新世代Jバンドが熱い! いま聴くべき実力派アーティスト
Suchmos(サチモス)、King Gnu(キングヌー)に続くスターは誰? 90年代音楽シーンの影響を受け継ぐ、Jバンドシーンを牽引するミレニアル世代の若き実力派アーティストを紹介しよう。
自由奔放な浮遊感に中毒性あり、カルチャー系個性派
Tempalay(テンパレイ)
2015年、バンド結成からわずか1年でフジロック15「ROOKIE A GO-GO」に出演し、アメリカの大型フェスSXSW2016、全米ツアーを行うなど国内外で活躍の場を広げるTempalay。17年夏にはGAPとのコラボ曲「革命前夜」発表。昨年、ソロでも活動する女性アーティスト AAAMYYY(Cho&Syn)が加わり、小原綾斗(Vo&Gt)、藤本夏樹(Dr)の新体制で、さらにパワーアップした。最新作『21世紀より愛をこめて』(2019年6月リリース)では、いわゆるポップスでも、正統派の邦楽ロックでもない、耳に残る中毒性抜群のサウンドとフレーズを縦横無尽に展開。ツアーチケットもソールドアウト続出、まさに人気急上昇中。ちなみに、つい口ずさんでしまうこと必至の「どうしよう」MVは、King Gnuの常田大希率いるクリエイト集団PERIMETRONが手がけているのにも注目。
音作りからデザインまで、多才なフューチャー・ソウルの代表格
WONK
東京を拠点に活動する4人組のエクスペリメンタル・ソウルバンド、WONK。2016年9月に制作した初フルアルバム『Sphere』は第9回CDショップ大賞、ジャズ賞を受賞と早々に頭角を表す。メンバーそれぞれがソウル、ジャズ、ヒップホップ、ロックのフィールドで活動するプレイヤー、プロデューサー、エンジニアであり、さらにはグラフィック周りまで手がけるデザイナーでもあるという守備範囲の広さ。様々な音楽からの影響を感じさせる彼らの幅広い音楽性は、国内では、堀込泰行、m-flo、King Gnuから、Blue Note Recordsを代表するシンガーJosé James、L.A.のR&BバンドThe Internetといった海外ビッグアーティストまで、ジャンルや世代を超えたアーティストへ楽曲提供・リミックス・演奏参加するなど信頼の厚さ、実力の高さはお墨付きだ。
キャッチーなサウンドで魅了する謎に包まれた⁉︎ グルーヴィスタ
Nulbarich(ナルバリッチ)
シンガー・ソングライターのJQ(Vo.)がトータルプロデュースするNulbarich。2016年10月に1stアルバム『Guess Who?』リリース後、わずか2年で武道館ライブを達成し、まさかの即ソールドアウト。ソウル、ファンク、ジャズ、ロックを掛け合わせたキャッチーなサウンドの完成度の高さで、瞬く間に音楽シーンの注目株に躍り出た。生演奏、それらをサンプリングし組み上げるという、ビートメーカー出身ならではのスタイルから生まれるグルーヴィーな音が、バイリンガルなボーカルと調和。2019年2月に発表の3rdアルバム『Blank Envelope』には数々のCM曲やドラマのエンディングなどを収録。珠玉のバラードから80sディスコを感じさせるナンバー、王道のアシッド・ジャズなど、過去最大スケールで描かれている。通好みでありながら、聴くひとを選ばないポップな仕上がり。
シューゲイザー・サウンドが光るインディーズ界のホープ
LUBY SPARKS(ルビー・スパークス)
Shin(Dr)、Natsuki(Ba/Vo)、Sunao(Gt)Erika(Vo)Taimo(Gt)の現役大学生5人組によって2016年に結成された、LUBY SPARKSは、メンバー全員20代前半という若さながら、80年代のUKシューゲイザーやUSオルタナロックをベースに、My Bloody Valentine 、Slowdiveにも通じる耽美的でデカダンなサウンドで早くも注目を集めている。1stカセットシングル「Pop. 1979」はリリース直後に即完売したという実力と人気のほどが伺える。2017年7月には、UK|Derbyshireでのフェス「Indietracks Festival 2017」に日本のバンドとして唯一出演、The Vaccines(UK)、Yuck(UK)、The Pains of Being Pure at Heart(US)など、海外アーティストの来日公演のフロント・アクトも数多く務める。ジャケットのアートワークからファッションまで感度の高い若手に期待大。
