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ヴィスコンティ監督「家族の肖像」デジタル修復版2月より公開

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2月から公開のヴィスコンティ「家族の肖像」の試写を観てきました。39年ぶりの劇場公開になるとのこと。

昔の映画ですが、さすがヴィスコンティ、今観ても輝きを放ってます。映像うつくし。

しかもこの映画、彼が65歳の時に車椅子を駆使しながら撮ったものだとか。野外撮影シーンがなく全部お屋敷の中の撮影なのは、彼の体のこともあるからなんですよね。

「家族の肖像」はどんな映画かというと、ヴィスコンティによるヘルムートバーガーへのラブレターな映画(他の映画も全部そうだけど。)美青年好きや耽美好き、腐女子の方々は必見です。というかヴィスコンティは腐女子にとっての古典名作中の古典名作ですからね。昔の少女漫画に出てくる美青年もヘルムートバーガーをお手本にしてたりする方々も多かったですからね。

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「家族の肖像」のヘルムートバーガーは常に画面の中心にいます。まず登場シーンからして凄いんですよ。ゴジラが登場するみたいな感じの演出してるんですよ。怪獣が登場するシーンや、UFOが出現するシーンみたいな感じ。最初は姿を見せず、聞こえないくらいの音がして「コンラッド(ヘルムートバーガー)よ、、」「いないよ」「いるわ声がしたわ、、」不穏な雰囲気になって、画面がハッと教授(バート・ランカスター)に変わって、画面パンしてヘルムートバーガー登場。教授、一目惚れ!

ヴィスコンティは基本、長回しのイメージですがヘルムートバーガーの登場シーンだけ、やたら凝ってるんですよね。

怪獣映画やUFO出現シーンの定石の演出。ヘルムートバーガーの美しさはもはや怪獣や未確認生命体扱いw

『家族の肖像』sub5

他にもいい役者さんがいても彼以外には目もくれず(美にうるさいヴィスコンティなので勿論ちゃんと選んでますが)

3Pシーンでも彼の裸だけを粘着に撮っています。最初、ヘルムートバーガーがヒロイン役かと思いましたが、違うんですよね、ヒロインは主人公の教授なんですよね。ヘルムートバーガーは王子様。教授は完全に乙女みたい(教授役のバート・ランカスターはヴィスコンティの分身みたいなもの)

映画のキャッチコピーも「美しきものを追い求めよ」だし、途中で歌われる詩も「墓場にセックスライフはない」というものだし、老いた教授がヘルムートバーガーに翻弄される内容。そういう意味で「ベニスに死す」と同じ構造です。

ビョルン・アンドレセンといい、アラン・ドロンといい、彼の映画は本当に美しい男ばっかり。よく見つけてきますよね。。

『家族の肖像』sub1

ヘルムートバーガーの美しさにはたまげました。こんな漫画みたいな人いるんですね(昔の少女漫画のお手本になっただけある)世界はやはり広い。

教授が彼についた血を拭いてあげるシーンも、なんか血が神々しいしエロい。

よくヒロインの入浴サービスシーンとかありますが、この映画ではヘルムートバーガーの入浴サービスシーンもあります。フルチンシーンもあり。お尻の位置が高くて足が長い!

彼はヴィスコンティが死んだ後はあまりいい映画に恵まれずパッとしないので、この映画が人生のピーク。でもヴィスコンティに撮られたらそれ以上のことはなかなかないですしねぇ。彼は晩年のヴィスコンティと公私ともにパートナーだったらしいので、彼の死後、精神的な支えを失ってしまったという説もありますからね。(ヴィスコンティは部屋に彼の写真をずっと飾ってたらしい。死ぬ時も「ヘルムート!」と叫んで亡くなったとか)

そして映画の主題にもなってる「家族の肖像」 。教授の部屋には彼がもう失ってしまっている「家族」の絵が沢山かかっています。ゲイであるヴィスコンティにとって、新しい家族の形を模索する映画でもあるかも(ノンケ的な意味の家族の形ではなく)

 

ヴィスコンティはプルーストの「失われた時を求めて」も熟読していて映画も撮ろうとしていたのね。因みに、恥ずかしながら私は「失われた時を求めて」は完読してません。だって蝋燭がついたり消えたりしすぎだし(現実と空想のシーン切り替えの合図。どっちがどっちだかわからなくなる)今と時代が違うから男×男ではなく男×女にして暗号的に託して書いてるので解読が大変。オナニーシーンですら暗号的なんだもん

プルーストによる文学史に残るオナニー表現はこんな感じ、だったはず→アイリスの香るコンプレーのお屋敷の塔屋の便所で窓からしなだれ落ちるツタカズラの葉に「天然のカタツムリの跡を残したのだ」

腐女子としては完読してないと、、とは思うのですが。。そのうち頑張ります。

 

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てなわけで、2月4日のデパHに「家族の肖像」ブース出ます!前売り券も販売。そして特別におまけもあるとのこと!?

皆様要チェック!![EVENT] 2/4(土) DEPARTMENT-H 2099

 

『家族の肖像 デジタル完全修復版』

2017年2月11日(土・祝)から岩波ホールほか全国順次公開『家族の肖像 デジタル完全修復版』

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:エンリコ・メディオーリ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ
原案:エンリコ・メディオーリ
音楽:フランコ・マンニーノ
出演:
バート・ランカスター
シルヴァーナ・マンガーノ
ヘルムート・バーガー
クラウディア・マルサーニ
ステファノ・パトリッツィ
クラウディア・カルディナーレ
ドミニク・サンダ
ほか
配給:ザジフィルムズ

ルキノ・ヴィスコンティ『家族の肖像』、修復版で約39年ぶり劇場公開 http://www.cinra.net/news/20161018-kazokunoshouzou @CINRANETさんから

 

 

 

Profile

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サエボーグ(saeborg)はラテックス製の着ぐるみ(スーツ)を自作し、自ら装着するパフォーマンスを展開するアーティストです。これまでの全作品は、東京のフェティッシュパーティー「Department-H」で初演された後、国内外の国際展や美術館で発表されている。2014年に岡本太郎現代芸術賞にて岡本敏子賞を受賞。主な展覧会に『六本⽊アートナイト2016』(A/Dgallery、東京、2016)、『TAG: Proposals on Queer Play and the Ways Forward』(ICA/ペンシルバニア大学、アメリカ、2018) 、『第6回アテネ・ビエンナーレ』(Banakeios Library、ギリシャ、2018)、『DARK MOFO』(Avalon Theatre/MONA 、オーストラリア、2019)、 『あいちトリエンナーレ』(愛知芸術劇場、名古屋、2019)、 『Slaughterhouse17』(Match Gallery/MGML、 スロベニア、2019 )など。

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