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カトリーヌ・ドヌーヴ主演。是枝裕和監督が軽やかに描ききった『真実』

日本を代表する映画監督の新たなチャレンジ。2018年、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が次に挑んだのは、初の国際共同製作となる作品だ。主演はフランス映画界の至宝と呼ばれるベテラン女優、カトリーヌ・ドヌーヴ! 『シェルブールの雨傘』(1963年)や『終電車』(1980年)、『インドシナ』(1992年)、『8人の女たち』(2002年)などで長年映画ファンを魅了してきた彼女が、その裏の自画像を思わせる国民的女優の役を演じる。

photo L. Champoussin ©3B-分福-Mi Movies-FR3
photo L. Champoussin ©3B-分福-Mi Movies-FR3

是枝裕和監督、初の海外合作。
カトリーヌ・ドヌーヴをはじめ世界のトップ名優たちとコラボレーションした“家族ドラマ”にして“業界内幕もの”。

お話は『真実』というタイトルの自伝本をめぐる家族のドラマ。世界中にその名を知られる大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、キャリアの晩年に差し掛かり、波瀾万丈の生涯を自ら綴った一冊を出版することになった。

映画の冒頭、パリの自宅でインタビューを受けているファビエンヌ。まもなく出版祝いを口実に、脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)がニューヨークからやってくる。偉大だが傲慢な母への複雑な愛憎を抱える彼女は、テレビ俳優としてようやく芽が出た夫のハンク(イーサン・ホーク)、小さな娘シャルロットと一緒だ。

自宅で来客を迎えるのはファビエンヌの現在の“料理担当”兼パートナーと、長年の秘書。さらにファビアンヌの元夫まで現われる。彼らの気がかりは一様に「彼女は自伝に何を書いたのか?」。そんな折にリュミールが、母のライバルで親友だった亡き女優サラのことを口にした途端、ファビエンヌは顔を曇らせる――。

日仏合作で構想8年。ジュリエット・ビノシュやイーサン・ホークといった世界第一線の人気俳優を迎え、フランス語と英語が飛び交うパリでの撮影。こういった新しい環境でも、是枝裕和監督はあくまで軽やかに自分のスタイルを貫く。気まぐれだが憎めない大女優をチャーミングに演じるカトリーヌ・ドヌーヴに、是枝が多数の作品で組んできた樹木希林のフィーリングが宿っているような印象を受けるのは気のせいか?

撮影監督は名匠エリック・ゴーティエ。映画業界の内幕をユーモラスに描きつつ、家族のゆるやかな回復を主題とする、まさに是枝監督ならではの珠玉のヒューマンドラマが誕生した。本作は今年8月末、ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品(日本人監督は初)として上映されて喝采を浴びた。

『真実』

監督/是枝裕和
出演/カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ
配給/ギャガ
©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA
10/11(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
gaga.ne.jp/shinjitsu/

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Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

Profile

森直人Naoto Mori 映画評論家、ライター。1971年、和歌山県生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「TV Bros.」「シネマトゥデイ」などでも定期的に執筆中。 YouTube配信番組『活弁シネマクラブ』でMC担当中。

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