖かさを感じていると、心も解れていく。
軽井沢の自然を体感しつつ、長野県産唐松を使用した各ホテル棟へ
チェックイン後は、軽井沢の自然を体感するアプローチを通り、客室棟やレストラン棟、スパ棟へ。
ロビー棟とレストラン棟の間には水辺があり、霧に包まれることの多い軽井沢にインスピレーションを受けたミスト噴射の演出もある。
木々が生い茂る中庭には、ファイヤーピットやバーカウンター、ソファ席が配されたフォレストガーデンも。季節によってはここが焚火ラウンジとなり、お酒とアペリティフを楽しめるプランも登場する。
また、「ホテルインディゴ軽井沢」では、ロビー棟、ダイニング棟、スパ棟の約135平米において木材製品を採用しており、うち約80%に長野県産唐松を使用。鉄骨プレハブや鉄筋コンクリートなどの建築資材は製造時に多くのCO2を排出するが、木造建築では鉄骨の約34%、鉄筋コンクリートの23%の炭素放出量に留めることができるという。
また木々が生きている間に吸収した二酸化炭素は、製品化された後もそのまま木々の内部に留まり続けるため、二酸化炭素の効果的な固定方法として認知されている。「ホテルインディゴ軽井沢」は、伐採の時期を迎えた木を積極的に使用することで、地球環境の保全や改善にも務めているのだ。
各棟の廊下には、スペイン出身イラストレーターのルイス・メンド氏による、軽井沢の街並みや軽井沢ゆかりのスポーツ、軽井沢にある建物をテーマにしたアートワークもディスプレイ。
スパ棟の入口にはニューヨークで活動するアーティストのマーサ・タトル氏が制作した、浅間山と澄んだ空気をイメージし、ウール、絹、麻、塗料で作り上げた作品が展示されているなど、館内各所のアートも見ものだ。
「ラ・ベットラ」や「パークハイアットニセコ」で研鑽を積んだシェフが腕を振るう薪火イタリアン「KAGARIBI」
ホテルでの食体験は、オールデイダイニング「KAGARIBI」が満たしてくれる。軽井沢で採れた地野菜や信州産ポークなど、自然がもたらす豊富な食材を暖炉で仕上げる薪火イタリアンだ。
地元食材をリスペクトする「KAGARIBI」のフードメニューは、オーセンティックなイタリアの郷土料理を礎に、軽井沢の四季や風土から着想を得て構成。
総料理長には、銀座のイタリアンレストラン「ラ・ベットラ」や「グランドハイアット東京」のイタリアンレストラン「フィオレンティーナ」で経験を積み、「パークハイアットニセコ」でホテルの新規開業にも携わった古村和也シェフが就任している。
店内は木材が多用され、天井が高く開放感があり、スタイリッシュながらもカジュアルで活気ある雰囲気。レストランのシンボルである大きな暖炉からは、薪が爆ぜる音や香ばしい匂いが漂い、味覚だけでなく、聴覚や嗅覚も含めた五感を満たす。
ランチはグランドメニューとして用意されているアラカルトのほか、前菜1品、フォカッチャ、パスタ or ピザ or ラザニアの3品とコーヒー又は紅茶から成る「ランチセット」(3,600円)と、前菜1品、パスタ1品、メイン1品、季節のデザートの4品から成る「ランチコース」(5,600円)を展開。
ランチセットの前菜は、近隣の野菜を使い軽井沢アカシア蜂蜜とレモンヴィネグレット、もしくはくるみドレッシングをかけていただく「KABARIBIインサラータ」、「本日のスープ」、「アスパラガスの薪グリル」から選ぶことができる。
メインは通年メニューのほか、1〜2ヵ月ごとに入れ替わるパスタとピザもラインナップ。2022年6月末までは、食べ応えのある自家製サルシッチャと柳沢農園のマイクロハーブをたっぷりとトッピングした「ビスマルクピザ」や、「ボンゴレビアンコ 全粒粉スパゲッティ」を味わうことができる。
またランチセットではプラス500円で、ショーケースの中からお好みのスイーツを選び、食後のデザートとして味わえるオプションもあり。
パンやスイーツはシェフパティシエの山崎龍氏が手がけており、店頭でテイクアウトすることもできる。
ディナーはアラカルトや、4品6,000円のコースもあるが、おすすめはホテルのシグネチャーメニューがラインナップした「ディナー5品コース」(8,900円)。
3種類から選べる前菜は、ぜひいまが旬の「アスパラガスの薪グリル」を(※2022年7月以降夏メニューへの変更を予定)。長野県産のホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスは、薪で火入れすることによってナラの香ばしい匂いが移るだけでなく適度な食感が残り、ボイルするよりも食感が鮮やかだ。豚頬肉の塩漬け・グアンチャーレとトマトケッカによって、旬を迎えるみずみずしいアスパラガスのうま味がより一層際立つ。
パスタは「フレッシュトリュフのタリオリーニ」が登場。タリオリーニは長野名物のそばをイメージし、全粒粉を加え作り上げており、歯切れの良さが印象に残る。ソースはサマートリュフの香りを損なわない、優しい仕立てだ。
魚料理はシグネチャーメニューの「アクアパッツァ」がお目見え。この日は真鯛、アサリを、オリーブやドライトマトと合わせて仕上げており、ペアリングいただいたイタリア産の白ワインともよく合った。
ちなみに同店にはJSAソムリエエクセレンスも含め、2名のソムリエが在籍。料理に合わせたベストなワインを提案してくれる。
