Art / Feature

アート×ライフ:それぞれのかたち vol.1 チョーヒカル

「表現することは生きること」だと人は言う。それって本当? 領域や手法の異なる4組に、新たな表現に懸ける思いを質問。それぞれの形で浮かび上がる、“アートな生き方”の楽しみとは。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年6月号掲載)

『Losing my marbles』(2018年) ©チョーヒカル
『Losing my marbles』(2018年) ©チョーヒカル

チョーヒカル

価値観を揺るがす異次元のボディペインティング

皮膚の裂け目から宇宙が現れ、半分崩れた顔の下から動物が出現する。トリッキーなボディペインティングで人気を集めるアーティストのチョーヒカルは、昨年秋からニューヨークに拠点を移し、新しい表現に挑戦している。

「ボディペイントを始めたときから、CGではないアナログの面白さ、トリックアート風で写実的な表現など、誰にでも面白がってもらえる作品を追求してきました。今、コンセプト性が重視されるニューヨークに身を置くことで、見た目の面白さから一歩踏み込んで、私が作品に込めたメッセージを感じてもらえるような表現を模索しています」

自作の雑誌の表紙用に撮影した作品。『New Yorker Magazine 5』(2020年) Photo:Tim Park ©チョーヒカル
自作の雑誌の表紙用に撮影した作品。『New Yorker Magazine 5』(2020年) Photo:Tim Park ©チョーヒカル

新しいプロジェクト「New Yorker」は、ニューヨークで害獣とみなされているアライグマとネズミを、女性の顔にペインティングして、街の中で撮影した作品。

「害獣が街に増えたのは、環境破壊やゴミ問題、都市の環境が適していたことなど、人間側にも原因があります。そこで彼らもニューヨーカーの一員として紹介しようと、トレンドの服を纏ったニューヨーク出身のモデルにペインティングして、実際に出没数の多い地域で撮影しました」

2018年に約1カ月、アーティスト・イン・レジデンスでニューヨークに滞在したときに感じたのは、この街ではアートを通して政治や社会問題に言及できる機会が多く、それが奨励されているということだった。

人間と動物の関わりを表現した『食べ物動物』シリーズより。(2018年) ©チョーヒカル
人間と動物の関わりを表現した『食べ物動物』シリーズより。(2018年) ©チョーヒカル

「日本ではここ数年、ヘイトスピーチなどを目にすることが増えました。昨年、改めてニューヨークに渡ったのは、自分のレベルを上げることに加え、社会問題に言及できる作品や人の心を動かすものを作りたいと思ったから」

新しい場所で進化を続ける現在の彼女にとって、アートとはどんな存在なのだろうか。「表現しかできないからやり続けているだけ。これがなかったら、きっとゲーム廃人でした。私にとってアートは生きる糧です」

Interview & Text : Miho Matsuda Edit : Keita Fukasawa

Profile

チョーヒカル(趙燁)Hikaru Cho 1993年、東京都生まれ。2016年、武蔵野美術大学卒業。体や物にリアルなペイントを施した作品で注目を集め、衣服やCDジャケット、立体、映像作品なども制作。メディア出演や、アムネスティ・インターナショナル、資生堂、TOYOBOなど企業とのコラボレーションも多数。著書に『SUPER FLASH GIRLS 超閃光ガールズ』、『絶滅生物図誌』(ともに雷鳥社)、『ストレンジ・ファニー・ラブ』(祥伝社)がある。 https://www.hikarucho.com/

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