コスメキッチンに聞く、 サステナブルなビューティのこと | Numero TOKYO
Beauty / Feature

コスメキッチンに聞く、 サステナブルなビューティのこと

真の美しさは、地球環境が自然体のまま美しく保たれなければ体現できないこと。「自分だけキレイならいい」という意識ではなく、これからの未来のために、自然にも社会にも優しい理想的な持続可能なサイクルのなかでこそ、女性は本当の美しさを手に入れられる時代に。世界各国のナチュラルでオーガニックなビューティアイテムを取り揃えるコスメキッチンに聞いた、サステナビリティのこと。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年3月号掲載)

お話を伺ったのは……

小木 充(おぎ・みつる)
株式会社マッシュビューティーラボ取締役副社長・クリエイティブディレクター

なぜ今、サステナビリティに注目が集まっている?

「2018年にマクドナルドやスターバックスといったグローバル企業が店内で使用するストローを紙製に切り替えると公表し、環境問題に取り組む意思を表明したことが、日本社会にも大きなインパクトを与えたように思います。また、クジラの体内から多量のプラスチックゴミが検出される動画がSNSで拡散されたのも、人々の心に強い危機感を抱かせる契機になったのではないでしょうか」

真のサステナビリティとは?

「人間と自然がつながっていることを認識し、自分や周りだけでなく地球のためにできることは何だろうかと考えながら行動すること。科学の進歩による便利なものも受け入れながら、自分たちのペースでアクションを起こしていくことが“持続可能性”につながると思います。数年前、欧米のエシカルな生活を送る方々にインタビューし書籍を作ったのですが、ある女性起業家は『サステナビリティは空気のようなもの』と言いました。それくらい当たり前になるべきであり、そのためには皆が環境や他者のことを“自分ごと”として捉えられるようになることが必要だと感じています」

コスメキッチンの最近の取り組みについて教えて。

「創業当初からマイバッグの使用を推奨してきましたが、昨年2月にはショップ袋の無料提供をやめ、有料化(1枚20円)しました。クレームや売り上げ減を想定しましたがトラブルはほぼなく、逆に売り上げが伸びたことでユーザーの意識の高さに勇気づけられました。また、ショップ店員の制服を100%海洋プラスチックゴミで作ったものに。スタッフにとって着ることが『サステナビリティを体現している』というプライドになると考えています。使うことでゴミを減らすこのリデュースの試みは日本初。販売中のバッグにも同じ繊維が使われています」

個人でも行えるアクションとは?

「これは一例ですが、使い終わった後の容器のアップサイクルに目を向けて見るのはどうでしょうか。コスメキッチンではこの春から、販売している化粧品の容器を回収する取り組みを始める予定です。動機となったのは、日本では分別してゴミを捨てる習慣があっても、実はプラスチックゴミの9%程度しかリサイクルされていないという事実。私たちは回収したものをアーティストに提供し、生まれた作品をチャリティとして販売しようと計画しています。得た収益はリサイクルやサステナビリティのための活動に生かし、ポジティブな循環を作っていければと」

コスメキッチンならではの試みは?

「現在、社内にウェルネスデザイン研究所を作って、日夜オーガニックや持続可能性も含めたウェルネスについて研究しています。それは、世界ではどんなことが行なわれていて、我々にはどんなことができるのかを調査する、いわばシンクタンクのようなもの。今までは経営戦略を考えるのがシンクタンクでしたが、企業の中核でウェルネスをサーチしているということに、ほかの企業とは違う強みがあると自負しています」

今、いちばん注目している事柄は?

「古着を利用したファッションブランド『マリーン セル』が体現しているような、サステナビリティとクリエイティビティの融合。いくら環境やウェルネスに配慮したプロダクトであっても、クリエイティブでなければ人の心を動かすことはできないと思っています。そして今は、サステナビリティを考えることがクリエイティブであり、クールなことと捉えられる時代。私たちは『かわいい』とか『使ってみたい』とか感性を揺さぶる要素がまずあって、環境配慮のことは後づけであるべきだと念頭に置き、製品作りを行っています」

これから世の中はどう変わっていく?

