女性写真家のまなざしと、その先にあるもの 【4】清水はるみ
社会が抱える問題や女性の身体、生きづらさなど、さまざまな主題で写真と向き合う日本人女性写真家たち。今年開催10年目を迎える国際的な写真フェスティバル「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2022」にて「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」supported by KERING’S WOMEN IN MOTIONとして、活躍が期待される日本人の女性写真家10人の作品を展示する。ここでは4人のアーティストをインタビューとともにご紹介。第4回は、清水はるみ。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年5月号掲載)
清水はるみ|Harumi Shimizu
変異した生物に宿る、人の好奇心
──今回展示されるシリーズ『mutation / creation』について教えてください。
「突然変異で生まれた個体や、人工的な交配で生み出された動物、自然に存在する原種をもとに人間が手を加えて改良してきた植物などをフラットな目線で撮ったシリーズです。昔から人って、面白い性質を持つもの同士を掛け合わせて新しい品種を作り上げようとしてきた歴史がありますよね。美しさや、食物だとおいしさ、動物だと家畜化するにあたって馴染みやすいかなどの基準も大事になってきます。このシリーズでは突発的な変化に対して人はどう美を感じたり、物珍しさを感じたりしているかという、人の好奇心を探っていけたらと思っています」
──鳥や猫、植物などと被写体ごとに異なる演出手法ではなく、すべて「フラットな目線で撮る」のがポイントのように感じました。
「品種改良は環境問題と一緒に取り上げられることも多いと思うんです。もちろん環境に悪影響を及ぼすという見方もありますが、いま撮っているのは誰かにとっては大事なペットだったり、純粋な関心で育てられてきたものだったりします。そういったものに批判的な態度ではなく、人間の好奇心に対するポジティブな感情を表に出していきたいと思っています。このような人為的な変種もいつか消えてしまうかもしれないし、アーカイブとして残すことにも興味があるので、今後もこのシリーズを継続していきたいと思っています」
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2022
京都で開催される国際的な写真祭 「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2022」。国内外作家の貴重な写真作品や写真コレクションを京都市内各所の歴史的建造物や近現代建築の空間に展示。記念すべき第10回目のテーマは「ONE」。
会期/2022年4月9日(土)〜5月8日(日)
場所/京都市内11ヵ所
「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」supported by KERING’S WOMEN IN MOTION
会場/HOSOO GALLERY
www.kyotographie.jp
Interview & Text : Akane Naniwa Edit : Michie Mito