ルイ・ヴィトンのフレンド・オブ・ザ・ハウスに就任したローラが語る、メゾンの魅力とこれからのライフスタイル
breaking dawn
ルイ・ヴィトンで着こなすリベラルマインド
ルイ・ヴィトンのウィメンズ アーティスティック・ディレクター ニコラ・ジェスキエールが描くのは、新たなフェーズを感じさせるノンバイナリーで自由なムード。そのストーリーに今年初め、メゾンのフレンド・オブ・ザ・ハウスに就任したローラが登場。同じく、常に前進して変化し続ける彼女が纏って表現する夜明けを感じとって。( 『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2021年4月号掲載)
──パリで開催された、2021年春夏コレクションのファッションショーの感想を聞かせてください。
「コロナで現地に行くことができなかったので、オンラインでバーチャルショーを拝見しました! モダンなデザインの中に、遊び心やユーモアがあって、すごく好きなコレクション。ハイエンドなのに、カジュアルな要素がミックスされていて、デイリーに着たいアイテムをたくさん見つけました! その中に、「VOTE(投票する)」というストレートに社会へ伝えたいメッセージも伝わってきて、とても心に響きました。購入した人が着ることで、ニコラ・ジェスキエールの想いが世界に向け波動のように広がっていく。ファッションのパワーを感じました」
──レザーアイテムはいかがですか。
「太いゴールドのチェーンがついたグリーンの長方形型のバッグ「クッサン」が大好き! 今回の撮影で合わせてみて思ったのは、持つだけでスタイリングのインパクトになるということ。グリーンカラーは、モノトーンやベージュの洋服によくマッチするの。バッグ一つあるだけで、いろいろな着こなしの可能性が広がりそうだと思いました。私は、ベージュの丈が長いトレンチコートに、ルーズなパンツでカジュアルなスタイルに合わせたいな。そして、前みたいにパーティに行けるようになったら、色違いのシルバーのバッグを持ってお出かけしたい。シンプルなドレスに、ぽんと光るアイテムを身に着けるのって、かっこいいじゃない? それまでは、お家で一人パーティだけど(笑)」
──好きなルックはありましたか。
「ルック9は、ショートジャケットに、マークした細いウェストとボーイッシュなパンツのギャップがたまらない。洗練されているけど、ゆるいチルな感じに共感します。ルック15は、メンズライクなモノトーンと首元の肌を露出しているけれど、ノージュエリーなのがクール。真似したいスタイリングのアイデア。それからルック27は、オールホワイトで、腕のルーズなドレープと太いベルトでマークしたウエストのコントラストがセクシー。脚の見え方もきれいだし、バッグとのバランスも最高。挑戦したい、大人のカジュアルなスタイリングだと思いました」
──他に印象的だったことは?
「ショー会場のセットに使われる資材のほとんどが、再利用されていること。木材はショーの後にも、別用途があるアップサイクルなものなんだって。見えないところでも、地球の環境に配慮し、限りある資源を大切にしていて素敵だなと思いました」
──2021年度のルイ・ヴィトンの“友人”「フレンド・オブ・ザ・ハウス」に就任した感想を聞かせてください。
「とても光栄に思っています! 歴史はもちろん、お洋服やレザーグッズのデザインも好きなブランドなので、心から嬉しいです。美しいバッグと洋服を着こなして、ファッションでわくわくする気持ちを広く伝えていきたい。特に、クラシックなデザインが好きなので、ブランドの魅力を発信していきたいな」
──アイコンバッグ「カプシーヌ」がお気に入りだと伺っています。
「はい、一目惚れしたバッグなんです! 収納力とサイズ感。それから、見た目の印象よりも、レザーが柔らかくて驚きました。ゴールドのバックル使いもラグジュアリー感が漂い、とっても上品」
自分と向き合って、優しくすると生きることが楽しくなる
──自分らしいスタイリングとは、どんな装いですか。
「シンプルな服装。着たときに心が高まるアイテムは、必ずと言っていいほどプレーンなもの。年齢を重ねるたびに、この傾向は強まっている気がします。最も美しい状態だと思うし、アクセサリーを着けたり、バッグの差し色とのバランスも取りやすいの。スウェットのセットアップに、上質なロングコートを羽織るような、そんな組み合わせが大好き。自分に合うファッションは、パワーと自信を与えてくれますよね」
──コロナ禍による外出規制の中、ハッピーでいるための秘訣は?
「周りと比べないこと。それから、自分自身と向き合う時間をたっぷり取って、運動をすること。自分のここが嫌いと思うのではなく、ダメなところでも可愛いと認めてあげることが大事。私も実践しているよ」
──環境問題や動物保護活動に取り組まれていますが、今後どのような活動を予定されていますか。
「去年は、私がディレクションしているSTUDIO R330のデニムの売り上げで、3万本の木を地球に植えることができました。今年も植林活動を行って、引き続き環境問題を学んでいきたいと思っています。動物を保護する「UNI Project」も進行中。いまは日本に行けないことが悔しいけれど、これまで取り組んできたプロジェクトをもっとパワーアップさせたいと思っています」
──自身のブランドを始めて、ファッション観に変化はありましたか。
「はい、洋服も生きているんだと思うようになりました。誰が何を使って、どこで作り、どういう人が買っているのか。裏側のストーリーを知ることは、より洋服への愛が生まれることを知りました。それから、ものを大切にすることで、愛情が深まっていくことも。たくさん欲しいという気持ちよりも、良いものを長く大事にしたい。プロダクトに対する気持ちが変わる、そういう時代が来たんじゃないかな」
──最近の楽しみは?
「水彩絵の具を使って、絵を描くこと! アートは、自分の内面を見つめて、心を育むことができる行為。表現方法が人それぞれということも、面白いなと思います」
──今後挑戦したいことや興味あることを聞かせてください。
「いま、マインドフルネスを通して、生きることの楽しさやポジティブな心のあり方を学んでいるところ。そういったノウハウをみんなにシェアしていきたい。行き詰まってしまったり、自分はこれでいいのかなと思っている人の少しでも助けになるような、元気が出る言葉を届けたいなと思っているよ!」
Photos:Yulia Gorbachenko
Creative Director: JP Micallef at most.best
Stylist:Sandy Armeni at Art Department
Hair:Dennis Gots at The Wall Group
Makeup:Holly Silius
Manicure:Britney Tokyo
Production:Erika Abe, Hiroki Shirota,
Robert Atkinson, All at Clip Pictures
Retouching: Jenny Stigsdotter at La Machine
Interview & Text:Aika Kawada
Edit:Midori Oiwa