Art / Feature
時間を映し出すアートの地平 【3】草間彌生
傷心からの復活、平和への祈り、人類と地球の問題に至るまで──。色とりどりのアプローチで時間を捉え、気付きへと誘うアートの力。みずみずしく奥深い“時間の形”を見せてくれる作品とは。『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年7・8月合併号の特集より、一部抜粋してご紹介。
東京・早稲田に2017年に誕生した草間彌生美術館、開館記念展で初公開されたインスタレーション作品。(2017年) ©YAYOI KUSAMA
草間彌生
『無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく』
永遠の境地を目指すアートの宇宙
暗闇の中、鏡に覆われた空間で明滅する水玉模様のかぼちゃたち。どこまでも反復する景色は、草間彌生が生涯を懸けて追求する“無限性”と“永遠性”の象徴だ。幼い頃より増殖する水玉模様に取り憑かれ、無数の点で埋め尽くされた絵画や立体、鏡張りの空間などを制作。90歳を超えた今なお、自身の芸術が永久に生き続けることを願い、精力的に絵筆を握る。永遠を望んでやまない想念の力が、この宇宙を無限に反復させていく。Edit & Text : Keita Fukasawa
Profile
草間彌生Yayoi Kusama
(くさま・やよい)1929年、長野県松本市生まれ。幼少より水玉と網目を用いた絵画を制作。57年に単身渡米、独創的な作品やパフォーマンスなどの活動でアート界に衝撃を与え、前衛芸術家としての地位を築く。73年に帰国後も全世界を飛び回り活動を続け、小説や詩集なども多数発表。2021年春以降、ベルリンのマルティン・グロピウス・バウを皮切りに中欧ツアーが巡回予定。(Photo: ©YAYOI KUSAMA)