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Fashion Post

ファッション業界で話題の八木さまに迫る!

国内外のファッションイベントで、視線を奪っている話題の人物、八木さまこと、八木恵利子さんとは一体何者?(「ヌメロ・トウキョウ」2016年9月号掲載

Photos:Ayako Masunaga Hair & Makeup:Kie Kiyohara Text:Etsuko Soeda

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ジャケット/Marc Jacobs 中に着たシャツ/Gucci ビスチェ、タイツ、シューズ、バッグ、スカートにしたヒョウ柄のトップ/すべてDolce&Gabbana ネックレス/Lanvin(すべて私物)

さまざまなメゾンの顧客である八木恵利子さん、60歳(2016年取材時)。すらりとした美しい脚をウォルフォードのタイツで包み、足元を日本では入手困難なショウピースのシューズで飾る。独自のバランス感覚で、色×色、柄×柄、さまざまなアイテムを盛り重ねたファッション。そこには、彼女が生きてきた色濃く、複雑な半生が反映されている。“More is More”を体現する八木さんのマイスタイルに迫る!

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毎月自作で発行しているフリーペーパー「YB」は3カ月に一度英語版も制作。約1500着(!)もの私服から、毎日のスタイリングを紹介。

国内のファッションイベントのみならず、海外のショウに出席したり、自らのスタイリングを紹介するフリーペーパーを毎月発行したりと、誰の真似でもないオリジナルなファッションライフを謳歌する八木さん。彼女にファッションのルーツを聞くと、意外な答えが返ってきた。

「実はもともとファッションに興味があったわけではなくて、突き詰めていくと小学2年生のときにふと頭をよぎった死生観に行き着くんです」


明るく無邪気に遊んでいたある日、自分が生まれる前も、死んだ後も永遠の闇だということに気づいてしまったという八木さん。ならば、今をどう生きていくかということを深く考えるように。そんな彼女の半生を聞けば、波乱と苦労の連続だ。貧しい家庭に育ち、気性の荒い母親との関係に悩まされた。大人になってからも、母親の亡き恋人がつくった億単位の借金問題に巻き込まれ、長年対処に追われ続けていた。けれど苦境の中でも必ず幸せになるという強固な思いが八木さんを奮い立たせてきたという。

「私が常に憧れを抱いてきたのが、40、50代のキリッとした女性。そういう女性になりたくて、若いうちは内面を磨こうと思い、いつも同じような服を着て、化粧もろくにしていませんでしたね。まだ着飾る必要はないと思っていました」


その代わりにあらゆる本を読み、たくさんの美術館を訪れ、とにかく興味のあるものに忠実に、知性や教養を養ってきたという。そして30代に入ってからは、ファッションにも気を使うように。最初は、全身黒のコーディネート。ヴェルサーチのストレッチスカートがお気に入りだった。以降、年を追うごとに独自のスタイルが完成していく。

「今でもとにかくたくさん雑誌を見ますし、ちょっとした移動で歩くときもすべてのショーウィンドウをチェックします。実際に目で見て得た知識や経験って忘れないんですよね。あらゆるものに触れて、自分の中で組み立てていきながら、自分のスタイルを追求してきたんです」

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色とりどりの花々がちりばめられたぽっくり下駄は自らリメイクしたもの。海外でデザイナーから褒められることも。

20代の頃から変わらないという体形も、ファッションの選択肢を広げた理由といえるだろう。好きな洋服を着るため、ハイヒールを履きこなすため、今でも毎日のトレーニングは欠かさない。そうやって自分のスタイルを追求し、自分自身でファッションを楽しんでいたとき、顧客として海外のコレクションへの招待を受けた。しかし初めは行くのを躊躇したのだそう。

「本当は社交的な性格ではないし、たくさん買わされたらどうしようって(笑)。でも、日本にも自由にファッションを楽しむ人間がいるということを世界に知ってもらいたかった。それで自分をアピールするためにフリーペーパーを作りました。実際、現地ではたくさんのセレブリティから写真を撮ろうよ、なんて声をかけてもらい、フリーペーパーを渡すと喜んで手に取ってくれました」

八木さんにとって“装う”とはどんな意味があるのだろう?

「私そのものですね。究極の自己満足なんですよ。モチベーションは常に自分自身の中にあるので、他人を羨ましいと思ったことは一度もないんです。常に自分の中の最高値を目指すために、私は服を着るのだと思います」

華々しいスタイルに秘められた、想像を絶するようなハードな経験。身に降りかかったすべてのことを受け入れ、消化し、それらをキラキラ輝く美しいファッションライフへと作り変えていったのだろう。

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4 Tips for Yagi’s style
八木恵利子スタイルの流儀

1. 他人にどう見られるかという基準で服を選ばない。常に自分が気持ちよくいられるかどうかを考える

2. 人に勧められたらNOとは言わずにまず試してみる。他人の意見で自分の感性が広がる

3. ファッションは総合力。内面、体形、美容も含めすべてが表裏一体になって、自分のスタイルが生まれる

4. 年を取ることは、自分を積み重ねていくこと。どう生きてきたか、人間性はファッションにも表れる

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