TOKYO女性デザイナーの最愛マイヴィンテージ|vol.3 春井里絵
今の気分を反映したリアルモードをつくり出すTOKYOの女性デザイナー。彼女たちがパーソナルに長く大切にしているアイテムとは? 手放せない理由から見えてくる、それぞれのアイデンティティ。自分らしさを見つめ直すことは、自身を愛することにつながる。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年5月号掲載)
春井里絵(RIEFE JEWELLERY ジュエリーデザイナー)
ヨウジヤマモトのコート
エッジの効いたデザインが人気のリーフェ ジュエリーを手がける春井里絵さん。大切にしているヨウジ ヤマモトのコートからは、彼女のクリエイションへの情熱が感じられる。
「このコートは私にとって仕事の転機に出合った思い入れのある一着。2009年の秋冬、まだデザイナーとしてスタートしたばかりの頃に、ヨウジヤマモトのショーピース制作に参加する機会をいただき、記念に購入しました。『いつかもう一度一緒に仕事をしたい』と10年以上手放さずにいたのです。アシンメトリーのフォルム、絵画のようなディテール……この服を着るときは背筋が伸びますし、同じクリエイターとして頑張らないと、と奮い立たせてくれる存在。念願が叶って、2021秋冬シーズン、ヨウジヤマモト バイ リーフェという新ラインが誕生しました。
服にもジュエリーにも人生を後押ししてくれる力があると思うのです。リーフェのジュエリーは自分で買う人がほとんど。店頭で「このジュエリーを買って、また来年も頑張るんだ」と言ってもらえることがすごく嬉しくて。そもそもは彫刻のようにジュエリーを生み出す手法に感銘し始めた仕事。確固たる美意識を持って、人のためにジュエリーを作りたいと思っています。こんな時だからこそ、私のジュエリーを待ってくれている人がいるなら限界へ進んでいきたいです」
Her Creation
クロスジェンダーな輝きは強さとエレガンスが共存
構築的なフォルムにカラーストーンを効かせたモードなリーフェ ジュエリー。デザインのコンセプトに共感する人も多い。一方、クリエイティブ・ディレクターを務めるヨウジヤマモト バイ リーフェのファーストコレクションはヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』にインスパイアされたソリッドなブラックジュエリー。
Photos : Hal Kuzuya Edit&Text : Hiroko Koizumi