美のサヴォアフェールに、オマージュを
手作業でビジューを刺繍していくオートクチュールのドレスや、時計におけるオートオルロジュリーのように。サヴォアフェールが宿るコスメは、手間と時間を惜しまず作られた“匠の技”とともに、理屈を超えた“何か”が感じられる。香りを纏うとき、肌にのせるとき。いつもよりちょっと時間をかけて、メゾンの秘蔵の物語と本物の美の重みを感じたい。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年7・8月合併号掲載)
Chanel
“No5以前、No5以後”という名言を生んだ、歴史を変えた名香
1921年に発売され、フレグランスの歴史を一夜にして塗り替えたNo5。シンプルを極めたボトル、合成香料がもたらす複雑な香調……装飾美と単一の花の香りがもてはやされた時代に現れた“革命児”だった。ローズ ドゥ メやジャスミンを核にアルデヒドを調合した香りは、時の経過とともに奥深く神秘的な魅力が増す。手作業によるボードリュシャージュは、特別な「香水」だけに施される贅沢な工程。自分のセンスを時代のセンスに変えた、マドモアゼルの誇りと情熱を感じて。
Hermès
永続性と普遍性が宿る、エルメスの美のメチエ
構想5年、ついに誕生したルージュ エルメス。それは類まれなるアルティザンたちの芸術の結晶だ。塗るときの所作や音にまでこだわった“オブジェ”たる容器のデザインはピエール・アルディが担当。口紅の色は7万5000ものシルクサンプルの色から選ばれるなど、各分野のスペシャリストによる議論と手仕事から誕生している。機能的で美しく、手にするだけで心が明るくなる口紅は、サテン14色とマット10色で展開。1本の口紅を手に、いざサヴォアフェールへの旅へ。
Dior
メゾンのヘリテージが支える最先端スキンケア
幹細胞のエネルギーを回復させ、肌に若々しさを取り戻す――そんな最先端スキンケアを支えるのは、ディオールがフランスやスイスに持つ、自社ガーデンの希少な植物たち。丁寧に育てられた有機植物のパワーをもっとも輝かせるべく、有効成分を卓越した技術で抽出し、肌に吸い込まれるような芸術的なテクスチャーと浸透力を宿して製品化。脈々と受け継がれる美の系譜が息づくセラムは、肌に生命力を注ぎ込み、輝きとハリを目覚めさせてくれる。
Yves Saint Laurent
モロッコのガーデンで解き明かされた美の秘密
豊かな自然と太陽が交わり、鮮やかな色彩に満ちるモロッコ。“色の魔術師”と称されたムッシュが愛したこの地に、「ウリカガーデン」が設立されたのは10年前。手間がかかる自然農法を用い、女性の自立支援を支えるサステナブルな拠点だ。オールージュは、ここでひとつひとつ手摘みされた希少なサフランの抗老化パワーが宿る最高峰のスキンケア。優雅な香りでオーバーナイトケアにもいいマスクは、肌を慈しみながら本気のアンチエイジングを求める女性に。
Photos : John Chan Edit : Naho Sasaki