表現の軌跡をたどる展覧会「アレック・ソス 部屋についての部屋」展@東京都写真美術館 | Numero TOKYO
Art / Feature

表現の軌跡をたどる展覧会「アレック・ソス 部屋についての部屋」展@東京都写真美術館

アメリカ現代写真の担い手にして、マグナム・フォト正会員のアレック・ソス。詩的かつ静謐な印象を決定づけた初期作品から、世界初公開の最新作まで、表現活動の軌跡をたどる展覧会。「部屋についての部屋」——まずは解題から始めよう。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年12月号掲載)

アレック・ソス『Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana』「Sleeping by the Mississippi」より 2002年 作家蔵 ⓒAlec Soth
アレック・ソス『Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana』「Sleeping by the Mississippi」より 2002年 作家蔵 ⓒAlec Soth

1969年、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリス生まれのアレック・ソス。初期を代表するシリーズ「Sleeping by the Mississippi」をはじめ、車を走らせた旅先で出会った人々や風景を8×10の大判カメラで撮影。ロードトリップに象徴されるアメリカの写真表現を現代に受け継ぐ存在として、日本でも注目を集める写真家だ。

アレック・ソス『Anna, Kentfield, California』「I Know How Furiously Your Heart is Beating」より 2017年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth
アレック・ソス『Anna, Kentfield, California』「I Know How Furiously Your Heart is Beating」より 2017年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth

孤独を愛し、レンズ越しに世界と向き合う道を選んだ彼があるとき、舞踏家・振付家のアンナ・ハルプリンや小説家のハニヤ・ヤナギハラら、世界各地で暮らす人々の部屋を訪ね、人物や持ち物を撮影し始めた。題して「I Know How Furiously Your Heart is Beating」。「自分ではない誰かの心臓が鼓動している空間」を写したこのシリーズが、本展のテーマ「部屋についての部屋」のきっかけになっている。

アレック・ソス『Two Towels』「Niagara」より 2004年 作家蔵 ⓒAlec Soth
アレック・ソス『Two Towels』「Niagara」より 2004年 作家蔵 ⓒAlec Soth

アレック・ソス『Bil, Sandusky, Ohio』「Songbook」より 2012年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth
アレック・ソス『Bil, Sandusky, Ohio』「Songbook」より 2012年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth

展示は同シリーズを起点に、アメリカの美術学校で撮影され、今回が世界初公開となる「Advice for Young Artists」シリーズまで、約30年にわたる表現活動を6つのセクションで紹介。部屋といえば、カメラという言葉の由来はラテン語の「暗い部屋(カメラ・オブスクラ)」。自らの小さな部屋を手に、彼は何と向き合ってきたのか。密やかな空間と人々の息遣いに、思いを馳せたい。

「アレック・ソス 部屋についての部屋」

会期/2024年10月10日(木)〜2025年1月19日(日)
会場/東京都写真美術館 2階展示室
住所/東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL/03-3280-0099
URL/www.topmuseum.jp
※最新情報はサイトを参照のこと。

Edit & Text : Keita Fukasawa

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