2021年秋冬シーズンは何を履く? 今あの映画のヒロインが選ぶシューズはこれ!
映画のヒロインたちは、年齢や時代背景は違えど幾度の困難を乗り越え、それぞれの幸せの形を見つけていく。シューズは、そんな物語のなかでさまざまな形でキーとなり私たちを物語の世界へと誘ってくれる。そのヒロインたちがもし秋冬シーズンからシューズを選ぶとしたら?? 新たな物語の始まり始まり......。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年9月号掲載)
『オズの魔法使い』ドロシーの赤い靴
『セックス・アンド・ザ・シティ』キャリーのブルーシューズ
世界中の女性を虜にした伝説のドラマ&映画シリーズ。大人の女性4人を取り巻く恋愛、人生観、ファッションを描いた本作はウーマンズエンパワーメントに大きな影響をもたらした。あまたのブランドが登場したが、その中でもマノロ ブラニクのシューズは最も多く登場したブランドの一つ。
2008年に公開した映画版では、サラ・ジェシカ・パーカー演じる主人公のキャリーに、結婚式をすっぽかしたビッグがひざまずき「サムシング・ブルー」のマノロ ブラニクをプレゼントして、二度目のプロポーズをした。女性の誰もが憧れたあのシーン、今のキャリーなら煌びやかなジュエリーが施されたミュールタイプのマノロ ブラニクがお似合い。まるでマリー・アントワネットが履いていたかのような、フロントにひだがあしらわれているのも現代のプリンセスチックでぴったり。
『キューティ・ブロンド』エルのピンクシューズ
ブロンド・ジョークをネタにした痛快サクセスストーリーとして大ヒット。リース・ウィザースプーン演じる、陽気なブロンド美人エル・ウッズが政治家志望の恋人に振られたことをきっかけに一念発起して、ハーバード・ロースクールに進学し、法の道へと進んでいく。このストーリーと同じくらい注目されたのが、堅い業界に身を置こうとしても揺らぐことのないエルの全身ピンクのファッションだ。法廷に立つときも頭から足までピンク! そんなアンリアリスティックなシーンが印象的だった。
今エルがチョイスするなら、ピンクギンガムチェックがどこかレトロなクリスチャン ルブタンのスリングバック。映画の中では、高めのヒールシューズを履いていたことが多かったが、高すぎないヒールでリラクシングなスタイルの方が今らしい。相変わらずのピンクラバーで、このシューズを履いて今日もビバリーヒルズを闊歩しているのかも。
『クルーレス』シェールのスクールガールシューズ
当時、ティーンのファッション・バイブルとしてカルト的人気を集めた青春コメディ映画。“クルーレス”(ダサい、イケてない)な生徒を変身させるのが趣味のビバリーヒルズのセレブ女子高生シェールをアリシア・シルバーストーンが演じ、ある失敗をきっかけに自分を見つめ直して成長していくストーリーだ。
90sリバイブルの今、たびたびチェック柄スタイリングとメリージェーンシューズのスタイリングがレファレンスとして取り上げられる。スクールガールに一気に火をつけたメリージェーンだが、今エルが選ぶならミュウミュウのヒールスニーカー。クリーンなホワイトベースに、シルバーのヒールカウンターがポイント。フットボールシューズを彷彿とさせるスポーティかつキュートでアクティブなデザインは、チェックのミニスカートやスクールユニフォームにも好相性なこと間違いなし。
『昼顔』セヴリーヌのバックルパテントシューズ
カトリーヌ・ドヌーヴの代表作の一つであり、当時その過激なストーリーに社会的なスキャンダルまで巻き起こした作品。パリに住むブルジョワ階級の人妻セヴリーヌは、仲睦まじい夫婦生活ゆえの悩みを抱えていたところ売春に興味をもち、昼間だけの娼婦として働くようになるというストーリーだ。劇中で目を引くのが、彼女のいかにも裕福な家庭の洗練されたマダムを感じさせる60年代のエレガントなファッションで、それをバックアップしたのがロジェ ヴィヴィエのパテントシューズ「ベル ヴィヴィエ」。ブラックのパテントにシルバーのバックルが特徴的だった。
この伝説のシューズの代わりに今、セヴリーヌが選ぶなら?答えは、やっぱりロジェ ヴィヴィエから。ブラックのバックル付きのプラットフォームブーツは、当時のあのシューズと比べるとエッジさがアップするものの、かかとから伸びるヒールの絶妙なシェイプ、そしてつま先よりもわずかに短くしたプラットフォームにはエレガンスさが健在。
『シンデレラ』のガラスの靴
幸せを掴むことの象徴ともなっている本作。絵本やアニメで親しみのあった作品を、ディズニーが実写版で映画化したことが記憶に新しい。リリー・ジェームス演じるシンデレラが落とした、実写化されたガラスの靴は、幼い頃から私たちが憧れていたシューズそのもの。
現代のシンデレラのために魔法使いが作るのはきっとPVCのキトゥンヒール。ワイ プロジェクトとメリッサがコラボレーションしたその名も「シンデレラスリッパ」がぴったり。ヴィクトリア朝の花瓶をヒントに、イギリスの伝統的な陶磁器との融合をテーマにデザインされている。PVCの透け感は本当のガラスの靴のようだけど、もちろん割れる心配はないし、走りやすいから魔法が切れる12時の前には家に帰れそう!? 足先がヌーディに見えるのも、ヘルシー志向が強まる今の流れにもマッチしていて幸運に導いてくれそう。
Photos : So Mitsuya, Aflo Makeup : Tsukushi Tomita Model: Alena D.at Satoru Japan Fashion Editor : Midori Oiwa