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People Interview

風船を自在に操るアーティスト「デイジーバルーン」

数年前、フジロックでビョークの風船ドレスを手がけたことで一躍有名になったバルーンアートユニット「デイジーバルーン(Daisy Balloon)」。バルーンの常識に挑戦しながら作品を生み出す彼らにインタビュー。

Interview & Text:Etsuko Soeda
Edit:Masumi Sasaki

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“CAPSULE” LUFTMUSEUM 2016
ドイツのLUFTMUSEMで開催されたデイジーバルーンの個展の様子

──バルーンは必ず劣化するもので、それは覆すことができない現象ですが劣化というテーマに挑戦したいという思いはあるのでしょうか。

H「劣化はひとつのキーになっています。去年の9月から1月までドイツのLUFTMUSEUMという美術館で展示をしました」

K「そこでは劣化をテーマに、劣化前・劣化中・劣化後の作品展示をしました。劣化はマイナスなイメージをもちますが、劣化を止めるという挑戦ではなく、劣化を受け入れそれ自体を作品にしています。

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“BLACK HOLE” 2016 DAISY BALLOON | Kohei NAWA
ホテル アンテルーム 京都のRoom No164に展示されている名和晃平とのコラボレート作品「BLACK HOLE」

改めて感じた劣化する美学

──劣化を生かすだけでなく、逆に劣化への反発というアプローチで捉えた作品はありますか?

K「名和(晃平)さんと昨年コラボレートしたのが、バルーンが劣化する前の形状を保存させるという作品でした。バルーンで形成したものをコーティングし、形状を保存する彫刻作品です」

H「バルーンの形状を保存させたいという想いはずっとありました。写真や映像には残してきているのですが、今まで保存出来なかったバルーンを彫刻にしていただいたことは、私にとってはとても大きな喜びでした」

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“ITS FOR ISETAN SUPPORTED BY DIESEL” ISETAN SHINJUKU 2016
バルーンのベアーだけで構成された伊勢丹新宿店のウインドウ展示。

──バルーンには、動物や花などをその場で作って、子どもたちを喜ばせるというような、パフォーマンス的な側面があります。そういう点をどう捉えていますか?

H「バルーンはコミュニケーションツールだと思っていますので、そこが作品作りの原点と捉えています」

K「私たちの憶測なのですが、バルーンに対してみんなが想像する固定概念が存在していると思います。その概念を崩す品を作り出すことで、私たちも、見た人たちも、新しい発見や気づくこともあると思っています」

──クリエイションとしてのデイジーバルーンらしさとは?

K「見る人がどのように感じるのかはわかりませんが、私たちとしては、繊細な建築物に入った時のような圧倒的な印象を感じてもらえるような作品を目指しています」

──今後どんな作品を見せてくれるか楽しみです。次回作の構想はありますか?

H「河田の頭のなかにあるので、断片的に聞いている段階です。それを聞きながら技術的な部分を構想し提案しています」

K「いろいろ構想がある中で、今まで使ったことのない素材をリサーチしていて、その専門分野の方からお話を聞いたり、知識を深めているところです。また、今回テーマにした内的・外的の対称性を、個々に深く掘り下げた作品を追求していきたいと思っています」

ビジュアルをチェック! 「Roger Vivier × デイジーバルーン」

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Profile

DAISY BALLOON (デイジーバルーン) バルーンアーティスト細貝里枝(左)とアートディレクター、グラフィックデザイナーの河田孝志(右)からなるアーティストユニット。2008年結成。以来、「感覚と質」をテーマに掲げ、バルーンで構成された数々の作品を制作。なかでもバルーンドレスは、繊細さが細部まで行き渡った建築物を思わせ、多くの人々を魅了している。また、哲学的テーマを探求して、物や人とディスカッションすることをフィールドワークとしているが、その眼差しは常に、他者との本質的な融合に向けられている。www.daisyballoon.com

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