デジタルとアナログが交差するエレクトロミュージック
DATS(ダッツ)
トラックメイクを手掛けるMONJOEこと杉本亘(Vo./Syn.)を中心に、吉田巧(Gt.) 大井一彌(Dr.)早川知輝(Ba.)の4人組、DATS。結成は2013年、翌年にはソマソニオーディション企画にてクリエイティブマン賞を受賞した後、2017年に待望のデビュー・アルバム『Application』を発表。しかもマスタリング・エンジニアは砂原良徳。国内の大型フェスに出演し、圧倒的なパフォーマンスが高い評価を得る。2018年には『Digital Analog Translation System』(SME)でメジャーデビュー。今年2019年3月には、MONJOEが並行して活動していたyahyel(ヤイエル )を離れ、DATSに全力投球。5月にメジャー第2弾となるEP『オドラサレテル』をリリース。LA生まれのMONJOEのグローバルな感覚で発せられる、英語と日本語、デジタルとアナログの間を自由に行き来する型にはまらないハイブリッドな楽曲が魅力。
イギリスから発信する、生音映えるバンドサウンド
DYGL(デイグロー)
2012年結成、Nobuki Akiyama(Vo,Gt)、Yosuke Shimonaka(Gt)、Yotaro Kachi(Ba)、Kohei Kamoto(Dr)からなる4人組バンド。2017年、The StokesのギターのアルバートハモンドJrのプロデュースで1st Album『Say Goodbye to Memory Den』をリリースした後、2018年に活動の拠点をイギリスに移し、自分たちの好きなルーツの音楽に立ち返り、精力的に活動する。デジタルサウンドがもてはやされる中で、ガレージロック、プログレ、サイケデリック、ポストパンク…バンドの奏でる生音の醍醐味を再確認させてくれる。ウィリアム・ブレイクの詩集にヒントを得た7月にリリースしたばかりの2nd『Songs of Innocence & Experience』では、60〜70年代を彷彿させる実験的なロックサウンドと感情を伝える詞が絶妙に絡み合う。
爽やかなブルーの音風景、現代版シティポップなロック
Yogee New Waves(ヨギー・ニュー・ウェイブス)
角舘健悟(gu/vo)、粕谷哲司(dr)を中心に、2013年に活動開始。メンバーの脱退を経て、2017年に竹村郁哉(gt)上野恒星(ba)が加入し現在に至る。2014年9月に1stアルバム『PARAISO』、17年5月に2ndアルバム『WAVES』、今年3月に発表した3rdアルバム『BLUEHARELEM』で青をテーマにした“島3部作”が完結。その間、2018年にはメジャーデビューも果たした。1990年代カルチャーからの影響、はっぴいえんどに始まり、フィッシュマンズ、サニーディ・サービスの系譜を受け継ぎ、抜け感がありながら耳元に心地よいエモーショナルなメロディは青春という言葉がぴったり。どことなく滲み出る肩ひじ張らないかっこよさ、それがYogee New Wavesというスタイルだ。
夜に寄り添う、艶やかな歌声で奏でる孤独感
PAELLAS(パエリアズ)
MATTON(vo)、bisshi(ba)を中心に大阪で結成し、Satoshi Anan(gt)、Ryosuke Takahashi(dr)が加わり、2014年、東京に拠点を移し本格始動したPAELLAS。様々な年代やジャンルの要素を独自のセンスで解釈し都市の日常、心象風景にフィットするサウンドを生み出す。甘くどこかメランコリックなボーカルMATTONの艶っぽい歌声にも定評あり。爽やかな昼間というよりは夜が似合う揺らぎのあるサウンド。6月にリリースしたニューアルバム『sequential soul』では、UKロック~サイケデリック、ハウスを経てインディーR&Bへと進化を見せた彼ら。アジア各国でも高感度なリスナーを惹きつけてやまないライブパフォーマンスも見逃せない!
Coordination & Text:Masumi Sasaki Edit:Chiho Inoue