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幼稚化された時代が求める「いい女」とは?[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.10

K「確かにフリーな人達が多い。30、40代は区分なき平均化された日本を生きていたから、何系何系と一生懸命区分して、敵対関係を作る事に腐心していましたから。それが今、なし崩し的に混濁した。しかもそれをSNSの発達がフォローする。Twitterでつぶやけば、その場でそこに興味があるもの同士が盛り上がり、YouTubeで自分を売り出せば、その感性を気に入った人に見てもらえる。相当色々な話ができて、それが全てフェティッシュな話ですよね。言うなれば、何でもあり。逆に言うとユートピアですよ。どんな人でも何らかの形で好かれる可能性がある時代ということです。その背景にはカルチャーの幼稚化や、男目線の消失がある。しかし今、また取り戻そうという傾向もあります。世の女性たちは、ユートピアな世界で男目線なく楽しく女子会とかしていたんだけど、もうそろそろ寂しいから、男性が必要になってくる頃かもしれない」
 
I「考え方が変わったのはやっぱり震災以降ですかね。子供の持つ全能感が通用しなくなってしまう、という事態もあちこちで起こっている。女性がやっぱり、男性も必要かもと思い直しているのかもしれません。でもその恋愛って、以前の恋愛感情というのではなく、もう少し同志的なものなのかもしれませんね。」
 

 

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伊藤俊治(いとう・としはる)

1953年秋田県生まれ。美術史家。東京芸術大学先端芸術表現科教授。東京大学大学院修士課程修了(西洋美術史)。美術史、写真史、美術評論、メディア論などを中軸にしつつ、建築デザインから身体表現まで、19世紀~20世紀文化全般にわたって評論活動を展開。展覧会のディレクション、美術館構想、都市計画なども行う。主な著書に、『裸体の森へ』『20世紀写真史』(筑摩書房)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社)、『バリ島芸術をつくった男』(平凡社)、『唐草抄』(牛若丸)などがある。

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菊地成孔(きくち・なるよし)

1963年千葉県生まれ。音楽家、文筆家、音楽講師。85年音楽家としてデビュー以来、ジャズを基本に、ジャンル横断的な音楽活動、執筆活動を幅広く展開。批評家としての主な対象は、映画、音楽、料理、服飾、格闘技。代表的な音楽作品に『デギュスタシオン・ア・ジャズ』『南米のエリザベス・テイラー』『CURE JAZZ』、『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』(ewe)などがある。著書に、『スペインの宇宙食』(小学館)、共著『アフロ・ディズニー』(文藝春秋)、『ユングのサウンドトラック』(イーストプレス)など。映画美学校・音楽美学講座、国立音楽大学非常勤講師として教鞭もとる。PELISSE www.kikuchinaruyoshi.net/

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