2020年、あの人の偏愛ベスト・ミュージック vol.1 あっこゴリラ
サブスクリプションサービスが勢いを増し、ますます音楽のトレンドが細分化された2020年。パーソナライズされたプレイリストは心地よく楽しいけれど、そろそろ飽きてきたのでは? そこで、音楽をこよなく愛するヌメロ注目のアーティストに、2020年の超・偏愛ベスト・ミュージックを大調査! 新たなお気に入りの一枚を見つけて。
第1回目は、『ウルトラジェンダー』など世の中の固定概念に疑問を呈す楽曲で多くの共感を呼び、グッチのフェミニズムジンにもフィーチャーされるなど2020年も大活躍したラッパーのあっこゴリラ。
滾りたい時に聞きたい、正統派ヒップホップ
『RTJ4』ラン・ザ・ジュエルズ
ラン・ザ・ジュエルズ(Run The Jeweles)は、ラッパーのキラー・マイク(Killer Mike)とラッパーでプロデューサーのエル・P(El-P)からなるアメリカのヒップホップ・デュオ。その4作目となる『RTW4』は、アメリカがブラック・ライブズ・マター・ムーヴメントに揺れる6月頭に投下され、ポリティカルなメッセージ性の強いリリックで、レイシズムに虐げられる人々の希望となった。
「いろんなミクスチャーが生まれまくった2020にリリースされた、いわゆる正統派なヒップホップなんですが、トラックもかっこよすぎだし、 “Ooh LA LA”という楽曲の、お金を燃やすMVは衝撃的でした!」とあっこゴリラ。
特にお気に入りの楽曲は、アルバム3曲目の”Out of Sight”と7曲目の”JU$T”。「筋トレなど滾(たぎ)りたい時に聴きたいです」
二項対立からの脱却。2020年を表す傑作
『KiCk i』アルカ
ベネズエラ出身ロンドン在住の奇才、アルカ(Arca)。カニエ・ウェストやFKAツイッグス、ビョークなど名だたるアーティストをプロデュース、コラボして一躍世界に名を馳せた。エイフェックス・ツインなどと比較される実験的なサウンド、中毒性のあるヴィジュアルが特徴。
『KiCk i』は2020年6月にリリースされた、アルカ4枚目のスタジオ・アルバム。あっこゴリラは自身がナビゲーターを務めるJ-WAVEのラジオ番組「SONAR MUSIC」で出合った。「ジャケや音から人間/ロボット・男/女・正/悪などの二項対立を溶かしにかかってて、まさに2020にでるべくしてでたALBUMと思いました!」
「ぶっ壊れたいとき、めんどくさいとき、なにもかもがだるい時に聴きたい。特に好きなのは、3曲めの『Maquetrefe』と2曲目の『Time』です」
ひとりぼっちの深夜に聴きたい、注目ラッパーの新作
『Passport & Garcon』モーメント・ジューン
モーメント・ジューン(Moment Joon)は韓国出身、大坂在住のラッパー。移民者としての視点で、日本での生き辛さや社会問題など、自ら体験したことを元にしたメッセージ性の強いリリックが話題。
『Passport & Garcon』は2020年3月に発売されたファーストアルバム。「移民者としてのリアルの叫びをここまでリアルにパッケージしたヒップホップが日本から産まれたことが歴史的必然だし、Momentさん本人が好きなラッパーの新作だったのですぐにチェキした! 特にお気に入りの曲は『KACHITORU』と『TENO HIRA』。ひとりぼっちの深夜に聴きたいです」
2020年12月30日に発売となる同アルバムのデラックス版よりあっこゴリラと鎮座DOPENESSを客演に迎えた「BAKA (Remix) [feat. あっこゴリラ & 鎮座DOPENESS]」を12月23日より先行配信中。熱いコラボを今すぐチェックして。
Edit & Text: Mariko Kimbara