「一企業であってもトレーサビリティや、すべての裏側をオープンにすることが求められる時代になっていくと思います。コスメに関してはオーガニック・ナチュラルも進化し、ケミカルなものと遜色ないような仕上がりのものが増えてきています。本物の花やハーブの香りは脳に訴えかける力を持っていますし、オーガニックコスメの魅力に気づく人も、これからもっと多くなるのではないでしょうか」

コスメキッチンが注目する
サステナブルなビューティブランド

シャンプー バー ピンカリシャ
ス [110g] ¥1,980/Ethique(コスメキッチン)
シャンプー バー ピンカリシャ ス [110g] ¥1,980/Ethique(コスメキッチン)

必要なものだけ凝縮。ミニマムコスメの極み
ニュージーランド発「Ethique(エティーク)」創始者のブリアン・ウエストが目を向けたのは、市場を賑わすヘアケア製品が環境に与える影響。髪や地肌に有効な成分だけを濃縮し、固形化することでプラスチックボトルを排除! 軽量化によって輸送エネルギーなどの削減も叶うエシカルなシャンプーバーを誕生させた。「バー1つでなんと350mlの液体シャンプー3本分に相当します。サステナブルでありながら、使い心地もバツグン。泡立ちもスピーディで、髪をしっとりとうるおわせてくれます」(PR菅原さん)。

ハンド&リフレッシュ [250g] ¥1,100/
Geosoap(コスメキッチン)
ハンド&リフレッシュ [250g] ¥1,100/ Geosoap(コスメキッチン)

天然の吸着力で手肌も地球もクレンジング
「Geosoap(ジオソープ)」のコンセプトは、“地球で洗おう。地球も洗おう”。吸着力や脱臭力に優れたニュージーランド産の鉱物・ゼオライトを洗浄成分として用い、洗い流した後の排水が環境に負担とならないよう配慮。手肌の汚れもしっかりと落とす。「ゼオライトの中でも特に吸着力が高いものを配合しているため、余分な角質までオフできます。ワキや足などにおいが気になるパーツにも◎。しかも、洗い流した後も吸着力が続くので川や海、地球にも優しいアイテムです!」(PR菅原さん)

トゥースブラシ ¥550、¥600(ケース付き)/ Preserve(コスメキッチン)
トゥースブラシ ¥550、¥600(ケース付き)/ Preserve(コスメキッチン)

ヨーグルトカップが歯ブラシにリボーン
「大手スーパーと提携し、ヨーグルトのプラスチック容器をリサイクルしているアメリカの『Preserve(プリザーブ)』社。そのベストセラーが、再生材を使った歯ブラシです。歯茎への優しい刺激、届きにくい口内へのリーチなど、細部にわたりこだわって作られています」(PR菅原さん)。アウトドアを愛する創始者のエリック・ハドソンが掲げるのはバージンプラスチック依存からの脱却。地球環境について考えるきっかけとなるデイリープロダクトを生み、問題提起を続けている。

サスティナバッグ S ¥1,800、M ¥2,900/Cosme Kitchen(コスメキッチン)
サスティナバッグ S ¥1,800、M ¥2,900/Cosme Kitchen(コスメキッチン)

海洋ゴミ問題を解消するおしゃれな一手!
昨年、コスメキッチンの創立15周年記念に発表されたのが、100%海洋プラスチックゴミから作られたこちら。海に流れ着く年間800万トンものゴミに注目し、この問題への一手として開始されたプロジェクトだ。「このバッグの生地に使用されている糸1キロには、海洋プラスチックゴミ1キロ分が使われています。つまり使うことでゴミのリデュースに直結するのです。シンプルなデザインでコンパクトに折りたためるので、いつものバッグの中に常備しておくのもオススメ」(PR菅原さん)。

オーガニッククラフトソーダ カーマコーラ [300ml] ¥350/Karma Cola(ビープル バイ コスメキッチン)
オーガニッククラフトソーダ カーマコーラ [300ml] ¥350/Karma Cola(ビープル バイ コスメキッチン)

フェア貿易による“クリーンコーラ”を生産
「自社での製造・販売を通じて食品の安全性を確保していると同時に、アフリカやスリランカなどの国々からフェアトレードで原料を調達。『Karma Cola(カーマコーラ)』は、現地の農産業育成と地球環境保護にも貢献しているニュージーランドの炭酸飲料メーカー。特に西アフリカ産のコーラナッツを使用した飲料は既成概念を覆す爽やかな味わいです」(PR竹内さん)。人工による色素・添加物・甘味料を使用せず、有機果汁を使用して自然なおいしさも追求。

オーラ マヌカハニーマスク [75ml] ¥4,500/Antipodes(コスメキッチン)
オーラ マヌカハニーマスク [75ml] ¥4,500/Antipodes(コスメキッチン)

NZのサステナブルな森からの贈り物!
“Green Beauty”をテーマに、ニュージーランドの森で育まれるピュアで豊かな恵みを、環境にも配慮する形で収穫・採取しコスメにしているのが「Antipodes(アンティポディース)」。パッケージには生分解可能なペーパーやリサイクル可能なアルミニウムを取り入れ、“循環型”の生産を志している。「NZ名産のマヌカハニーの中でも、こちらのクリームマスクに使用されているのは汚染のない地域で採取されたもの。肌にうるおいとハリが蘇り、自然のパワフルさを実感できます」(PR菅原さん)。

Photos : Maya Kajita Illustration:Nozomi Yuasa Text : Chihiro Horie Edit : Hisako Yamazaki

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