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森村泰昌展@原美術館をスマイルズの遠山正道がレポート!

マネ作「フォリー=ベルジェールのバー」の登場人物になり切った作品。 「劇場 2020」 撮影:木奥惠三
マネ作「フォリー=ベルジェールのバー」の登場人物になり切った作品。 「劇場 2020」 撮影:木奥惠三

名画や映画の登場人物、あるいは歴史上の人物に自らが扮するセルフポートレイト作品で知られる森村泰昌。レクチャーパフォーマンス「エゴオブスクラ東京2020バージョン」ほか、必見の展覧会が東京・原美術館で開催中(6月9日再開)。スマイルズ代表の遠山正道がレポートする。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年6月号掲載)

展示風景 撮影:木奥惠三
展示風景 撮影:木奥惠三

人生のチケット

森村さんご自身に2時間かけてじっくり展覧会をご案内いただいて、思い至った。森村さんはタイムマシンを手に入れたタイムトラベラーなんだと。

ほら、よく19世紀のヨーロッパや明治・大正時代の写真に、明らかに現代人が映り込んでしまっているやつ、あれ。あれの、巧妙に、現代人ってバレないようになり切って、でもただ紛れるだけではつまらない、現代人としてのウイットをちゃんと持ち込む。物真似ではなく、解釈。歴史上の人物に、敬意を払いながらも彼ら彼女らに更なるアイデアを耳元に囁きにいく。演出家が舞台上で役者に演技をつけているような。

展示風景 撮影:木奥惠三
展示風景 撮影:木奥惠三

だから森村さんは、今後死ぬまで、次はどこにどんな旅をしようか、と一生企み続けていくのだと思う。羨ましき人生。そういう自分の人生のチケットを見つけている森村さんという人物と、その軌跡を覗き見ることができる、これからどこに行こうか、というのを自分にも照らしてみて、羨ましく思ったり、焦ったりできる。そんな貴重な、素敵な展覧会。

展示風景 撮影:木奥惠三
展示風景 撮影:木奥惠三

ちゃんと時間を調べて合わせて、映像をしっかり観るべし。時代へダイブするということの本気を浴びることになる。

それからそれから、マネの「フォリー=ベルジェールのバー」。娼婦らしきバーメイドの堂々たる態度を表すのに、森村さんは手首(高校生のを石膏でとった)を注ぎ足し手に持って、それにもたれている。意味がわからないって? 森村の娼婦へのリスペクトを確認しに、さあ、原美術館へ。

映像作品「エゴオブスクラ」より2020(参考写真)撮影:福永一夫 ©Yasumasa Morimura
映像作品「エゴオブスクラ」より2020(参考写真)撮影:福永一夫 ©Yasumasa Morimura

「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私」

会場/原美術館
会期/6月9日(火)再開 7月12日(日)まで
休館日/月
※予約制
※予約方法を含めた最新の開催情報は、展覧会公式サイトをご確認ください。

Text:Masamichi Toyama Edit:Sayaka Ito

Profile

遠山正道Masamichi Toyama スマイルズ代表。2000年、株式会社スマイルズ設立。スープストックトーキョーなど多数ブランドを展開。スマイルズが作家として2015年より越後妻有、瀬戸内など芸術祭に作品を出品するとともに、街に開放されたミュージアム「The Chain Museum」などのプロジェクトも発信。

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