今をときめくファッションフォトグラフィー 【part 3】インパーフェクション & ダイバーシティ編 | Numero TOKYO
Fashion / Feature

今をときめくファッションフォトグラフィー 【part 3】インパーフェクション & ダイバーシティ編

ファッション写真は、言わばその時代を映す鏡。主に、ここ2、3年でファッション業界で活躍の場を一気に増やしている人気のフォトグラファーたちとともに、3つのトレンドジャンルをご紹介する。第三回は「インパーフェクション & ダイバーシティ」編。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年1・2月合併号掲載)

IMPERFECTION & DIVERSITY(インパーフェクション & ダイバーシティ)

真の美しさとは?

5年ほど前からプラスサイズモデルのアシュリー・グラハムや白斑のあるモデル ウィニー・ハーロウなどが注目され、体型や見た目にとらわれない美しさを讃えようとするムーブメントが発生。それによりダイバーシティというワードは、一気にファッション業界にも浸透した。また、ここ3年ほどでLGBTQがさらに加速したこともあり性別にとらわれずにファッションを楽しもうというジェンダーレス化の流れも生まれた。2019年からはインパーフェクションを広告で取り上げたグッチ ビューティやおばあちゃんモデルの人気沸騰で、ファッション写真においてもこのトレンドはますますヒートアップしている。

Martin Parr (マーティン・パー)

ブリティッシュらしいアイロニーとユーモアに、さらに独自のセンスが加わって、現代社会を撮り続けているマーティン・パー。グッチ ビューティのマスカラ発売にあたり、必ずしも歯並びが良くなくても、もしくは整った眉でなくても、ありのままの自分が美しいと訴求するキャンペーン広告を手掛けた。彼が撮る写真とあって、皮肉的なメッセージにも感じ取れ、話題に。※グッチ ビューティは日本未発売

©Jacquemus
©Jacquemus

Simon Porte Jacquemus(シモン・ポルト・ジャックムス)

モダンなカッティングやシルエットが人気のブランド、ジャックムスのデザイナー。ロックダウン期間中、自身の故郷南仏の美しい町並みや風景、彼の暮らしぶりの写真をSNSにアップして私たちを楽しませてくれた。そのコンテンツの一部として、彼のおばあちゃんが、ブランドの服を着るモデルとして度々登場。ショッキングピンクのコートに、アイコニックな大小のバッグを持つおばあちゃんはとてもチャーミング。こちらは、先日発売された、自身がiPhoneで撮った写真を納めたフォトブック『IMAGES』にも収録されている。

Samuel Bradley(サミュエル・ブラッドリー)

活気に満ちた楽しい瞬間を、少し哀愁的な形で捉えるサミュエル・ブラッドリー。彼が撮影した歌手のハリー・スタイルズは、メンズがパールを身に着けるトレンドをリードした人物の一人。パールのほかにもフリルのブラウスなどをこの撮影以外でもライブやプライベートでも着ていて、まさにジェンダーレスにファッションを楽しんでいる。そんなハリーの素顔を飾ることなくありのままに写し出している。

Louie Banks(ルイ・バンクス)

フォトグラファーであり、ときにドラッグクイーンとしても活躍しLGBTQを広めているルイ・バンクス。ダイバーシティを主張する彼が撮影したシネイド・バーク(写真被写体)は、障害を持つ自身の立場からどんな体型の人でもファッションは楽しめるべきで、デザインもそうあるべきと訴えるアイルランドのアクティビスト。そんなアイデアがすぐに伝わるような、ブランドの服に身を包んだ彼女のスタイリッシュなファッションストーリーになっている。

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Edit & Text:Midori Oiwa

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