メインは「和牛のタリアータ」と「Tボーンの薪グリル」(2名から注文可能、1名プラス2,000円)の2種類から選べる。お好みの焼き加減で仕上げてくれる「和牛のタリアータ」は、セルバチコとパルミジャーノ、軽井沢のチェリートマトを添え、15年熟成したバルサミコで味付け。脂が少ない赤身の和牛は、外側はスモーキーで香ばしく、中はしっとりとした力強い味わいで、そのコントラストの素晴らしさにうっとりする。ぜひこちらもソムリエおすすめのワインとともに。
この日のデザートは柑橘のババ(※2022年7月以降夏メニューへの変更を予定)。グランマルニエというオレンジリキュールで香り付けしたフワシュワな生地に、メイプルのジェラートが口の中でとろけてゆき、夢見心地な気分になる。
モーニングはビュッフェスタイル。長野県産のスモークサーモンなど、地産食材を使った料理のほか、薪火で仕上げた野菜のグリルや、窯で焼き上げる卵料理なども揃う。
フレッシュなフルーツやヴィーガン仕様のデザートもあり、健康志向なラインナップで朝からしっかりエナジーチャージが叶うはずだ。
軽井沢の自然に溶け込んだ、テラス付きの客室
木材と緑を基調とした客室は、32㎡のスタンダードルームが計147室、ホテルのフォレストガーデンが見渡せるガーデンビュー、雄大な浅間山と小川のせせらぎを楽しめるリバービュー、リバービューのプライベートガーデン付きの3タイプを展開。
64㎡の広さを誇るスイートルームは計8室あり、スタイリッシュなウォークインクローゼットや、自然と一体化するような開放的なバスルームなど、より上質な別荘体験を提供する設えとなっている。
今回宿泊したのは、ビューバス仕様、信濃川水系一級河川の矢ヶ崎川に面した「スタンダードキングリバービュー」の客室。
客室デザインは、西洋と東洋が融合した軽井沢エリアの文化や、大自然からのインスピレーションを掛け合わせており、スタイリッシュでありながら隠れ家のようにゆったりと心地よい空間を演出している。
インディゴというだけあり、調度品のほか館内用に用意されている半纏もインディゴブルーだ。
また各部屋にはオーストラリア出身で軽井沢在住の木版画家・テリー・マッケーナ氏が制作した水彩画や木版画など、軽井沢をイメージしたデザインの異なるアートワークが飾られている。
浅間山をイメージしたアートワークと、軽井沢に数多く生息する木製のリスの彫刻も目を引く。
ライトで縁取られたスタイリッシュな鏡が目を引く洗面台には「Biology」のアメニティも完備。
テラスの目の前には木々の緑、蝶がはためく様子などが広がり、鳥のさえずりや小川のせせらぎをBGMに癒やしの時間を過ごすことができる。
贅沢なくつろぎ時間を提供する大浴場やフィットネスセンター
1日の活動で疲れた身体をリラックスさせるため、スパ棟には自然を感じられる炭酸泉露天風呂、サウナや水風呂も楽しむことができる大浴場が用意されている。軽井沢の歴史と雄大な自然、伝統的な工芸に着想を得た木の温もりを感じさせるデザインが特徴的だ。
また、スパ棟の2階には、24時間利用可能なフィットネスセンターも備える。木製デザインのマシンは「ホテルインディゴ箱根」と同様、全てドイツ・NOHrD社のもの。自然との調和を大切にするホテルインディゴらしいセレクトだ。
タイ発祥の名門スパ「ザ・スパ by HARNN」で至福のトリートメントを
また館内には、受賞歴を数多く持つタイ発祥の名門スパ「ザ・スパ by HARNN」を併設。
軽井沢の自然からインスピレーションを受けた香りと 「HARNN」の高品質な製品を融合させたトリートメントで、人間の五感に訴える豊かなスパ体験を堪能できる。
東洋医学と伝統的な自然療法に基づいた「ザ・スパ by HARNN」のトリートメントは、深いリラクセーションと豊かな時間を経験できるよう構成。
「ザ・スパ by HARNN」のベーシックなメニューが、タイ式マッサージとアロマオイルマッサージが抜群な形で融合した「アロマティックタイボディマッサージ(60分22,000円)」だ。
ウェルカムドリンクをいただきながらカウンセリングを受け、施術で使用するスクラブとライスブランオイルを選んでいく。
パーソナルなトリートメントルームは3室あり、シャワーとトイレ、広々とした洗面所も併設。3室のうち1室はペアルームのため、カップルや友人同士での利用も可能だ。
まずはアロマ・フットバス&スクラブからスタート。
続いてベッドに移動し、5分ほどのミニタイマッサージ。ブラックペッパーのマッサージバームで、背中や肩周りをほぐしていくというアプローチが面白い。
ビタミン-Eをふんだんに含むライスブランオイルを使ったマッサージは、皮膚の内側からの輝きを高めつつ、筋肉の緊張を緩和し、敏捷性を助長してくれるという。
施術後は、ハーブティー&リフレッシュメントで締められる。「KAGARIBI」で手作りされた旬の食材を使ったジェラートのサービスも嬉しい。今後「ザ・スパ by HARNN」では、「ホテルインディゴ軽井沢」のために作られたシグネチャートリートメントの提供も予定されているそうだ。
浅間山が育む大自然に見守られ、自然の穏やかさとエネルギーを感じられる場所であり、⻄洋と東洋の文化が見事に融合した、芸術の空気感を色濃く残す軽井沢。「ホテルインディゴ軽井沢」はまさに、軽井沢の自然・文化・芸術を五感で楽しめるディスティネーションホテルであると感じた。
ホテルインディゴ軽井沢
住所/長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字屋敷添18番地39
TEL/0267-42-1100
URL/karuizawa.hotelindigo.com/
Photos & Text: Riho Nakamori