ローラの雑誌「R magazine」も手がける
大田由香梨のクリエイティビティ
“ライフスタイリスト”の名にふさわしく、衣食住の全てをコーディネイトするマルチな才能の持ち主、大田由香梨に聞く。
スタッフ全員で作り上げた「大好きな場所」
──この事務所のインテリアもエッジが効いていてとても素敵です。ここは大田さんの頭の中という感じでしょうか。
「すごく好きな世界ですね。ここは自分にとってインプットとアウトプットをする場所だから、遊び心や楽しさを忘れたくなくて。仕事場は家よりも長い時間を過ごす場所だから、スタッフのみんなにも好きな場所であってほしいんです。音楽を聴いたり、写真集を手に取ってスタッフと会話をしたり。そういう時間を大切にしています」
──もともとタイヤ置き場だったのをリノベーションされたんですよね。
「そうなんです。ちょうどこういう大きなロフトのある場所を探していたから、ここはまさに自分がイメージした通りの場所なんです。スタッフのみんなと床を張ったり、ペンキを塗ったりして少しずつ完成させました。洋服や家具だけでなく、人によって作られたものには必ず作り手の“気”が入ると思うんです。作り手がどんな気持ちで作ったかによって料理の味も変わるし、洋服だって輝きが全然違う。だから空間作りでもそれをものすごく大切にしています」
徹底的にこだわりぬいた自身初のスタイルブック
──ご自身のスタイルブック『THE LIFESTYLIST』がもうすぐ発売されますが、これを作ろうと思ったきっかけは?
「昔からずっと本を作ってみたいと思っていたんです。ブログを結構前から書いていたので、ファッションや食に関することはもちろん、自分の中にある変わらないことやもの、大事にしていることなどをまとめた本を作りたいと思って。細部にまでこだわりたかったので、全部自分で責任を取るためにも自費出版という形にしました」
──細部にまでこだわったというだけあって、写真や言葉からも大田さんの人柄が感じられます。英訳にもずいぶんこだわったとか。
「校了日の前日にバイリンガルの友達に読んでもらったら、英語の内容としては合っているけど、言い回しが私らしくないと変更してくれて。結局、校了日を一か月延ばしました(笑)」
──本には旅に関する話も出てきますが、旅にはよく行かれるんですか?
「はい。いつも一人旅です。最初に行ったケニアをきっかけにいろいろ行くようになって。仕事では都市に行くことが多いので、一人で行くときは、それとは正反対の場所に旅をします。仕事も自由にできるようになったので、今は年に1回くらいのペースで行ってリフレッシュしたり、いい刺激をもらって帰ってきます」
──次に旅してみたい場所は?
「チベットとかインドに行ってみたいですね」
──この本で表現したいことは出し切りました?
「いえ、まだ出し切れていない部分はたくさんあります。ただ、一つの区切りにはなりましたね。やりたいことがまだまだたくさんあるので、一つずつ楽しみながら形にしていきたいと思っています」
Photos:Satomi Yamauchi, @otayukari
Text:Mari Higure
Edit:Yukiko Shinmura, Kefa Cheong