Culture / Feature

愛情の深さを社会貢献に変えた6人の女性たち

愛情と聞いて思い浮かべるものには、その人の哲学や美意識がビビットに表れる。その愛情は誰かに朗々と語らなくてもいい。大切なのは自分自身が静かに寄り添いつつ、他者や社会に向けてピースなアクションを起こすこと。そんな美しさとタフネスを併せ持つ6名のレディを訪ねた。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2019年10月号掲載)

ライフスタイリスト 大田由香梨

愛ある食事こそサステナブル

サステナブル=持続可能なサイクル。新時代に大切な考えとはいえどこか難しく感じられる。「本来はシンプルなのかも。食なら、愛する人に思いを込めて作り、相手の笑顔に幸せになる。そんな行動を繰り返すことかなって」とスタイリストの大田由香梨さん。

8年前にカフェレストラン「ORGANIC TABLE by LAPAZ」を開いてから自身の食事にも変化が。「有機野菜が中心に。農業というのはハードで、食べる人を思った農法を選ぶのはさらに大変。それを厭わない生産者を私は応援したい。フォロワー感覚です」。

栄養摂取以外にも食の価値を見出している。「リスペクトする人にヴォートする感覚で消費するものを選びたい。愛のある循環の中にいることが私の幸せだから」。

大田由香梨(Yukari Ota) ファッションスタイリストとして2004年よりファッション誌を中心に活動。11年の「ORGANIC TABLE BY LAPAZ」オープン以降、衣食住全般のクリエイティブやディレクション業に携わる。

ジュエリーブランド「アルティーダ ウード」
ディレクター 安部真理子

途上国の女性の暮らしをつくる

女性が自分の道を生きることは今もなお難しい。途上国ではなおさら。「働いてお金を循環させる仕組みが一番必要。大学生の頃にインドでボランティアをして心底思いました」と、ジュエリーブランド「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」の安部真理子さん。

創業時から購入額の1%分を寄付できるオンライン募金を行っている。「9月5日から始まる『I am』Donation Projectではブレスレットとタトゥーシールのセット(¥4,000)を購入すると最大¥1,100を寄付できる仕組みに。天然石のブレスレット(写真上)はインド・ジャイプールの女性たちによる手作りです」。

10月11日の国際ガールズ・デーに合わせて発売する、“kale”のピンクトルマリンのジュエリー(写真上)も売上の10%を寄付。「“Love is doing small things with great love.”とはマザー・テレサの言葉。時代に関係なく、こんな生き方をする女性は素敵だなって!」。

安部真理子(Mariko Abe) 10歳の頃に訪ねたエジプトで、自身より年少の子が物売りする姿を目撃してから、途上国に意識が向くように。大学在学中にはインドのフリースクールで英語教師として活動。

「プーオフィス」代表取締役 ハリイ美江子

対うさぎも、ギブアンドテイク

ペットを飼うならどんな出合い方がベスト?「実家を出てから初めて飼ったのは雑種のうさぎ。9年前です」と話すハリイ美江子さんは、知人が登録していたシェルターで見つけた。もともと引き取ろうと決めていたわけではない。「出合う場所は動物にはそこまで重要と思えない。大切なのは飼育環境かなと」。

同時期からシェルターへの支援物資と寄付もスタート。「自分の生活や仕事を思うと多くの動物を預かるのは難しく、この二つならできると考えました」。

うさぎもシェルターもあくまで“お互い様”の関係がベース。「一緒に暮らしたいというのはある意味で人間のエゴ。だからではないですが、せめて少しでも動物が安らかに暮らせる環境に整えたいなと思うんです」。

ハリイ美江子(Mieco Hallie) 2011年にPR会社「プーオフィス」入社、代表取締役を務める。18年からワグのPRマネージャーとしても活動。現在18年に「動物愛護団体 the VOICE」で出合ったうさぎと暮らす。

「(のーぷら)No Plastic Japan」代表 ノイハウス萌菜

ストローから環境全体を考える

脱プラスチックを発信する「のーぷら」代表のノイハウス萌菜さん。創業時は25歳。「環境のために何かしたくて、エコバッグやマイカップを使ったり関連イべントに行ったり。でも自分の生活範囲でしかなかったし、対企業や消費者に幅広く個人で発信するのも難しいので、のーぷら No Plastic Japanを設立しました」。

取り扱っているのはステンレス製のストロー(¥400〜)。「使う頻度が高く持ち運びできて、持ってない人が多いものかなと。小さいけど使い捨て製品や消費全体のことを考えるには十分と思います」。

こんなにも真摯になれる理由とは。「以前プラのストローが刺さった亀の動画を見て、傲慢かもですが本当につらくて。事実を知った以上、何かできることをしなくちゃと思うんです」。

Photo:Daiki Suzuki
Photo:Daiki Suzuki

ノイハウス萌菜(Mona Neuhauss) 2018年創業の「(のーぷら)No Plastic Japan」の代表。日本人とドイツ人のハーフ。6歳からイギリスで暮らし、大学卒業後来日。現在コンサルタントとしても活動中。

「和える」代表取締役 矢島里佳

子どもたちに日本の伝統をつなぐ

世界の文化が混交するボーダレスな時代。その中で12年前から日本の伝統に深い愛で向き合うのが、日本の伝統を次世代につなぐ「和える」代表の矢島里佳さん。「伝統との出逢いは、お茶室で触れたお道具たち。実用面はもちろん、手触りの良さ、季節の訪れを告げてくれるところに惹かれました」。

19歳から日本全国の職人を訪ね、幼少期から日本の伝統に触れられる環境を生み出すため、出産祝いに「日本を贈る」ブランド事業をはじめとする幅広い事業を展開。

「目に見えない精神性が重要視される時代だからこそ、今後いっそう伝統を受け継いできた職人さんの存在が、この国の魅力の大きな一翼を担うはず。日本の文化に根ざした美しい未来を現実にしたいという一心で、日々会社を育んでいます」。

矢島里佳(Rika Yajima) 19歳の頃から全国の職人を訪ね、大学4年時の2011年に株式会社和えるを創業。”0歳からの伝統ブランドaeru”の商品を、オンラインと東京・京都の実店舗で販売する他、様々な事業を展開。

再生アーティスト いなずみくみこ

最高に美しい“捨て方”を貫く

Photo:Daiki Suzuki
Photo:Daiki Suzuki

パリ・マレ地区で開かれた「DISCOVER THE ONE JAPANESE ART 2018 in Paris」で人気アーティスト賞を獲得したいなずみくみこさん。「“廃材を使うって、お金がないの?”と多くの人は見るでしょう。でも違うの。テープの芯一つも私は捨てない。形が美しいから」。

廃材の美や物語を作品を通して伝える。「自分の人生で生み出した廃材はできるたけ自ら片付けたい。最高に美しい死化粧をほどこしたいのです」。

“最期”は燃やせるよう、可能な限り紙とプラしか使わないように。「生活する以上ゴミは生まれる。同時に消費するから社会は循環するのも事実。自分が真に愛するものをより深く見つめ、身の丈に合う暮らしを個々が考えれば、生活も社会も変わっていく気がします」。

いなずみくみこ(Kumiko Inazumi) 武蔵野美術大学造形学部芸能(現:空間演出)デザイン学科卒業後、フリーのイラストレーターや造形教室の講師などを経て、還暦より制作活動をスタート。

Text:Nao Kadokami

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