世界を変える! ビューティブランドのサステナビリティへの取り組み
真の美しさは、地球環境が自然体のまま美しく保たれなければ体現できないこと。「自分だけキレイならいい」という意識ではなく、 これからの未来のために、自然にも社会にも優しい理想的な持続可能なサイクルのなかでこそ、女性は本当の美しさを手に入れられる時代に。 ブランドが真摯に取り組むサステナブルな取り組みに目を向け、あなたの選ぶコスメでも社会貢献を!(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年3月号掲載)
Guerlain
生態系の健全化に向けユネスコとミツバチを保護
2007年からサステナビリティをテーマに様々なプログラムを展開してきたゲラン。なかでも注目したいのは花粉媒介者(ポリネーター)としての役割を担い、生態系の多様性や作物の生産に欠かせない存在である、ミツバチを保護する活動だ。「アベイユ ロイヤル」シリーズにその恵みが生かされている仏・ウェッサン島の黒ミツバチをシリーズ誕生時から保護してきたほか、世界中のミツバチの数を増やすため19年10月よりユネスコとパートナーシップを締結。20年から5年間にわたって、エチオピアやカンボジア、中国を皮切りに様々な国の養蜂家を育成・サポートし、豊かな生態系の復活を目指す。日本でも在来種であるニホンミツバチの保護と啓蒙のための取り組みが! フランスで行っている“BEE SCHOOL(ミツバチの学校)”に紐づいた活動が展開される。Dior
新スキンケアはパッケージからクリーンビューティ!
ブランドのスキンケアラインの“顔”ともいえるシリーズが刷新され、幹細胞の再生力を全面的にブーストさせる「カプチュール トータル セル ENGY」シリーズが誕生。キー成分のフローラルコンプレックスに用いられる、マダガスカル産ロンゴサをはじめとする4種の花々は、生態系を尊重し、化学肥料や殺虫剤を使用せずに育てられたもの。有用成分を抽出する際も環境への影響を配慮した方法で行われている。さらにパッケージングにもサステナビリティに対するこだわりが。外箱はFSC(森林管理協議会)による再生可能な厚紙を使用し、容器はプラスチックの代わりにリサイクル可能なガラスを採用した。コンパクト化も遂行! それによって厚紙の重量をシリーズ全体で従来品の25%カット、50mlサイズのクリームの場合はプラスチック使用量を約34.6トン削減できる試算に。
De La Mer
美の源・海へのリスペクトをアクションに
プロダクトの主原料・海藻を育む海を保護する活動を続けているのがドゥ・ラ・メール。海藻(ジャイアントシーケルプ)の採取は年に2回のみで新芽だけを採取し、環境を慮っている。さらに6月8日のワールドオーシャンズデー(国連で採択されている世界海洋保護デー)に合わせ、毎年6月にブルー・ハートキャンペーンを実施。海の美しさを讃えるパッケージのクレーム ドゥ・ラ・メールを数量限定で発売し、海洋保護への意識を喚起している。また、グローバルレベルでは年間を通して海洋保護のためのドネーションを行っている。ボランティアスタッフによるビーチクリーナップ活動も世界各地で継続。
Chanel
環境と成長サイクルを重視して植物を育む
シャネル最高峰のスキンケアライン「サブリマージュ」のテーマの一つが、自然を尊重しその恵みをベストなカタチで引き出すこと。主要な原料であるヴァニラ プラニフォリアは、柔らかな太陽の光が美しく降り注ぐマダガスカル島の森の中でオーガニック農法によって育てられたもの。ヴァニラの特性を知り尽くしたローカルの栽培農家と植物学者が、植物本来の成長サイクルを尊重し、サステナビリティにも配慮して生育に携わっている。さらに最新作「サブリマージュ ラ コレクシオン ルミエール」には、南仏アルプスに育つアンティリスのエキスも採用。本来野生に咲く花を屋外栽培研究施設に順応させて生育することも、アルプスの自然環境を損なわないための一手に。
Three
ショッピングバッグでも“サステナブル”を体現
生物多様性条約の観点に基づいて植物の知見をアップデートし、身近にあるなかで環境に影響を及ぼさずに、持続的に生産できる有用素材を探し出しているスリー。ショッピングバッグにもブランドならではのこだわりが。使われているのは古紙を40%以上配合した、リサイクル可能なFSC(森林管理協議会)認証紙。国内でオリジナルを抄造している。また、ブランドカラーを配色した原紙にすることで、印刷回数を減らし使用するインクの量を削減する工夫も。さらにフラッグシップストアであるTHREE AOYAMAでは、ペーパーバッグの代わりに布製のリユーザブルバッグを採用。過剰なショッパーの生産を控えるだけでなく、リユースの重要性も広めている。
Neal’s Yard Remedies
生産者の生活基盤からのサポートを継続中
1980年代の創業当時から自然の力に注視しサステナブルな方法で原料の調達や生産を続けてきた、リーディングカンパニー。植物原料はできる限り同じ生産者から継続的に調達し、フェアトレードによって生産者コミュニティやその生活基盤作りをサポートしてきた。2018年からはオマーンの生産者とともにフランキンセンスの苗を増やし、持続的に原料を育むための10年間プランに着手。毎年5,000本の苗木を種から育て、野生に戻していく仕組みを構築した。製品ボトルに関しては、リサイクル可能なガラス容器や再生プラスチック容器を使用。国内では使用後のガラス容器の回収も実施していて、道路やリサイクルガラスとして再利用する業者との連携を図っている。
Photos : Maya Kajita Illustration:Nozomi Yuasa Text : Chihiro Horie Edit : Hisako Yamazaki