餃子のコースをワインとのペアリングで楽しむ!「SHE meguro」 | Numero TOKYO
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餃子のコースをワインとのペアリングで楽しむ!「SHE meguro」

日本の国民食と言っても間違いではない、みんな大好きな餃子。この春、餃子のコースをワインとのペアリングで提案するビストロ「SHE meguro」がオープンしました。 目黒駅から歩くと、坂を下って目黒川の手前あたり。こんなところにお店が!? という隠れ家感が漂っています。「SHE」という文字が目印。 大きな木のテーブルや照明がアットホームで落ち着く雰囲気です。カウンター席もあるので一人でも気軽に利用できます。

ディナータイムは30品以上のメニューの中から好きな5品を選べるプリフィックスと、餃子メニューを全10品楽しめる季節限定のコース「THE餃子」を提供。今回はコースをいただきました。

ディナーコース「THE餃子」のイメージ
ディナーコース「THE餃子」のイメージ

そもそも、なぜ餃子?という疑問が浮かんでくるところ。オーナーの影山泰彦さんに伺うと、一年中楽しむことができ、素材の組み合わせによってさまざまな変化が生まれる餃子に可能性を感じ、理想の餃子を求めて研究を重ねたそうです。確かに、焼き、水、揚げと調理法によってもいろいろなバリエーションが味わえます。しかし、ここSHE meguroで提供するのは、オーソドックスな餃子ではありません。フレンチの技法を駆使することで全く新しい料理に仕上げ、そこにワインや日本酒をペアリングするという、進化系の餃子体験が待っています!

一品目はアミューズから。マイクロサイズの可愛い揚げ餃子がのったメキシカンサルサです。小さな揚げ餃子の中には自家製のグリーンチリを忍ばせ、トマトの酸味とピリッとした刺激が爽やかな一品。

(左)2種のタコス餃子
(右)帆立の冷製水餃子 和風ジュレ サワークリームを添えて

続いて、お寿司のようなフォルムが斬新なタコス餃子! 揚げた餃子の皮をタコシェルに見立ててディップをサンド。ひよこ豆のフムスとアボカドのグアカモーレがそれぞれ挟まれています。

ガラスの器に入っているのは、冷製の水餃子。もっちり感を実現するために皮作りにもこだわったそうです。水餃子は長時間じっくりソテーした帆立、茄子やズッキーニを餡に包み、和風ジュレとサワークリームを合わせていただきます。もちもちした皮にぷりっとした帆立など、食感も豊かで清涼感溢れる味わい。

(左)苦味野菜と和のフルーツのサラダ シトラスビネグレット 揚げ餃子と共に
(右)マグロの蒸し餃子

お次はサラダです。トレビスやワサビ菜など苦味のある野菜に爽やかな柑橘を加え、鶏軟骨を餡に包んだ揚げ餃子が入っています。コリコリっとした軟骨の食感とパリパリの皮がアクセントに!

シェフが最も力を入れたという自信作が、マグロの蒸し餃子。山芋を包んだ蒸し餃子にマグロ、フォーム状になった黄身醤油を添えて。マグロは魚醤で味付けするなど、細かい技が詰まっています。マグロも生臭さは一切なく、組み合わせが絶妙。

(左)彩りの北京ダック包み自家製黒味噌ソース
(右)ピリ辛“海老入り”水餃子

どこに餃子要素が!? と思いますが、なんと今度は餃子の皮を蒸しています。紅芯大根などの野菜と、自家製黒味噌を合わせた蒸し鶏を一緒に包んでいただくという、北京ダック風のアレンジ。

ぷりぷりの海老と国産豚ひき肉を合わせた餡で包んだ水餃子。やはり、もちもちとした生地がたまらない!

ここでメインディッシュです。黒毛和牛を餃子の皮でパイ包み風に焼き上げ、その下にはシェフ特製のビーツソースが。周りには山椒オイルが垂らしてあります。お肉はとろける口溶け。そこに濃厚な赤ワインのソースでなくビーツのソースを合わせたのが新鮮でした。そのおかげかとても軽く、山椒オイルの痺れる刺激もいい感じです。

4種の焼き餃子
4種の焼き餃子

ようやく餃子らしい餃子が(笑)! 4種類の焼き餃子は、それぞれの具材にあったソースと共に提案。野菜が入った特製餃子はビネガー&ペッパーソース、豚挽き肉と自家製の青唐辛子のちょい辛餃子はトマトソースで、しそ餃子にはポン酢で、スパイスを調合したお肉のみの肉肉餃子はピンク塩&レモンで、といった具合に、ベストなマリアージュが楽しめます。

デザートはアップルパイ仕立て。10品いただきましたがお腹いっぱいに満たされるちょうど良いポーションでした。

これらのお料理に合わせたペアリングも秀逸! 自然派ワインを中心に全部で6杯いただきましたが、中には滋賀県喜多酒造の日本酒「first 純米吟醸酒」も(写真左)。これをマグロの蒸し餃子に合わせましたが、すっきりとした飲み口で海鮮にもマッチ。

メインのお肉にはカリフォルニアのマイケル・デイヴィッドによる「プティット・プティ」という赤を。フルボディでしっかりしているれど果実味がありグイグイ飲めちゃうような感じでした。お酒の量がそんなに飲めないという方には、3杯ショートペアリングも用意。そのほか、カクテルやクラフトビール、ノンアルもあるのでお好きなものをどうぞ!

お皿も一皿ずつ素敵だなと思っていたら、オーナーの奥様が陶芸家でご自身で作られたとのこと。す、素晴らしい〜!!

今は1階の餃子ビストロのみの営業ですが、今後は建物1棟丸ごと「大人の女性の遊び場」をコンセプトに2階の会員限定レストラン(2022年12月予定)、3階はヨーロピアンタパス&ワインバー(6月3日予定)、4階は6名で泊まれるバケーションホームを展開していく予定だそう。まるで大人のテーマパークのよう!

フレンチの技を活かし餃子の概念を広げるクリエイティブな料理は、今までに味わったことのない体験ができるはず。季節が変わったらまたお邪魔したいです。

「THE 餃子」春夏のコース
提供期間/~9月30日(金)
価格/コース ¥6,600
ペアリング/6杯 ¥5,280、ショートペアリング 3杯 ¥1,980

SHE meguro
シー目黒

住所/東京都品川区上大崎4-5-31
TEL/03-6303-9441
営業時間/
ランチ 月~日 11:00〜17:00(L.O.15:30)
ディナー 水~日 18:00〜23:00(L.O.21:30)
定休日/不定休(2022年5月は月・火定休)

URL/shemeguro.com
Instagram/@shemeguro4531

Profile

新藤友紀子Yukiko Shinto ウェブ・エディター。女性ファッション誌のウェブ編集などを経て2018年『Numero TOKYO』に参加。ファッションをはじめ、カルチャーやライフスタイルなど興味の赴くまま取材。Numero.jpでは連載「パン野ゆりのぶらりパン歩き」「パントビスコの不都合研究所」やスイーツの記事などを中心に担当している。最近は韓国ドラマやK-POPに目覚め、失われた青春を取り戻すかのように沼り中。

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