People / Interview

女優と監督、プロデューサーの3役をこなす
世界へと羽ばたく映画人 杉野希妃

日本だけでなくアジアを中心にボーダレスに活躍する映画人、杉野希妃。女優、監督、プロデューサーと3つの役をこなす彼女にインタビュー。

──目には見えないものを、かたちとして伝えるのが映画の魔法ですもんね。

「伝えたい!というおこがましいものではないけど、一緒に掴みたいというイメージですね。観てる人と作り手の自分が漠然としたものを漠然としたまま一緒に受け入れて豊かになりたいという。トルストイの言葉に、現実世界のリアリティと芸術における真実の何が違うのかというと、後者はそこにないものが付け加えられることだというのがあって。それ、すっごく、わかると思ったんです。単純にリアリティを持って演じるということではなく、見えない何かを付け加えたり、物事を新しい視点で捉えることができるのが、いい表現者なのかなと」

辛くて楽しい、だから映画づくりはやめられない

──今年3月まで尾道で最新作『雪女』の撮影をされていましたが、今後の予定は?

「1年以内に、ブルガリア、チリとの合作にそれぞれ女優として出演させていただく予定です。英語でお芝居をしたことがないので、どうなることやら(笑)。監督作としては、記憶に囚われてる人と、逃れたい人にまつわる、どこか人魚姫みたいな寓話のような物語を構想中です」

──どんどん走り続けますが、恐怖心はあるんでしょうか?

「常にすっごく怖いですよ(笑)! でも、それがないと楽しくないんだと思う。今も撮影したばかりの『雪女』の映像と距離を置こうと寝かせているんですけど、すぐ観てしまうともう駄目。あのときの自分はこれ以上のものは撮れなかったという自負はありつつも、もっとできたはず!と悔しくなる。見ているものが高すぎて自分が苦しむタイプだと思います。自分のレベルとのあまりの落差に愕然として吐き気がするし、恐怖心ともどかしさで悶えながら生きてる。それが自分の原動力で、モチベーションなんですよね」

──今後叶えたい夢はありますか?

「いくらでも! 一生満足できない性格なんだと思う。満たされることに対する恐怖感があって。死んでもなお悔しがってるかもしれない(笑)。そんなこと言いながら、大食いなんですけど(笑)。自分の写真を見ても、精神的に余裕がないときのほうがしっくり来るというか、いい顔してるって思うんです。でも幸せになりたいし、余裕は持っていたいんですけどね」

––最後に、自ら道を切り開いてる杉野さんのようになりたいという女性へアドバイスをいただけますか?

「私は叩かれても馬鹿にされても、いつか見ていろと思って雑草のように進んできた人間ですからね。私に言えることがあるとしたら、踏まれても伸びろということかな(笑)。踏まれるのは当たり前なんだから、栄養だと思うこと。それが一番です」

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Works


ほとりの朔子

出演/プロデュース作。大学受験に失敗し現実逃避中の朔子(二階堂ふみ)。叔母・海希江(鶴田真由)の誘いで、旅行で留守にするというもうひとりの伯母・水帆(渡辺真起子)の家で夏の終わりの2週間を過ごすことになった。美しく知的でやりがいのある仕事を持つ海希江と過ごす海辺の街でのスローライフ。朔子は海希江の古馴染みである兎吉(古舘寛治)や娘の辰子(杉野希妃)甥の孝史(太賀)と知り合い、彼らとの距離を縮めてく。そんな小さなときめきをよそに、大人たちは微妙にもつれた人間模様を繰り広げていく…。2013年東京国際映画祭コンペティション部門上映。2014年公開。監督:深田晃司


禁忌

主演/プロデュース作。恋人がいながらも自分を慕う女生徒と関係を持つ女子高教師サラ(杉野希妃)はどこか満たされない日々を送っていた。ある日、幼いころに離別した父親・充(佐野史郎)が暴行事件に巻き込まれたと連絡が入る。入院中の父に代わって自宅を訪れると、そこにいたのは充に監禁されていた少年・望人(太賀)だった。突如はじまった望人とサラの奇妙な共同生活。少年愛者の血が流れていることを自覚するサラと、次第に大人になっていく望人。衝撃の事件の後、サラに対する思いを恋と錯覚する望人が「少年」であり続けるために自らとった行動とは? 2014年公開。監督:和島香太郎


欲動

出演/監督/プロデュース作。勢津ユリ(三津谷葉子)と夫・千紘(斎藤工)は、臨月を迎えた千紘の妹・九美(杉野希妃)の出産に立ちあうためバリを訪れた。異国で出産する九美にとって兄と看護師でもあるユリの存在は心強かったが、一方で心臓に重い病を抱える千紘にとっては危険を伴う旅でもあった。九美の夫・ルークを含めた4人で観光中、何気ない会話から千紘とユリが口論に。千紘の「人の死に慣れたお前が嫌なんだ」という言葉にショックを受け、ユリはその場を去ってしまう。バリの広大なライスフィールドをさまよう彼女が座り込むと、ある日本人男性が声をかけてきて。釜山国際映画祭上映。2014年公開。


マンガ肉と僕

主演/監督/プロデュース作。4月の京都。気が弱く引っ込み思案の青年ワタベ(三浦貴大)は活気に溢れる大学になじめず孤独な日々を送っていた。一方、同大学の熊堀サトミ(杉野希妃)は太っていてみすぼらしい容姿から、周囲の学生に嘲笑されていた。ワタベはそんなサトミを差別することなく接してくれる唯一の存在。その優しさにつけ込んだサトミは彼の自宅に転がり込み、寄生し、やがて奴隷のように支配しようとする。そんな中、ワタベはバイト先で知り合った菜子に惹かれていくことに。そして、ふとしたきっかけからサトミの過去の断片を知ることになって…。東京国際映画祭上映。2016年公開。

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Photos:Yuri Manabe 
Styling:Megumi Yoshida 
Hair & Make:FUMIKO HIRAGA for SENSE OF HUMOUR
Direction & Interview:Tomoko Ogawa 
Edit:Yukiko Shinmura

Profile

杉野希妃(Kiki Sugino)女優、映画監督、プロデューサー。慶應義塾大学在学中に留学先の韓国で女優デビュー。2006年『絶対の愛』(キム・ギドク監督)に出演後、帰国。10年『歓待』(深田晃司監督)、12年『おだやかな日常』(内田伸輝監督)など女優兼プロデューサーとしての活躍が脚光を浴びる。14年監督第二作『欲動』が釜山国際映画祭で新人監督賞を受賞。また、ロッテルダムをはじめ国内外の映画祭に審査員としても参加している。現在は『マンガ肉と僕』が全国順次公開中。 kikisugino.com

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