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People Interview

東信×Katie Scottが贈る、
花の一生を描くアニメーション

前代未聞の花へのアプローチでいつも私たちを驚かせてくれるAMKK(東信、花樹研究所)が、新たなインディペンデント・アートプロジェクトを発表した。今回の作品は、大人から子どもまで楽しめる「花の一生」をテーマにしたボタニカル・アニメーション『はなのはなし』。

Photos:Shunsuke Shiinoki
Illustrations:Katie Scott
Interview&Text:Eureka Ono
Edit:Masumi Sasaki

アニメーション『はなのはなし』より

12 Orange Poppy
アニメーション『はなのはなし』より

花をモチーフにした“普通じゃない”表現を形にするには

──アニメーションはわかりやすい作品に仕上がっていますが、受粉のシーンだけがモノクロになっていたり、植物の根っこと雷をシンクロさせるような表現があったり、印象としてはファンタジックですよね。

J「まさにケイティとは、ファンタジーの要素をどうやって取り入れるか試行錯誤しました」

K「私の描くものはいわゆるボタニカル・イラストレーションですが、やはり意識しているのは、東さんの作品からも感じるような“普通じゃない表現”。植物がどのように生まれて死んでいくかをただ再現したかったわけではなく、花のライフサイクルを直感的に感じられるような、植物の持つ創造性を映像化したかったんです。インスピレーションはすべて植物から受け、徹底的に花の構造を調べたうえで、白黒のシーンを取り入れたり、抽象化したり、天候の変化を表現したりしてアートに落とし込みました」

──制作期間はどのぐらいだったのでしょう?

A「1年です。ケイティはすごくアカデミックなところがあって、イマジネーションだけで描かずに掘り下げているから絵に説得力があるんです。あとは、ジェームズのつけた花の動きにも唸りました。植物の動きよりも植物らしい動きだと感じました」

J「実は植物の形や動きに関しては、東さんの作品からのインスピレーションも大きかったです。ケイティは花の構造や動きを解剖学的に理解しているのですが、リアルな動きから少しだけ逸脱した幻想的なイメージにしたかったので」

K「ジェームズのデジタルアニメーションの場合、ひとつの花をつくるのに20枚ものレイヤーがあるので気が遠くなるんですよ。加えて今回はカメラの動きを意識しなくてはならなかったので、構図を考えることも非常に苦労しました」

アニメーション『はなのはなし』より

──蓮の葉が水面に浮かんでいて、カメラのアングルが下がっていくと水中ではなく空に切り替わるシーンがありましたが、それはケイティさんのアイデアですか?

K「ジェームズなの。最初に彼がそのアイデアを思いついたとき、私は『そんなのありえない! 狂ってる』と言いました(笑)」

J「そう。だから僕は、現実とかけ離れた要素を加えることで、映像を観る人を惹きつける意外性が生まれるんだと、ケイティを説得しました」

──日本では蓮の花は極楽浄土を連想させますが、それは知っていましたか?

K「ええ、知っていました。日本だけに限らず仏教ではそのように捉えられていますよね。今回、私たちは人間と植物との関係性、花との結びつきについても描きたいと思っていたんです。イギリス人も花や庭が大好きだけれど、日本とはまったく違うアプローチですよね。文化が異なるので、どんなふうに花を描くかは、ディスカッションを重ねたんです」

日本の草花に恋してしまった

Profile

東信(Azuma Makoto) 1976年福岡県生まれ。2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。また、フラワーアーティストとして国内外で精力的な活動を展開。05年からニューヨーク、パリ、ドイツなど海外を中心に個展を開催。09年、植物の可能性をさらに追求する実験的植物集団「東信、花樹研究所」を立ち上げ、植物をキーワードにさまざまな分野で幅広く活動。東のすべてにおける活動は花・植物のみが有している最も神秘的な形を見つけ、それを美的なレベルに変換し表現することで、植物の価値を高めることに一貫している。

Profile

ケイティ・スコット(Katie Scott) ボタニカル・イラストレーター。英国・ブライトン大学を卒業後、2011年よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始。学術的な要素とファンタジーの要素を併せ持つ独特なタッチで、植物のみならず昆虫や動物など幅広いイラストレーションを展開する。16年には英国・キュー王立植物園から書籍『ボタニカム』を出版。動植物の美術史や様々な歴史的描写を紐解いたような作風で世界が注目する若手イラストレーターの一人である。

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