古き良き雑誌に込められたメッセージを伝え続ける「magnif」 | Numero TOKYO
Culture / Post

古き良き雑誌に込められたメッセージを伝え続ける「magnif」

ファッションやサブカルチャーに関するヴィンテージマガジンを扱う神保町の古書店「magnif」。ネットで簡単に情報にアクセスすることができる今、この店が果たす役割とは?(「ヌメロ・トウキョウ」2018年6月号掲載)

古書の聖地・神保町でひときわ異彩を放つ、ヴィンテージマガジンの専門店。主に単行本などを多くそろえる他店とは違い、扱うのはファッションやサブカルチャー誌。2009年の開店当初から現在まで、ヴィンテージマガジンの需要の変化をオーナーの中武康法さんはどのように捉えているのだろうか。


昨年はH.P.DECO丸の内店でポップアップショップを展開した。

「スマホやタブレットが急激に普及し、より多くの時間をそれに注ぎ込むようになったことで、かえって情報や価値観が均一化されてしまった。検索上位の事柄やで注目の記事ばかりで知識欲を満たしがちになっているなかで、昔の雑誌に接し、当時の人の目線を疑似体験することで、凝り固まったネット社会から少しでも逃れることができるのでは。特にファッションの分野は“まとめサイト”などのアバウトな情報に不満を感じる人にとって、重要な一次資料として求められています」


『FRUITS』1998年2月号 ¥1,500

特にニーズがあるのは90年代前後の渋谷・原宿を中心とするストリートカルチャーに関する雑誌。購入層の年齢は幅広く、その時代の雑誌を知らない世代が、初めてここで目にするといったケースも少なくない。あらためてヴィンテージ雑誌の魅力とは?

「体系化されていない大衆文化における重要な資料であり、時代を映す鏡といえます。長い年月を乗り越えた雑誌たちは風格がにじみ、ディスプレイとしても強いインパクトを放ちます」


『AMERICAN FABRICS』1967 Spring ¥8,000

ファッションやライフスタイルショップからのコーナー展開のオファーも絶えない。オリジナルを貫くこと、軽やかに他店や他業種とつながること。magnifは、これからの書店に必要なサバイブ術をさらりとやってのける。


落ちついた古書店が並ぶ通りに、ひと際目を引くポップな外観。店内には、モード誌からストリートやサブカルチャー雑誌、写真集、一般女性誌までラインナップする。

magnif

住所/東京都千代田区神田神保町1-17
TEL/03-5280-5911
営業時間/11:00~19:00
不定休
URL/magnif.jp

Edit&Text:Etsuko Soeda

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2025 N°183

2024.11.28 発売

Future Vision

25年未来予報

オンライン書店で購入する