開けチャクラ! バービーのモヤモヤ相談室 vol.09 「性転換手術で女性に。子どもを産めないことがつらいです」
体や性をめぐるあれこれ、人間関係や恋愛、社会についてなど、読者の抱える「モヤモヤ」をバービーが一緒に考えます。正解は見つからないかもしれないけど、チャクラは開放できちゃうかも?!(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年4月号掲載)
【今月のモヤモヤ】
子どもを産めないことがつらいです
性転換手術で女性に。戸籍も変えてOLとして就職しました。普段はセクシュアリティを忘れて女性として生きていますが、同世代が次々と出産していくなかで、自分は子どもを産めない体であることがすごくつらくなるときがあります。男性として生まれたことを人に明かしたくなく、一人で悩みを抱えています。(なつめ・30 歳・女性)【バービーからのメッセージ】
なつめさんの姿に希望をもらいました
当事者ではない私が意見するのは心苦しいのですが、まず、なつめさんの「自分のセクシュアリティを忘れて女性として普通に生きてこれたのに」という言葉を聞いて、ここまで時代は来てるんだと勇気をもらいました。そういう状況を望んでも叶わない人がまだ圧倒的に多いと思ったからです。なつめさんの姿は後に続く人にとってとても希望になると思います。メッセージを送ってくれたことに深く感謝を伝えたいです。
ただ、今回の悩みは「子どもが産めなくてつらいと思っていること、そして、それを周りの人に言えない」ということでしたね。子どもを産めないという状況は、もちろん元男性だけではなく、女性として生まれても、病気や事故などで生殖機能を失ったり、いろんな事情を抱えて産めない人が実はすごく多いことを知っていただけるとうれしいです。つまり“産みたくても産めない”ことはセクシュアリティの違いというよりも、個々の悩みだと私は思っています。だから、男性として生まれたことで出産から取り残されている、と自分を追い詰めないでほしい。
自身のセクシュアリティを周りの人に言えず苦しい思いをしている点においては、まったく同じではないにせよ、近しい立場にいてSNSで発信したり、活動をされている方もいると思います。そういう人たちをフォローして、インスパイアされたり、何か報をもらうこともいいんじゃないかと思います。なかには自身のセクシュアリティを知られず、パートナーとともに養子縁組や海外の代理出産を利用して、子どもを迎えている人もいるはず。
どうして子どもが欲しいのか、改めて考えてみて
ただ、現状の日本ではいずれもハードルは高いですよね。なつめさんは「みんなが子どもを産みやすい社会になってほしい」と思っているということなので、例えばですが、法整備が進んで養子縁組や里親制度がもっと多くの人にとって利用しやすいものになったり、代理出産が日本でも実現できるように行動を起こしたり、もしくはすでに活動をしている人を応援するなど、モヤモヤをポジティブな行動に変えるのはどうでしょうか。そこになつめさんを必要としている場所があるかもしれないし、いろんな立場の人と対話をすることで視野が広がり、考え方に変化が起きるかもしれません。
あと、どうして子どもが欲しいのかということもあらためて考えてみてほしい。なつめさんは好きな人との子どもが欲しいのか、それとも子どもを育てたいのか。前者だったら国内外の代理出産について情報を広く収集して可能性を探る、後者だったら法的に求められる環境を整えて養子を迎えるなど選択肢はあります。そして、子どもを産む/産まないに関わらず、あなたが元気で生きていてくれるだけでうれしいと思っている人がいることも忘れないでください。
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Photo:Takehiro Goto Styling:Natsuki Taniguchi(Takuty Produce & Create)Text:Mariko Uramoto Edit:Mariko Kimbara