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Culture Post

少女の毒を味わうためのマンガ4選

“少女”たちが持っている特有の毒を描いた、読むものの心にこびりつく、“少女”をモチーフにしたマンガを厳選ピックアップ。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年6月号より)



©魚喃キリコ/祥伝社フィールコミックス

『blue』魚喃キリコ

¥952(祥伝社)

特別な少女だった頃の青い記憶

高校最後の年、同じクラスになる桐島と遠藤。大人びた空気を放つ遠藤に惹かれる桐島の想いは、次第に友情から恋愛感情へと変化する。自分が望む形で必要とされなかった悲しみから卑屈になり、衝動的に相手も自分も傷つけてしまう少女の幼さ。その幼さを徹底的に自己嫌悪できることこそ、若さの特権なのかもしれない。特別な少女から凡庸な大人へと変容することを受け入れる、遠藤の静かな勇気に切なさを覚える、青春漫画の金字塔。


『スピン』ティリー・ウォルデン

¥1,600(河出書房新社)

カオスの中で駆け抜けた、“わたし”の青春

5歳から17歳まで続けたスケートのこと、ひそかに女の人に恋をしたこと、学校でいじめられたこと。本書は、当時21歳だった著者が、誰にも言えなかった一瞬一瞬の感情を綴った青春メモワールである。自分にスケートの才能があることが煩わしい。ゲイである自分が恐ろしい。事なかれ主義で生きてきた彼女が、退屈で孤独で息が詰まるような混乱の日々にケリをつけるまでの物語は、きっと誰もが10代に覚えた感情と同じものだ。

124-016

©岩館真理子/集英社

『アリスにお願い』岩館真理子

電子書籍¥452(集英社)

自らが信じたい真実を追う少女は夢を見る

川べりの小屋が土砂崩れに遭い、小学生の少女たちが閉じ込められて亡くなった。扉の鍵を閉めたのは、アリスか美奈子。両親を事故で失った美奈子は、死んでしまった江利子の家族に娘のように育てられ、高校生に成長。昔は女王様的存在だった美しく残酷なアリスは、事件以来優しくなり、二人はいつも一緒にいた。極度な純粋さは、凶器になり得る。そして、秘密の鍵を握る少女は、無自覚でいられる少女期でしか生きられないのである。



©今日マチ子/太田出版

『ニンフ』今日マチ子

¥1,200(太田出版)

ゆがんだ心と体を脱却するニンフたち

震災で瓦礫の山と化した街で、両親を探しさまよう12歳のユキは、実業家に見初められ屋敷に引き取られる。天真爛漫なユキと対照的に描かれるのが、実業家と前妻の娘である百合子。妊娠を経て大人の体になるユキと、知力ばかりが成熟する百合子。二人の中の「少女」と「大人」のアンバランスさが事件を引き起こし、物語を加速させる。ラストでは内面に見合った体となる二人だが、力強く羽化する百合子の勇姿はぜひ見届けてほしい。

Text:Miki Hayashi, Tomoko Ogawa Edit:Sayaka Ito

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