「蜷川実花展 -虚構と現実の間に-」 | Numero TOKYO
Art / Feature

「蜷川実花展 ─虚構と現実の間に─」

光と色が作り出すこの世界のありようを、一つの視点にとらわれることなく表現し続けてきた蜷川実花。大輪の花を咲かせたそのヴィジョンは、この先どこへ向かうのか。“虚構×現実”の圧倒的体験が、東京にて幕を開ける。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年11月号掲載)

『Self-image』(2013年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery
『Self-image』(2013年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery

これは果たして現実か、それとも虚構なのか──。むせ返るほどに充満する色彩が織りなす造花の花園『永遠の花』、咲き誇りやがて散りゆく満開の情景を捉えた『桜』、俳優、アイドル、ミュージシャン、アスリートなど時代を象徴する多種多様な人々の顔を捉えた『Portraits of the Time』、世界的演出家として知られた父・蜷川幸雄が亡くなる前後1カ月間に撮られた日常の風景『うつくしい日々』……。

『Light of』(2015年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery
『Light of』(2015年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery

『earthly flowers, heavenly colors』(2017年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery
『earthly flowers, heavenly colors』(2017年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery

時に空間を埋め尽くすほどのスケールで、あるいは静かに心打つような奥行きで構成される作品たち。その一つ一つに、何をどんな距離や角度で見つめ、どのように写し出すのかという、蜷川実花のヴィジョンが表れている。木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家にして気鋭の映画監督、セリーヌやエトロなどブランドとのコラボレーションのほか、コロナ禍にあってもいち早くリモート撮影に取り組むなど、ジャンルを超えた探求はどこへ向かうのか。撮る側/撮られる側/見る側の関係性、感傷と表現、現実と虚構を行き来する、視覚的ヴィジョンの集大成。そのめくるめく世界の広がりを、全国10会場の巡回を経てさらにスケールアップを果たした本展で、ぜひ体感してみたい。

『noir』(2014年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery
『noir』(2014年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery

『Untitled』 ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery
『Untitled』 ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery

『earthly flowers, heavenly colors』(2017年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery
『earthly flowers, heavenly colors』(2017年) ©mika ninagawa, courtesy of Tomio Koyama Gallery

「蜷川実花展 ー虚構と現実の間にー」

会期/9月16日(木)〜11月14日(日)
会場/上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2
Tel/050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://ninagawa-exh.com/
※要事前予約。その他、最新情報はサイトを参照のこと。

Edit & Text : Keita Fukasawa

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